今回はpage2020の中でも出版印刷ビジネスの未来を議論する4本のカンファレンスを紹介します。
【基調講演2】ライト出版市場の誕生と広がり
~縮小する既存出版の外側で膨らむ市場~
2月6日(木) 10:00~12:00
多くの統計が出版市場の縮小を示す一方、既存の統計に含まれない、新種の出版市場が誕生、急速な広がりを見せていることをご存じでしょうか。
この市場では書き手が自ら印刷会社に発注し、読者とも対面して直接売買します。こういった即売会市場はアニメ・マンガなどの二次創作を始めとした同人誌がほとんどでしたが、近年、文芸書や技術書、ビジネス書といった幅広い出版物が売買されるコミュニティが生まれ、従来の正規出版とオタク的な同人出版の中間的な、いわば「ライト出版」とも呼ぶべき市場が誕生しています。
代表的なライト出版の即売会コミュニティは、文芸書の「文学フリマ」、技術書の「技術書典」、ビジネス書の「ビズケット」などが知られています。デジタル印刷の普及を背景の一つに生まれたこのライト出版市場の可能性について、代表的なコミュニティの運営者が実情と可能性を議論します。
望月倫彦(文学フリマ)
高橋征義(技術書典)
坂本海 (ビズケット)
藤井建人(JAGAT)
松永寛和(JAGAT)
詳細:https://page.jagat.or.jp/session/detail_8.html
【CM2】出版業界の構造課題と再成長
2月6日(木) 13:00~15:00
減少傾向とはいえ、紙がいまだ出版メディア制作の起点であることは変わりません。読者にとっても、読むのに最も楽なメディアであり、作り手にとっては変わらず重要な収益源です。ですが、デジタル印刷と、オフセット印刷による小ロット生産双方の進化のため、経済合理性のある生産方法は絶えず変化しています。また、デジタル印刷は、印刷会社側から見れば品質面・技術面の課題は相当に解決されましたが、出版社側から見れば採算面や構造面の課題が多く積み残されています。出版社側から見た最新の印刷生産と業界課題、解決へ向けた問題提起などを議論します。
土井秀倫(講談社)
太田智一(PHP研究所)
豊川竜也(ニューブック)
藤井建人(JAGAT)
詳細:https://page.jagat.or.jp/session/detail_15.html
【G3】 AIで変わる印刷物制作
2月6日(木) 13:00~15:00
印刷物の企画・制作は古くから職人的な業務に支えられ、DTPが主流となった現在でも個人の知識・経験に依存している面は少なくありません。 しかし、機械学習・ディープラーニング技術によって過去の膨大なデータを教科書とすることで、個人の知識・経験に依存する業務を補完することが可能となっています。 印刷物制作においても、こういった先端技術の導入が始まっています。AIを活用した画像修正やデザイン・レイアウト、校正・校閲などが実用化レベルとなり、大きな効果が見込まれています。AIによって印刷物制作が今後どのように変わっていくのか、どの部分で効果があるのか、議論します。
田端聡 (大日本印刷)
金山尚徳(凸版印刷)
境祐司(Adobe Community Evangelist)
千葉弘幸(JAGAT)
詳細:https://page.jagat.or.jp/session/detail_12.html
【G4】小ロット出版を実現するデジタル印刷
2月7日(金) 13:00~15:00
大量印刷・大量出版を前提とした出版エコシステムに限界が見えてきました。一方でデジタル印刷技術の進化により、少部数出版・流通の動きも進んでいます。 米国では1部から受注する極小ロット印刷を積み上げ、月400万部以上の書籍を製造している印刷企業も存在します。在庫を持たないオンデマンド出版や極小ロットの重版は、オフセット印刷とデジタル印刷の各々の特徴を活かし、最適化を図る動きだと言えます。 印刷企業の立場から小ロット出版とデジタル印刷の現状や今後の可能性を議論します。
古賀裕之(大日本印刷 )
佐々木享(デジタルパブリッシングサービス)
浴野英生(デジタル・オンデマンド出版センター)
千葉弘幸(JAGAT)
詳細:https://page.jagat.or.jp/session/detail_13.html