JAGATはこの三年、グーフの岡本CEOには、ずいぶんお世話になった。「デジタル×紙×マーケティング」を言い始めたときから、「デジタルデータとマーケティングデータと紙をかけ合わせるとこんなに素晴らしい印刷物が出来る」という啓蒙活動を手伝ってもらってきたのだ。
おかげさまで、マーケティング不毛地帯と言われていた印刷業界にも、マーケティングの必要性やデジタルマーケティングデータとのリンクの重要性が理解されてきたと思う。そしてデジタルマーケティングデータと印刷をリンクさせるにはデジタル印刷の方がアナログ印刷より親和性が高いのは自明であり、デジタル印刷が注目されてきたのも最近の傾向である(もちろん短納期も大きな理由)。小ロット短納期以外にも目が向き出したということである。
しかし、岡本さんばかりではなく、IT関係者の人は横文字が多く、言い方も一種独特なので内容を理解するために必要以上に余分な労力を費やしてしまう。例えばプラットフォーマーという言葉がよく使われるのだが、プラットフォーマーとはITを使ったシステムの提供者を言い、普通はGAFAのような大規模システムの提供者である大企業を指す言葉だ。グーフ(岡本さんがCEOを務める会社)は、海外の優れたソフトウエアや仕組みを積極的に日本に紹介している会社だ。それをより使いやすいように組み合わせたり、カスタマイズして、日本の印刷業者に提供しているのだ。そんなことを生業にしている人達、いわゆるベンダーまで含めてプラットフォーマーと呼ぶ場合も多い。定義ばかりにこだわるのではなく、要は上手く仕事がこなせれば良いわけである。日本では大メーカーが提供していない、ソフトウエアは普及しないことが多いのだが、オープンシステムが普通の欧米では、MA(マーケティングオートメーション)とリンクするためにはどうするのか?MAとリンクさせてOne to oneプリントするにはどうするのか?等々、具体的なソリューションが揃っている。
ところが日本では「具体的にどうしたら良いのか?」という疑問点が山積みだと思う。日本の場合はメーカーに泣きつけば今までなら何とかなったと思うが、この手のソリューションは圧倒的に欧米が先進国なのだ。欧米のシステム完成度と日本を比べると圧倒的に欧米が優れていると言わざるを得ないのが現状である。だから欧米のソフトを使わない手はないのだ。そんなグーフさんが扱っているソフトの例が図1である。これらのソフトの解説だけでも近未来の印刷物はきっとこうなっていくというのが理解できると思う。つまり大メーカーが提供してくれるのを待つのではなく、グーフさん等が提供してくれているものを使えば、最低でも一年半から二年くらいは先行できるわけだ。これはビジネス的に大きなアドバンテージになるはずだ。
岡本さんが講演会等でやる内容は、具体的にどうしたら良いのか?まで、細かく言及しないことが多いので、これまでは言っている内容には納得しても「具体的にどうすれば良いんだ?」という疑問点が残ってしまったのも事実である。page2020の初日2月5日15:45-17:45に開催されるセミナー【S3】デジタル印刷とIT活用で印刷ビジネスを創る~印刷業界に特化し、先端技術の話を理解しやすく具体的に探る!~では、超具体的に解説したいと思っている。岡本さんと私の二人でやるセミナーなので、徹底的に岡本さんに食い下がることだけは約束できるので、必ず何らかのノウハウはゲットできるはずである。
つまりこういうデジタル印刷機があって、こういうソフトウエアを準備して、こういう人材を育てて、営業はこのようにすれば仕事が売れてお金を回収できる。的なセミナーである。
最近の岡本氏は「バリアブル印刷が良い」なんて絶対に言っていない。受け取った人にとって価値のある印刷物なら必ず大切にするはずである。昨年度のIDOM(中古車のガリバー)のようにかつて販売した中古車の査定価格を提示して、現時点で下取りに出せばいくら手元にお金が残り、新しい車に買い直せる等のバリアブル情報なら大事だと思うのだが、昔のバイオリズムグラフみたいに個人名がバリアブルで印刷されているだけならそんなものは誰も欲しくないはずだ。
自分に合った情報、例えば自動車だったら私のような技術オタクには徹底的なスペック表(具体的にコンペティターの数値比較)が最もらしく解説してあると、とても魅力的で欲しくなってしまう。女性だったら自分をそこに置いた物語の具現化的な写真が展開していると欲しくなってしまうだろう。こんな販売カタログが未来の印刷物だ。単なるバリアブル印刷ではなく価値のある多品種印刷物といったら良いだろうか?本セミナーの結論としては魅力的な印刷物とはなんなのか?まで迫ってみたいと思っている。
(文責:JAGAT専務理事 郡司秀明)
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