新年のご挨拶

掲載日:2020年1月1日

新年あけましておめでとうございます。昨年は年号も変わり、令和の時代となり、秋には即位の式典やその後のパレードもあり、たいへんにおめでたい年でした。

しかしながら、印刷企業の事業環境として振り返ってみると、用紙の供給が滞ったことや紙、インキ等の原材料コストの上昇で経営は難しくなりました。需要面では、前年同様、一般的には生産年齢人口の減少で、金融界では長引くマイナス金利の影響によって、業務プロセスのルールやシステムが見直され、デジタル化が加速し、一部の印刷物にはたいへん影響を及ぼしました。エスカレートする米中の貿易戦争、悪化していく日韓関係なども取引先企業を通じて間接的な影響があったようです。秋には消費税の増税も実施されました。

こうした状況の下では業界の再編も進み、近年では製紙メーカーが印刷会社を買収する例も出てきています。市場は縮小しているのに印刷機はより自動化され、高速化され、高額になった結果、設備投資をあきらめて外注する会社が増えたり、更新する際にも2台を1台にするといったケースが増えたり、結局は出荷台数は減少しています。メーカーや商社の人たちの中には業界は二極化していると言う人が少なくありません。業態変革やソリューションプロバイダーとなるべくチャレンジしてきた会社と、そうでない会社があるのでしょうか。

昨年末、流行語大賞にノミネートされた「スマイリングシンデレラ/しぶこ」こと渋野日向子選手はツアーデビュー以来、快進撃を続け、全英女子オープンにも優勝し、やがて国民的アイドルとなりました。岡本綾子さんはそのプレーをテレビの解説で「この人は決断と実行の人です。」と言っていました。閉塞的な空気の中で、リスクを恐れてばかりで新たな一歩を踏み出せないでいる中高年の人たちにも大いに勇気を与えたと思います。決断できないでいる人はせめて渋野選手と同じシューズを履いてみたらよいと思います。メッセージは昔から“JUST DO IT”ですから。

さて、今年のpage展のテーマは「デジタル×紙×マーケティング for Business」です。近年では事例も増えてきました。デジタル時代の今日でも、誰もがスマホで特定の商品やサービスにいつも興味を持って検索するとは限りません。またいったん情報を得ても、画面を閉じれば忘れてしまうかもしれません。ダイレクトメールは購買履歴に基づき送られてきて、ゴミ箱に捨ててしまわれない限り、テーブルの上にあります。デジタルファーストの人達はこれをコンスタントタッチポイントと呼んでいます。

両方のメディアをコンビネーションで使うとは、紙がデジタルとつながってお互いのメディアの不足する部分を補い合うということです。どうぞ会場に足を運んで、セミナーにも参加して感じてみて下さい。

公益社団法人 日本印刷技術協会
会長 塚田 司郎