7月の売上高は+0.3%。微増ながら2カ月連続の増加は2017年9-10月以来。低調だった冬~春先に比べれば、実感はわきにくいものの4月以降は±0前後で堅調に推移。ただしプラス幅は小さく、マイナス幅は大きく、といった様相なので長期で差し引きすればマイナスになる。
地域別では、6月に6カ月ぶりのプラスに転じた首都圏(△4.9%)が再びのマイナス。マイナス幅も大きく、この1~2年は首都圏の低調さが際立つ。名古屋圏(+5.4%)は2018年に入って一進一退だが本年最高のプラス幅を記録。大阪圏(+2.5%)は2カ月連続のプラスと震災の影響は見られず、好調な大阪経済を受けた高い伸びの連続となっている。
業種・業態別では、商業印刷(+1.1%)が実に2016年2-3月以来の2カ月連続プラス。遅まきながら時間差で堅調な景気が印刷業に波及した恩恵の可能性がある。東京に多い出版印刷(+0.7%)は3カ月ぶりのプラス、月ごとの変動幅が大きい。地方に多い総合印刷(△0.9%)は、セグメント別で唯一のマイナス。東京を除く都市圏の堅調さは地方に届いていない。紙器・事務・その他(+2.6%)は3カ月ぶりのプラス。
規模別では300人以上規模(+15.3%)が4カ月連続のプラスと好調、伸び率もいよいよ二桁と高い。50~99人規模は5カ月ぶりのプラス。完全な正比例ではないが規模が大きくなるに従いマイナス幅が小さくなる相関が見られる。
【印刷会社経営者の声】
■ 茨城:商業
お客様の来店数が猛暑で減っているそうです。広告宣伝で貢献したいです。
■長野:総合
企業は利益によって経営が成り立っている。印刷物の安売りは企業を滅ぼす。継続は力なりと申します。収益改善を早期に進め、経営状況を改善し、希望の持てる企業育成と人材育成を進めます。
■ 岐阜:総合
大口の案件がなくなり厳しい状況となっています。リスクを考え外注で対応していたため、最悪の事態は免れますが、良いことは長くは続きません。立て直していきます。
■ 岐阜:その他
IGASに行ってきた。刷り見本を丸めて長尺の袋に入れ、肩にかけて持ち帰る人を1人も見なかった。時代の移り変わりか。業界の今後のトレンドを読み解くのはやはり難しい。
■ 和歌山:商業
地元金融機関が新中計を発表し、人件・物件費年20億円削減を打出した。当然、印刷物の受注にも影響が及ぶだろう。超低金利が続く厳しい経営環境を生き抜くための取り組みだと思われるが、これからあらゆる業界で生き残りのための施策が始まるだろう。
(『JAGAT info』 2018年9月号,印刷経営ウォッチング,p60-61より抜粋して要約)