10年後にどれだけの企業と仕事が今と同じ形で残っているだろうか。以前、話題になった2013年発表のオックスフォード大学のカールフレイ氏らの論文「The Future of Employment(雇用の未来)」よれば、コンピューター・AIによる技術革新によって必要とされる職業が大きく変わる。無くなる職業のトップ5が<1位>テレマーケター(電話を使った販売活動)、<2位>不動産の権原検査員、権原抄録者、権原調査員 <3位>手縫いの裁縫師<4位>数理技術者、<5位>保険事務員となっている。例えば、従来、私は、単純労働が無くなるようなイメージを持っていたが、これらの技術革新が出現後の変化の有り様はまったく違う。現在はどうであろうか。
経済産業省の企業価値向上に向けた経営リーダー人材の戦略的育成についてのガイドライン(2017年3月)では、近年、IoTやAI・ビッグデータが圧倒的なスピードで進化し、あらゆる分野で実用化され始めている。経営環境の変化の中で企業の競争力を強化し、成長を実現することは大きな課題となっている。次世代の経営に携わる人材育成は急務とされている。
また、同省の調査・研究の一環として実施したアンケート調査によれば、経営リーダー人材候補の育成を目的とした何らかの取り組みをしている企業は、52.6%と過半数を占める。対象者の現在の役職は、「部長クラス」が 88.2%ともっとも多く、「課長クラス」が 58.8%となっている。また、経営リーダー人材の育成状況については、順調に確保・育成できていると認識している企業は 37.6%にとどまり、経営リーダー人材育成の取組みをしている企業においても、52.9%が不安であると回答している。候補者はいるという企業は 36.6%あるものの、5 年後の候補者が不足しているとする企業も29.7%存在している。経営リーダー人材育成の確保・育成は、多くの企業において課題となっている。
企業の支えるのは「人」である。印刷会社においても次世代で中心的な役割を果たす経営幹部の多くは、ビジネスの現場で原動力になっているミドルマネージャーである。日々の営業活動や製造業務などに追われていることが現状のようだ。経営判断で戦略的に経営幹部育成に取り組む必要がある。企業の持続的成長に決定的な影響を与え、競争力を継続的に向上させるためにはミドルマネージャーの経営幹部としての成長が鍵を握る。
CS部 古谷芸文
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https://www.jagat.or.jp/archives/61871