去る11月17日、今年度3か所目のJAGAT地域大会“JUMP九州2018&ジョイントセミナー”を、大相撲九州場所で賑わう国際センター近くの福岡印刷会館にて開催した。
JUMP九州は、今回も沖縄を含む九州地区の若手経営陣を中心とした企画推進メンバーの尽力と、九州地区印刷協議会の協力を得て2011年から連続8回目の開催となった。
テーマは今年JAGATが調査研究、イベント、教育等で共通に掲げている「デジタル×紙×マーケティング」である。
このテーマに沿って、JUMP講演会に先立ち、小澤歩講師(グレイズ代表)によるジョイントセミナー「SNSとの組み合わせでつくる“売れる仕組”構築法」を実施した。
講義は、そもそも“売れる仕組づくり”すなわち「マーケティングとは何か」から始まり、SNSというデジタルメディアと紙媒体のそれぞれの特長をふまえ、いかに組み合わせて顧客の売り上げ増やブランディングに効果を発揮できるかを、具体的な手法を交えながら解説された。
午後からのJUMP講演会は、企画推進メンバー代表の大迫雅浩氏による開会の辞で幕を開けた。
氏によれば、九州はまだまだ情報が不足している。業界のシンクタンクであるJAGATが持つ豊富な情報を得る機会としてJUMPを活用し、明日からの経営のヒントを一つでも二つでも持ち帰って欲しい。ということである。そのような状況もあってかJUMP参加者30名中20名がセミナーからの連続参加であり、長時間の勉強会をものともしない大きな熱意を感じた。
塚田司郎JAGAT会長の「ご挨拶」に続き、「JAGATからの報告」を行った。
定番となった藤井建人研究調査部長による「印刷ビジネスの最新動向」では、『印刷白書』の最新版が発刊されたタイミングもあり、最新の統計データをベースにJAGATの調査研究成果を披露、解説した。九州に限らず地域大会各地で、毎年この解説を楽しみにしているという参加者も大勢いる。
さらに、印刷業界のこれからの方向性を示唆すべく郡司秀明専務理事が「印刷ビジネスがこのように変わる!」と題し、“アライアンス”というビジネスのあり方、テーマである“デジタル×紙×マーケティング”が意味するものを中心に、価値観が変わってしまった世の中において印刷ビジネスのビッグチャンスをつかむためにどうすべきかについて、人材育成を含め解説した。
「特別講演」は、東北、中国・四国に引き続き(株)goof代表取締役CEOの岡本幸憲氏による「デジタルマーケティングと融合する新たな紙の可能性」である。
3回のJUMPでの講演を通じて岡本氏が強調してきたことは、デジタルファーストな時代だからこそ、アナログな紙(プリントメディア)の本質を徹底的にデジタル思考で見直し、「印刷」の新たな価値を創造し、提供しなければならないということである。世の中のマーケッター、ブランドオーナーたちはデジタルだけの限界やリスクを感じ始めている、デジタルとつなげたプリントメディアでさらに高いROIが実現できれば、印刷も大きな進化を遂げることが可能で、今がそのビッグチャンスである。
しかし、そのためには未来に向けての意識改革が必要で、サービスの定義を製造視点でしか考えないのでは顧客に新しい価値を提供できない。デジタルで誰が、何を、しているのかに敏感にならなくてはならない・・・等々。これらの視点に対し、具体的な事例や、勝てる組織・チーム作りのためにすべきことなどを迫力ある口調で語り、非常に説得力のある講演であった。
講演プログラム終了後、福岡サンパレスに移動し、講演者、参加者による懇親パーティーを開き、酒と料理を肴に情報交換を行った。
地域大会は、11月30日のJAGAT近畿大会(大阪)を経て2019年1月29日の中部大会(名古屋)へと続く。
(CS部 橋本 和弥)
【関連情報】
・JAGAT中部大会2019&ジョイントセミナー
2019年1月24日(木)~25日(金)開催(名古屋市中小企業振興会館/メディアージュ愛知)