【マスター郡司のキーワード解説2019】GAFA(ガーファ)

掲載日:2019年4月25日

今回は「GAFA」について取り上げる。

JAGAT 専務理事 郡司 秀明

GAFA(ガーファ)

GAFAとはグーグル(Google)、アップル(Apple)、フェイスブック(Facebook)、アマゾン(Amazon)の頭文字を集めた名称で、ガーファと発音する。この4社が現代のIT四強、四騎士と呼ばれている。グーグルは検索エンジンで有名だし、アップルはiPhoneやMac、フェイスブックはSNSの最右翼、アマゾンはネット通販と、それぞれの分野で市場を席巻している企業だ。

もともとはGAFMA(ガフマ)と呼ばれていて、GAFAにマイクロソフト(Microsoft)の頭文字のMを加えた名称だったが、最近のIT業界からはMが外された形で落ち着いている。印刷業界に似ているが、印刷ビジネスは紙にインキを載せるだけでは生き残れないということだ。印刷だけでトコトン勝負する印刷通販だって人件費圧縮、大量発注で材料費を圧縮する等のコストダウン努力だけしているわけではない。Web to Print、自動ギャンギング、出荷システム(流通)、等の最新IT技術を駆使して勝負しているのだ。価格競争をしたくない印刷通販業者では、マーケティングサービス等の付加価値で勝負しようとしている印刷通販だってあるくらいだ。

IT業界でもコンピューターを作って売るだけや、それがソフトだとしてもただ作って売るだけでは四強には入れなくなるということだ。少し前のコンピューター業界最大手というと、IBM等のハードウエアメーカーがトップに君臨していたが、ハードからソフトの時代ということで、マイクロソフトがトップの座を奪い取ったのだが、そのマイクロソフトでさえ時代遅れのポジションに位置付けされてしまうくらい、ITビジネスの変化は早い(今でも十分過ぎる力は持っていますよ)。

その他にもFANG等がある。これはフェイスブック、アマゾン、グーグルの他に動画のネットフリックス(Netflex)が入っている。ネットフリックスは確かに大きい動画配信サイトだが、世界の四強というには大げさで、FAAAという方が一般的と言えるだろう。フェイスブックとアマゾンの他にアリババ(Alibaba /阿里巴巴集団 )とアルファベット(Alphabet)二社の頭文字をプラスしている。アルファベットはグーグルの親会社であり、現在のグーグルは検索エンジンに特化しており、その他のビジネスはアルファベットがハンドリングしている。アリババは中国に本社を置く世界一のネットショップであり、もともとはB to Bを中心に始まったのだが、現在はB to Cのネットショップである同グループのタオバオ(taobao)が有名になっている。中国では高齢の老人でさえ、タオバオで買い物をしている。それにしても北京は老人に優しくない都市だと思う。道が広くて向こう側に渡る気もしない。街を楽しむという思いには到底至らないから、ネットで何から何まで買うようになってしまう。名古屋が都市計画の見本のように言われてきたが、結局発達したのは地下街で、ロサンゼルスもモール等に人が集まり、同じようなイメージがつきまとう。街を楽しむという意味ではビバリーヒルズのロデオドライブやニューヨークの五番街が適当な道幅だと思う。こんなことでも人間の意識変化の早さを再認識してしまう(昔は道幅が広いほど文化レベルが高いと言われていたが、今は?)。

ソフトバンクの孫正義さんはあらゆる方面で才能あふれるが、「これは」というビジネスを世界中から見つけ出す能力は図抜けている。問題になっているファーウェイ(HUAWEI)に目を付けたり(政治的な話は抜きにして、技術的には優良会社)、アリババだって弱小だった時代に日本でアリババのセミナー等をやっていたりした。私も参加して「ふーん?」と懐疑的に思っていたのだが、今やアリババの力に疑問を挟む人はいない。ソフトバンクはアリババ・ジャパンに積極的に投資するなどでIT企業力を高めている。

最後にGAFAについて少しコメントしたい。グーグルの技術力や先見性には何も言うことはできない。要するに世界をリードする超高偏差値会社なのである。グーグルは白色系米国人だけに限定せず、才能ややる気さえあれば韓国人や中国人だって活躍できるし、最近ではインド人の活躍がひときわ目立っている。こんなところもやっぱりスゴい。

アップルはデバイス以外のITビジネス(音楽等)分野でも頑張っていたが、ジョブス亡きアップルはやっぱり「?」が付いてしまう。フェイスブックは、「スゴい」というより、「実力以上に評価されている」というイメージを私は持ってしまう。反面、不気味な存在がアマゾンだ。単なるネット本屋やショップだけに止まらず、どんどんIT分野に進出している。「ビジネス的に最後に生き残るのはアマゾンかな?」と思ってしまう。

(JAGAT専務理事 郡司 秀明)
(会報誌『JAGAT info』 2019年2月号より抜粋)