『未来を創る』~“デジタル×紙×マーケティング”

掲載日:2019年4月23日

今年度のJAGAT大会、JAGAT地域大会(JUMP)の日程が確定した。昨年JAGATでは、世の中のデジタルシフトが進む中で新たな印刷のビジネスチャンスを切り拓くためには、マーケティング情報(データ)と印刷の連携が必要であるとして、“デジタル×紙×マーケティング”をスローガンに掲げ“JUMP”を皮切りに“夏フェス”“JAGAT大会”“page2019”と様々なイベントを開催してきたが、引き続きこのテーマを追求し、よりビジネスに直結させて“飯のタネ”となるよう展開していく予定である。

JAGATが『未来を破壊する』(2012年)で話題となったジョー・W・ウェブ博士の新刊『未来を創る』(原題:『THIS POINT FORWARD』、共著:リチャード・M・ロマノ)を翻訳出版したのは2015年4月である。
そこでは、未来を創るためには「印刷物への愛や優位性を語ることはやめよう(印刷へのロマンスは捨てよう)」、すなわちマインドリセットの必要性が強調されていた。
インターネットの出現により、マーケティングにおいて革命ともいうべきデジタルシフトが起こっているのにもかかわらず、印刷会社は他人事ととらえ、彼らマーケッターすなわち現実の印刷のクライアントたちと会合も持たず会話もしていない、と問題提起されていた。印刷業界はマーケティングの変化をしっかり理解しなければならず、例えばマーケティングオートメーションサービスを提供する会社名を知らないのであればプロではない!とまで断言していた。

そこで2015年、JAGATは『未来を創る』で示された新たな知見やヒントを、業界の未来を真剣に考えるツールとして各地の地域大会等を通じて議論を重ねたが、その時点では「あまりピンとこない」「印刷業界には縁遠い話だ」などの感想も多く、我々も正直に言って「しっかり皆さんの腹に落ちているな」とは思えなかった。
ただし『未来を創る』に「印刷は目的であって機能ではない・・・それははじめからそうだ、しかし我々はやっとそれに気づいた」とあるように、“お客が求めているのは印刷物ではない”ということは様々な場所で語られるようにはなっていた。これはまさにマーケティングのもっとも有名な格言「ドリルを買う人が欲しいのは穴である」そのものではないか。

ということでJAGATではその後も印刷とマーケティングの連携の重要さについて旗を振り続けてきた結果、今年のpage2019で最も人が集まったセッションが基調講演の「実践!デジタル×紙×マーケティング」である。いよいよ機は熟したと我々も手ごたえを感じている。

以上を踏まえて、今年のJAGAT地域大会(JUMP)では、花王においてばりばりのデジタルマーケッターであった本間充氏(アビームコンサルティング)をメインの講演者として招き、マーケッター(印刷発注者)視点から新たな印刷の付加価値の可能性等について講演いただく。
本間氏によれば「データに紐付いてデジタル印刷機から出力される印刷物はすでにデジタルメディア」であり、そもそも「生活者はデジタルかアナログかなど区別していない」そして問題は「デジタルマーケッターはまだまだ今のデジタル印刷で出来ることを知らず、また印刷業界もそれを彼らに訴求できていない」と言う。印刷会社の今後の新たなビジネス展開に向けて、間違いなく興味深いお話が伺えるであろう。

なおJAGAT大会2019(10/23 椿山荘)には、すかいらーく創業者の一人であり外食産業のカリスマとも言われる横川竟(きわむ)氏にご登壇いただくことが決定した。近年、高倉町珈琲をチェーン展開し、シニア世代の人材活用で業績を伸ばすなど、81歳にして現役バリバリの氏の経営哲学を伺える機会として是非ご期待いただきたい。

(CS部 橋本 和弥)

<2019年度JAGAT大会、JAGAT地域大会(JUMP)日程>

・JUMP東北2019(宮城県印刷会館/仙台市宮城野区):9月6日(金)
・JUMP中国・四国2019(アドバン@貸し会議室/広島市中区):9月27日(金)
・JUMP九州2019(福岡印刷会館/福岡市博多区):10月19日(土)
・JAGAT大会2019(椿山荘/文京区):10月23日(水)
・JAGAT近畿大会2019(太閤園/大阪市都島区):11月29日(金)
・JAGAT中部大会2020(名古屋市中小企業振興会館/名古屋市千種区):1月23日(木)