テーマは引き続き“デジタル×紙×マーケティング”

掲載日:2019年3月22日

去る1月24日、名古屋市中小企業振興会館においてJAGAT中部大会2019を開催した。7年連続で光文堂新春機材展「Print Doors 2019」に併催し、講演会には70名、懇親会には50名が参加した。

2010年からスタートし、今回でちょうど10回目の区切りとなった中部大会は、企画推進メンバーを代表して(株)マルワ代表取締役社長の鳥原久資氏による開会の辞で幕を開けた。
「印刷業界はこの中部大会がスタートした10年前とは大きく様変わりしている。最近は多様性という言葉をよく耳にするが、情報にも多様性があると思っている。今日の様々な報告や事例発表の中で、皆様の会社には無い情報、もしくは今やろとしていることの一つの新たな気づきとなり、お役にたてれば我々としても幸いである」

続いてJAGAT副会長の網野勝彦(研文社 代表取締役社長)が挨拶に立った。
「名古屋でこうして同業の皆さんとお目にかかるのは15年ぶりである。当時、私自身を含め若手同士で名古屋コーチンをいただきながら印刷業界について熱く語り合った記憶がある。その頃、ちょうど印刷のデジタルシフトを進めており印刷には未来があると思っており、実際にデジタルによって生産性は大きく上がった。ただ、当社はそれを売価に転換できななかった、合理化貧乏になってしまったことが反省である。長年印刷を“モノづくり”としてやって来たが(今もそれが中心だが)、お客様が印刷をコストとみなすようになった。今まで情報産業として顧客ビジネスに寄与しているつもりが単に“モノづくり”ではそうではないと気付かされた。あらためて魅力ある印産産業にしていくために“コトづくり”にシフトしていかなければならない。そのためにJAGATがテーマとして掲げている“デジタル×紙×マーケティング”という考え方を取り入れていこうと思っている」

中部大会のメインプログラムにはフュージョン(株)代表取締役会長の花井秀勝氏を招き「新印刷・マーケティングとクロスメディア対策~デジタル経済時代における新たなる印刷業界の課題を解決する」と題し特別講演を行った。
「世の中のデジタルシフトが進む中で、重要になってくるのがマーケティング情報と印刷をどのように連携させるかである。また、個人情報保護法や銀行法の改正もあってビックデータ・クライアントデータなどのデータベースの活用も重要となった。これらは業界にとって大きな課題ではあるが、そこで新しい印刷ビジネスのビッグチャンスも生まれる。印刷会社の業務範囲も拡大できる可能性が出てきている。今日はその対策と課題を解決すべく、新たな印刷製品・顧客識別DM・クロスメディア・契約関連などの成功事例を具体的に紹介する」として、データを基に対象顧客の属性分析をした上で、運転席を実物大で見せるカタログで成功した車販売DMや、おせち料理を原寸大で掲載したチラシで販売数を飛躍的に伸ばした例。大学の受験者数を拡大するために展開したクロスメディア戦略など、豊富な実例を数多く示して解説した。
さらに、基本取引契約書、機密保持契約書、個人情報取扱契約書など各種契約書の重要性も強調し、デジタル経済で世の中が変わり、顧客が変わる状況において、社内制度や体制と共に意識改革の必要性を説いた。
最後に「様々な対応に迫られ課題も山積みだが、本当に印刷業界は面白い」の言葉で締めくくった。

次年度もJAGATの今年度共通テーマである“デジタル×紙×マーケティング”をバージョンアップさせ、JAGAT地域大会(JUMP)は継続していく所存である。

(CS部 橋本 和弥)