P’Sネットワークの新本社工場は従来の印刷工場のイメージを覆すような設計となっている。その狙いを山田社長に聞いた。(『JAGAT info』2014年6月号) JAGAT infoではJAGAT会員企業の印刷経営者の方にお話をお聴きする経営者インタビューをお届けしている。筆者が担当してからも40名ほどの経営者の方々にお話を伺った。みなさん、多忙な中でも快く対応いただており、この場を借りて御礼を申し上げます。 本誌では2ページという限られたスペースなので、インタビュー内容をすべて紹介できないことを残念に思っている。JAGAT会員の印刷会社なので、ほとん どが中小企業であるが、中小企業ならではの御苦労や課題をお話しいただける経営者もある。そのような中にはオフレコで紹介できないが、なかなか示唆に富む お話も数多い。 いずれにしろ、縮小傾向にある印刷市場において、ほとんどの経営者の方々がさまざまな課題に対峙し、悩み、考え、決断してと、日々大変な思いで経営にあたっているのか感じることが多く、毎回、リーダーとしての経営トップの苦労にしみじみと思い至ることになる。 6月号ではP’Sネットワークの代表取締役の山田浩之氏に登場いただいた。同社は設立して11年目という若い企業ながら、ポケットティッシュやうちわ、ク リアファイルなどの販促商品に絞った通販事業を手掛けて順調に成長している。今年初めに新工場が竣工して、生産性の向上とさらなる商品サービスの向上が可 能になった。 この新本社工場 を訪問してまず感じたのは、従来の印刷工場のイメージを覆すような清潔感である。実際に、徹底的に整理・整頓され、エアシャワーを備えて清潔さにこだわっている。 さらに、生産設備面だけなく、社員も気持ちくよく働けるように工夫されていることである。山田社長自ら設計にかかわったという新工場は、全体にゆったりし た空間で、社員が交代で食事や休憩が取れるラウンジや、社員の運動不足・ストレス解消のためのジムなどが設けられている。まだ、歴史が浅く、地元での知名 度もあまり高くないという同社にとって、社員が働きやすい環境を提供することは人材採用の面もポイントになるとのことである。 本誌では、山田氏が異業界を経験して印刷業へ入ってきたからこそ感じた、印刷業界で常識化していることへの疑問、それに対する新たなビジネスモデルでの挑戦と、成長の理由を紹介する。 特集は、例年お届けしている「JAGAT経営力調査」の2013年度の業績分析速報をお届けする。全般に業績は回復傾向にあり、縮小均衡から再成長へと新 たな時代の印刷経営への転機となるのではと感じられる。ぜひ、自社の業績と比較しながら、今後の印刷経営の役立ててほしい。 このほかイギリス印刷会社レポートの第2弾をお届けする。従来の印刷からデザイン部門に力をいれたことで成長を遂げたLinney groupほかを紹介する。
(JAGAT info編集担当 小野寺仁志)