インターネットを利用した商品やサービス購入(ネットショッピング)が急速に普及した。また、ヤフー、ペイペイを持つZホールディングスは、LINEとの経営統合を決めた。今後、ライバルである楽天、メルカリなどの動向を含め、業界内の競争、淘汰、再編など加速するだろう。
ネットショッピングの急拡大
ネットショッピングの利用割合(二人以上世帯)は、2002年約5%、2018年は40%と拡大した。2018年のネットショッピング支出金額は月平均12,610円、利用世帯では32,056円である。支出金額を費目別でみると、旅行関係費が24%と高く、次いで食料、衣類・履物の順となっている(総務省統計局)。
一方、我々の生活はネットショッピングによって大きく変化し、買い物自体の定義も変わった。専業主婦が多かった時代、手間ひまかけてでも安い商品を購入したが、今は共働きが増え、家事にかけられる時間が減少した。昔とは反対に、手間ひまを減らすことが意味を持つようになったのだ。
ネットショッピングの情報と評価
ネットショッピングは、消費者の意識も変えた。インターネットが普及する以前は、店やメーカーの持つ情報量が圧倒的であり、消費者は価格など限られた情報のなかで価値を判断せざるを得なかった。例えば、外食するときは知り合いや雑誌の情報が中心であった。あとはお店の外観や店頭メニューしかない。それ以外の情報は事前に調べることはできないのだ。
しかし今では、スマホ1つでお店の評価がすぐわかる。SNSやクチコミを通じて、相当量の情報を得ることができ情報量が多すぎると感じることさえあるくらいだ。また、自ら商品情報を発信することもできる。消費者発信が可能になると、好き嫌いや信頼といった主観的な要素も大きな意味を持つようになる。
商品情報の中には、偽情報(スパムレビュー)なども氾濫しているケースもある。よって、クチコミの中身や☆(星の数)など注意深くみる必要がある。
また、総合評価が同じ中間の3点でも、5つ星と1つ星に評価が二分している方が購買意欲の高まる商品とそうでない商品とがある。前者は、快楽性商品(映画や小説)、後者は実用性商品(参考書や翻訳アプリ)だ。同じ星3点でも商品によって中身の評価軸が異なることは意外である。
価値を問う新たなビジネスモデル
ネット通販企業が新たなビジネスモデルを次々に打ち出したことも社会に大きく影響した。アマゾンは、書籍の取り扱いを始め、家電、衣料、食料などへと取扱商品を増加させてきた。注文後、短時間で商品を届け、購入データに基づいて新たな商品を推薦するなど、今までにないモデルを生み出した。米国では「Death by Amazon(アマゾンによる死)、Amazon Effect(既存小売店が閉鎖に追い込まれるアマゾン効果)」という言葉さえある。老舗小売業シアーズが法的整理になり、小売最大手ウォルマートも勢いが衰え、ネット事業に注力せざるを得なくなった。
一方、個人間取引では国内のシェアサービスの代表格としてフリマアプリ「メルカリ」がある。出品者にとって不要なモノでも、他の誰かには価値があり売れることで普及した。新品を購入する前にメルカリで中古相場を調べることで、失敗しない買い物にもつながる。さらに使い捨てからの脱却、個人承認の欲求を満たすという側面もあるという。
これらのしくみが、本人が不要と思われるモノに価値を見いだし、資産の価値観をも変えたのである。また、中古品相場が「見える化」されたことも大きな効果である。
我々消費者は、自分だけの商品、サービスを求めている。より細分化したビジネスモデルが求められる時代では、物理的よりも精神的な豊かさ、客観的よりも主観的な評価がより重要になる。
(西部支社長 大沢昭博)
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