クロスメディアエキスパート 出題内容・解答例公開の経緯
第26期クロスメディアエキスパート認証試験は、2018年8月26日(日)に全国7会場で実施される。
企画提案のトレーニング素材としての価値を考慮し、過去の出題内容と解答例を公開することとなった。
出題内容と解答例、非公開の原則
クロスメディアエキスパート認証試験は2006年に創設された。
印刷メディアとデジタルメディアの複合ビジネス、マーケティングソリューションを推進する人財育成を目的とした制度である。
以前は、試験実施の公平性の観点から、論述試験の出題内容を一般公開することはしていなかった。これは、試験実施における公平性の観点から見合わせていたものだ。
また、論述試験の模範解答類を公開することもしていなかった。
論述試験は、フリースタイルでの解答であるため、本来は個人差がきわめて大きくなるものである。
模範解答類を公開することにより、影響を受けた解答が増えることを危惧していた。つまり、自由な発想や提案スタイルを妨げてはならないという考えである。
企画提案のトレーニング素材としての価値
しかし、試験の創設から10年を越えたことで、これらの考えを改めることとなった。
論述試験の出題内容は、コミュニケーション提案のトレーニング素材として十分に練られたものである。さまざまな業界の情報や問題点を探り、紙メディアとデジタルメディアを駆使して、顧客の課題を解決するという実践的なトレーニングが可能である。
さらに、解答例として過去の試験答案を、解答者の承諾を得た上で公開することにした(2018年6月より)。
解答例をご覧いただくと、内容の多彩さに驚かれると思う。B2Cの顧客向けにイベントやキャンペーンを企画する。SNSや動画サイトを利用して、コミュニティ作りやファンを育成する。紙からWeb、Webから紙への導線を仕掛けておく。競合他社との差別化ポイントや消費行動モデルを意識した説得力の高い提案。スケジュールや作業規模感に即した費用算定。等々、実践的な企画提案が書かれている。
試験という形式を取っているため、受験者1人で紙と鉛筆だけで提案書を書かなければならない。インターネット環境も利用できず、誰かと相談することもできない。限られた時間内で、相手先企業の状況を読み取り、企画提案を書くという厳しい制約の中で実力を試される試験となっている。
それだけ、個人の資質や能力が明らかとなってしまうのである。つまり、合格された方は、企画提案のキーマンであり、リーダーとしての資質を身に付けていると言える。
周知のように、国内の印刷業界は厳しい状況に置かれている。しかし、新たな企画提案を望む顧客企業は、増えていることも事実である。
印刷メディアとデジタルメディアを駆使したコミュニケーション戦略は、これからの印刷ビジネスの重要なキーとなることは間違いない。そして、そのためにもっとも重要なことは、人材育成と言える。
(資格制度事務局 千葉)