今回は「アフィリエイト」について取り上げる。
JAGAT 専務理事 郡司 秀明
アフィリエイト
皆さんは史上最長のGW、10連休をどう過ごされただろうか?私はもっぱらグータラ生活で終えてしまった。空いた時間に、TVドラマでもまとめて観ようと実行した(こういうことだけはすぐに実行)。今は録画していなくてもTver(やParavi)等のネットアプリだけで、ほとんどのテレビ番組は観られてしまうので、GWのような長期休暇には打って付けだ。
普段は縁のない「私定時で帰ります」と「集団左遷」を観たのだが、前者はネット広告会社の話、後者は合併銀行の支店統廃合の話で、両極端とも言える筋書きだ。ネット広告会社はホントに居そうなキャラのデザイナーや女性ディレクターが登場して、ネット関係の横文字を台詞に多用して臨場感を出している。
銀行の話は、横文字が一切ないコメディタッチの「お涙根性モノ」である。
この両者を観て思うことは多いのだが、人材については考えさせられる。一言で表現するなら、「優れた人材がネット関連に流れている?(IT時代に日本の将来を担っていく若者)」ということを考えさせられてしまう。銀行も超一流なので優秀な行員はたくさん居るのだが、将来を考えるとネット広告会社の「どうしようもない若手ダメ社員の方が、将来的には活躍するだろうなぁ?」と思ってしまうのだ。こんな話だけで終わってしまいそうなので、本日の本題である「お金の稼ぎ方」に移りたいと思う。
印刷ビジネスは典型的な受注産業である。「印刷物を受注して製作・納品して対価をいただき、費用を抜いた分が利益になる」というのがビジネスの流れだ。
音楽ビジネスもレコードやCD時代は印刷業界と同様に商売してきたのだが、モノからデータになると、アルバムから一曲単位になり、どうせ24時間.ネットにつながっているのなら、購入するのではなく、聴き放題の契約(商売)があっても良いのでは?ということで、サブスクリプション契約(日本では定額契約と認識)が瞬く間に一般的になってしまった。今後、デジタル印刷がチラシでも主になるようだと、チラシのオンデマンド化が進み、印刷ビジネスでもサブスクリプション的な発想も必要になってくるかもしれない(少部数ながら既に実践)。サブスクリプションについては後日、機会があれば再度触れたいと思うが、今回は「私定時で帰ります」に影響されて、「お金の稼ぎ方が変わる」ということに注目して、アフィリエイトを取り上げる。
アフィリエイトとは、「成果報酬型のインターネット広告」である。自分のウェブサイトやブログに、企業(広告主)の商品やサービス(商材)を紹介して広告を掲載することで広告収入を得る広告ビジネス(ネットマーケティング手法)である。
アフィリエイトの仕組みは、「広告主」「メディア(アフィリエイター)」「ASP」と「購買者」の四者が関係することで成り立っている。広告主は成果分だけの費用で済むし(無駄な出費はなし)、メディア(アフィリエイター)も成果主義で収入を得ることができる。
メディアとはアフィリエイト広告を掲載するブログやウェブサイトの運営者を指し、アフィリエイターと呼ばれている。海外に住んで悠々自適に生活している自由人(生活力のあるフリーター)も多い。ASPとはアフィリエイトサービスプロバイダーの略で、広告主とメディア(アフィリエイター)をつなぐ仲介役だ。
ASPには独自のソフトやプラットフォームを持ってビジネスをしているところも多い。ASPを介せば、広告主は数多くのメディアに広告掲載が可能で、メディア側もさまざまな企業の広告を掲載することができる。
具体的に見ていけばイメージは分かりやすい。
① 広告主は「商品やサービスを各種メディアに掲載してほしい」と、ASPに依頼、広告素材もASPに提供する。
②ASPは、登録されているメディアに「広告主の商材をウェブサイト訪問者に紹介してください。販売成果が出ればこれだけの成果報酬を支払います」と知らせ、広告素材も提供する。
③メディアは保有しているウェブサイトやブログにその広告素材を掲載し、サイト訪問者に対して広告主の商材を紹介・宣伝する。
④サイト訪問者がその広告経由で商材を購入し、支払いの確認が取れたら広告報酬が発生(原則とだけ理解いただきたい)。
⑤広告報酬は広告主よりASPが回収し、ASPがメディア(アフィリエイター)の口座に振込む。
という具合になる。新しい広告の形態である。
(JAGAT専務理事 郡司 秀明)
(会報誌『JAGAT info』 2019年6月号より抜粋)