4月の売上高は+1.9%。昨年4月は+0.1%と前年同月が高かったにも関わらずプラスとなったことは、体感的には数字以上の繁忙さだったと思われる。用紙調達難による需要減もあったが、大型連休前の駆け込み需要が上回った。用紙価格の転嫁、印刷の価格修正も一定程度ながら受け入れられ、表面的な売上高を押し上げた面もある。
地域別では、首都圏(+3.8%)が4カ月ぶり、大阪圏(+0.1%)が8カ月ぶりのプラスに転じた。逆に名古屋圏(△1.6%)は2カ月連続のマイナスになるなど、駆け込み需要には地域差もあった。
業種・業態別では、商業印刷(+2.2%)が5カ月ぶり、地方に多い総合印刷(+3.9%)は2カ月ぶりのプラス。東京に多い出版印刷(+6.9%)は高い伸び。紙器・事務・その他(△3.2%)は2カ月連続のマイナスだった。
規模別では、30人未満(+6.0%)が8カ月ぶり、100~299人(+2.7%)が3カ月ぶりのプラスに転じた。50~99人(+4.0%)は3カ月連続のプラスと好調が続く。一方、30~49人(△5.0%)、300人以上(△6.9%)は落ち込み幅が大きく、規模によって駆け込み需要の様相には差のあった様子がうかがわれる。
【印刷会社経営者の声】
■ 東京:総合
春先から仕事が途切れず続いていて、まだしばらくこの状態が続きそうです。ただし特需的な仕事が多いので長期的にはどうでしょうか。紙にインクを乗せることを仕事と思ってしまっては先行きがなくなるので、創意工夫の精神を大切にしていきます。
■ 長野:総合
継続は力なりといわれます。企業の営業力によって受注量の差が開くので、目標に向かって改善を続けることが大事です。デジタル化によって状況は変わりますので変化に対応し続けるように。そして変化を創り出す企業を目指して前進しましょう。
■ 岐阜:総合
米中貿易摩擦が日に日にエスカレートし、国内景気にどのような影響が出るか、注視しています。資材の値上げ、印刷需要減に景気悪化が加わると、経営環境がますます厳しくなってしまいます。
■ 岐阜:その他
「印刷業は大変でしょう?」という同情にも似た問いに対して、胸を張って「いいえ」と答えられる自分になりたい。そのための体制づくりに力を注ぎたい。
■ 和歌山:商業
地域の中小印刷会社において、今回の用紙値上げ分を転嫁しなければ経営は成り立たないが、現実には地域の中では転嫁できない部分も多い。このジレンマを解消するには、お得意先や仕入先との共存共栄をテーマにした話し合いしかないと思う。
(『JAGAT info』 2019年6月号,印刷経営ウォッチング,p60-61より抜粋して要約)