2018年10月25日発刊の『印刷白書2018』について、会長塚田司郎よりご挨拶させていただきます。
当期の経済情勢を見ますと、世界経済はアメリカの順調な成長を軸に全体としては緩やかな回復が続きました。日本経済も、海外経済の改善を受け緩やかな回復が続きました。日銀による量的・質的緩和は継続され長期金利は0%台で推移し、日経ダウはリーマン・ショック以降の高値を更新しました。
一方で、アメリカの利上げにより、新興国の経済はその影響を受けインフレが加速したり、関税の引き上げによる貿易戦争が始まったり、各国の経済に与える影響が懸念されています。
わが国の産業においては、少子化、特に生産年齢人口の減少が問題となってきました。小売り、外食産業をはじめとして、印刷産業においても避けては通れない問題となりつつあります。このような状況下、今年はRPA(Robotic Process Automation)、デジタルトランスフォーメーションの重要性が叫ばれ、上場企業には浸透し始めました。設備投資を後押しする自治体の補助金や政府の減税措置もやや一段落して、印刷業界においても先進的な企業では、印刷物製造上のワークフローオートメーション、顧客のマーケティング活動をサポートするマーケティングオートメーション、Web to Print による受発注や決済の自動化など、あらゆる業務プロセスにおいて、タッチポイントを減らすべく、システムの改善が行われていると思われます。
当協会では2015 年春に『未来を創る』を出版し、印刷企業が2020 年までに何をするのか、どのような会社へと変わっていけばよいのかについて提示してきました。2020 年の始まりを迎えるまで、いよいよあと1年余りとなりました。印刷企業は関わっている製品の種類によって、その未来はずいぶんと違いますが、一般に情報コミュニケーションの分野では、新しいサービスステーションが必要で、企業のマーケティング活動には、マーケティングオートメーション、サイネージ、イベント、紙メディア以外にもデータベースの管理や、動画、ソーシャルメディア、レスポンシブWeb デザイン、フルフィルメントなどがあり、縮小していく従来市場ではM&A、新たな市場には他企業とのアライアンスも考えていくべき課題です。
2018 年はJAGAT では「デジタル×紙×マーケティング」をテーマとしてやってきました。今年もこの印刷白書が各企業の皆様にとって新たなチャレンジについて考える際の参考となることを願っています。
2018 年10 月
公益社団法人日本印刷技術協会
会長 塚田司郎
書籍発刊のお知らせ
『印刷白書2018』2018年10月25日発刊