紙のカタログが電子カタログに置き換わることはないが、印刷物と電子カタログの最適な連携方法を模索することは重要である。
「詳しくは明日のチラシで!」は何故か?
「ジャパネットたかた」のCMと言えば、朴訥とした人間味があり妙に惹きつけられる、といった感想を持つ方が多いのではないか。先般、名物社長の退任とご子息の社長就任が発表され、話題となっている。
また、CMで流れる「詳しくは明日のチラシで!」というフレーズに聞き覚えのある方も多いだろう。
ジャパネットたかたは、元々チラシや新聞広告経由の売上がかなりの部分を占め、TVショッピングの比率はそれほど大きくない。つまり、TVやラジオで注意・関心を植え付け、チラシ・新聞やネットに誘導する、というマーケティングのお手本のようなメディアミックスで売上を伸ばしてきた。
実際は、大々的にTVショッピングを始め、認知率が向上したのに売り上げが伸び悩んでいた。TVだけでは購入に結びつかない。そこで、苦し紛れに「チラシで!」とすると、売り上げが伸びたと言うことである。
紙カタログと電子カタログの連携
MM総研の調査によると、2014年に国内でスマートフォンの契約者数がガラケー(フィーチャーフォン)を逆転したという。スマートフォンが完全に主流となったと言える。誰もが、いつでもどこでもインターネットにアクセスできる時代が来たということである。
印刷物を取り巻く環境や情報発信の流れも、完全に変わったと認めざるを得ないだろう。
最近では、iPadなどのタブレットPCやスマートフォンを対象にした電子カタログや電子マニュアルを作成する例も急増している。
電子カタログや電子マニュアルは、印刷物にないメリットを数多く備えている。最新情報をスピーディに反映することが出来、在庫を持つ必要がない。どれだけ閲覧・参照されたか、ログ情報を見ることが出来る。大量データを手軽に携行し、容易に検索することが出来る。
しかし、印刷のカタログやマニュアルがすべて電子に置き換わることはないだろう。印刷には、印刷にしかないメリットがある。例えば、全体像を把握するための一覧性や、落ち着いて内容を理解できる、低コストで大量生産できることなどがある。
ジャパネットたかたの例でも、TVだけでは購買に到らず、チラシ・新聞広告を経由することで実際に購買に繋がる。ネットも活用しているが、印刷物からの購入が大部分を占めている。
おそらくトライ&エラーを繰り返したことで、もっとも効果的な形態として現在の方式があるのだろう。
チラシや新聞・雑誌広告などの紙媒体をオールドメディアだとするような見方をされることもあるが、複数のメディアを連携することで効果的な広告とすることができる。
スマートフォンが普及した今では、さまざまなメディアを連携させることを常に意識なければならないと言える。
【関連イベント】:【page2015カンファレンス・2月6日(金)15:45~17:45】
【G6】「電子カタログと紙媒体の連携」では、 共同印刷、図書印刷のカタログ制作と電子カタログの連携についての事例を聞く。また、電子カタログツールでの圧倒的な実績を誇るスターティアラボに最新の電子カタログの利用状況について聞く。
単に電子カタログへの置き換えを考えるのではなく、印刷物と電子カタログの最適な連携方法や、それを探るためのトライ&エラーの重要性、印刷会社の役割などについて議論したい。
(JAGAT研究調査部 千葉 弘幸)