最近の日本列島は地震・雷・台風・水害など自然災害にみまわれ、甚大な被害が発生しているのは周知の通りだ。印刷工場でもこうした災害に対する危機意識をもたないといけない。ここでは地震と雷対策の一例を紹介する。
- 地震対策
1995年の阪神・淡路大震災を契機に地震監視装置の設置サービスを始めた印刷機械メーカーがある。過去の経験から震度5以上で印刷機にダメージが出てくるといわれているので、感震器が震度5以上を感知すると印刷機の胴抜き、電源を切るまで自動的に行う。こうした装置はシリンダーの損傷やドライヤーによる出火、オペレーターの身の危険性など二次被害も防いでくれる。以前は地震に備え印刷機をアンカーボルトで固定していた工場もあったが、今では床面の変形・移動によりユニット接続箇所の損傷防止のため固定していない工場が多い。
- 雷対策
雷対策として社屋への直撃は避雷針で対応できるが、近くの電信柱や塔から伝わって被害を受けることもある。この対策として、印刷機械メーカーからは落雷事前検知システムが提供されており、自動的に印刷機の電源を切る仕組になっている。落雷で被害が大きいのは機械の電子制御装置だ。これが壊れると復旧に時間と費用がかかるので対策も重要だ。
- 求められる危機意識
日常的な災害への対策は必須事項である。細かい作業レベルで、例えば洗い油などの缶のフタは火災防止のために必ず閉めること、「地震が発生したらフィーダーオフ」を標語に自然災害対策を徹底する工場もある。また、工場内で従業員がスリッパやサンダルを履いて作業しているところもあるが、地震が発生したときに瞬時の対応に支障をきたすこともあるので改善した方がよいだろう。阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震、北海道胆振東部地震のような大地震はいつ発生するか予測はできない。また、落雷の被害についても頻繁にニュースになっている。経営者は印刷機など設備を災害から守り、従業員に対する安全配慮義務について考える必要がある。 (CS部 伊藤禎昭)
印刷現場向け関連セミナー
2019年1月25日(金)10:00~17:00
「上級印管理者講座」