印刷業定点調査 各地の声(2018年5月度)

掲載日:2018年9月25日

5月の売上高は△0.3%。4月に6カ月ぶりのプラスになったばかりだが、微減ながら再びマイナスで持ち直し傾向も力強さには欠ける。

地域別では、首都圏(△2.3%)は5カ月連続のマイナスと軟調。名古屋圏(+1.0%)は2カ月ぶりのプラス。昨年11月以降はやや減少傾向にあって浮き沈みが大きくなっている。大阪圏(△2.4%)は2カ月ぶりのマイナス。この1年はインバウンド需要などの経済波及によって数年になく好調だったが、3月以降は減速の兆しがある。

業種・業態別では、商業印刷(△2.9%)が7カ月連続のマイナス、この7カ月は下げ幅も大きく、先行きが懸念される。特に折込チラシの構造不況が影を落としている。しかし、さまざまな公的統計を見てもチラシの減少幅ほど商業印刷は落ちていない。BPOに取り組む印刷会社が増えるに従い、「商業印刷」の指す概念が広がっている面もあるようだ。

東京に多い出版印刷(△4.4%)は3カ月ぶりのマイナス。昨年11月以降はほぼプラス圏で堅調に推移してきたが、5月は大きく落ち込んだ。地方に多い総合印刷(+8.4%)は5カ月ぶりのプラス。ここまで好調だった紙器・事務・その他(△1.2%)は4カ月ぶりのマイナス。堅調だった出版と紙器・事務・その他のマイナス転換、不調だった総合のプラス転換に、潮目の変化の兆しが見られる。規模別では300人以上(+7.4%)が2カ月連続のプラス、30人未満(△3.5%)が2カ月連続のマイナスと好対照。現在の市場環境は規模の大きい企業に有利に働いている可能性がある。

【印刷会社経営者の声】

茨城:商業

人材育成が目標達成の近道と思うので、社員教育のレベルを上げていきたく思います。

新潟:商業

人材・人員確保が非常に難しくなったと感じています。

長野:総合

働き方改革の本質は、社員の働きを時間ではなく成果で測ることと思われます。時間を有効活用する施策、働きを成果で測ることが求められます。成果の計測と達成こそ経営の基本です。

岐阜:その他

新入社員が徐々に会社に慣れてきたようだ。当社の良いところ、悪いところ、人間関係にも気付き始めている。仕事以外にも教えていかなければならないことはまだまだ多い。

和歌山:商業

久々に月次売上高が昨年実績をクリアした。売り上げと受注件数、受注件数と見積もり件数における相関関係を改めて実感した。見積もり件数の増加においては、会社の信用、信頼(ブランド)とも顧客との絆作りが必要なのは言うまでもないこと。この課題を中期的にじっくりと取り組みたい。

(『JAGAT info』 2018年7月号,印刷経営ウォッチング,p64-65より抜粋して要約)