公益社団法人 日本印刷技術協会
会長 塚田 司郎
新年明けましておめでとうございます。昨年はアベノミクスにより1ドル120円前後の円安、株価も1万7000円台となり、海外販路を持つ大手製造業や金融機関は業績の大幅な改善となりました。
一方、内需産業および中小企業は個人消費の落ち込みにより業績は悪化しました。年末には10%の消費税見送りの信任を得る名目で内閣は解散し総選挙が行われましたが、本年の経済環境が大幅に改善されることは難しいと思われます。
印刷業界においても一般的な印刷物の取引条件は好転しない中、紙やインキなどの原材料、電気代などのエネルギーコストが上昇すると小規模の会社では廃業や倒産のリスクが高くなっていきます。このような状況下、一般に印刷企業は同時に二つの異なった行動が求められます。
一つは従来の仕事のプロセスの効率化です。最新の印刷機に更新したり、LED-UV化してスピードアップしたりする生産のプロセスはもとより、受発注やプルーフでの確認プロセスの合理化、システム化などのワークフローの改善にも手を付けなければなりません。もう一つは、従来の事業が減少していく補填としての新しいビジネスの開発です。前者が目に見えて誰にも分かりやすいテーマであるのに対し、経営資源の限られている中小企業にとって、後者は「言うは易く行うは難し」といったところでしょうか。
とりあえずは中核的な事業の周辺での付帯サービスから始めて、やがてはソリューションプロバイダーとして顧客視点のコミュニケーションサービスやマーケティングサービス、BPOなどのビジネスに移行して行く必要があります。新規事業に取り組む際には明確なビジョンと社員の意識、社風、それと関連する会社のシステムなどが今までとは違った一段上の新しいパラダイムに引っ越していかねばなりません。
異なるバックグラウンドを持った企業同士が戦い合う異業種格闘技ともいわれる現代のマーケットはまるでアリーナのようであり、従来の業界の常識や概念は通用しません。かつては長く継続できた優位性も今日ではかつてほど長くは続かず、次の新しいビジネスの開発が求められます。今年のpage展のテーマは「変わるニーズ、変わるビジネス」です。展示会とセミナーやカンファレンスに参加される皆様にとって、自社の新たな優位性について考える、あるいは気づく場になることを願っております。