近年、生産年齢人口の減少に伴う人材難が社会問題として提起され、労働環境の改善や生産性向上にどう向き合うかが企業の課題になっている。
生産性を考える際、重要なのは効率化や環境改善に加えて、企業で働く個々の能力や意欲を底上げし、成長のための機会を継続的にサポートしていくことではないだろうか。
今年度JAGATは、政府が掲げる「働き方改革」の一貫として「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構」が主催する「生産性向上支援訓練」の実施機関に認定された。
この訓練は、民間の事業団体が実施機関となり、中小企業の抱える課題解決や人材育成ニーズへの対応を目的として「生産・業務プロセスの改善」や「組織マネジメント」「売上増」等の各種教育プログラムを、分野別に実施している。
JAGATでは9月から3ケ月間にわたり、印刷会社を対象に、印刷ビジネスの展開に必要な「企画提案力・マーケティング・新商品開発手法」等をテーマにした6講座を開催したが、いずれも定員に達し、盛況だった。好評を受けて、来年1月から新たに、第2期がスタートすることになった。
紙メディアとマーケティング情報を融合して新たな価値を生み出すための提案手法や組織的に営業力を強化していくためのマネジメント手法など、印刷ビジネスの深耕を目的とした4コースを予定している。
「営業力・企画提案力を高める4セミナー」
①基礎から学べる印刷営業の提案手法
提案営業の基本プロセスを学び、顧客の課題解決のための営業手法を習得
②予算達成を実現する印刷営業組織の作り方
チームとして組織営業を成功させるための基本と実践について学ぶ。
③紙&ネットを活用した顧客の売れる仕組みづくり構築と営業提案手法
様々な媒体の特徴を踏まえ、効率よく売れる仕組み構築のための手法を学ぶ
④デザインと紙メディアで表現するブランディング
ブランディングをデザイン表現に落とし込むための実践方法を段階を追って解説
カリキュラムの特色として、4コースすべてを2日間集中講座(12h)として設定しているため、知識習得だけでなく、事例演習に取り組むことによって、より実践的に体得できるプログラムとなっている。
前回では、たとえばグループに分かれてメディア特性を活かした企画提案をまとめる演習を実施した。吸収した知識を、プロセスを通して目に見える形にアウトプットし、実践へつなげるトレーニングの場である。知識習得だけでなく、参加者同志のディスカッションや情報交換を通して、お互いの連携構築にも役に立ったという感想も見られた。
前回は地方からの参加企業が全体の4割を占め、特別価格(1コース5,400円)ということもあり、初めてJAGATの研修に参加した企業も目立った。2日間集中講座で、この機会に効率よく、新しい印刷ビジネス創造のためのヒントをつかんでいただきたい。
CS部 原 淳子