インターネット広告費が初めてテレビ広告費を上回る

掲載日:2020年3月12日

「2019年日本の広告費」によれば、インターネット広告費が6年連続の2桁成長で、2兆円を超え、テレビメディア広告費を初めて上回った。(数字で読み解く印刷産業2020その3)

新型コロナウイルスの影響で発表が3月にずれ込む

電通「2019年日本の広告費」が3月11日に発表されました。
「日本の広告費」は毎年2月末に発表されていて、今年も27日に発表予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で延期となっていました。
同社では本社ビルに勤務する男性従業員1名が「陽性」であることが2月24日に判明し、同ビルに勤務する全従業員を対象に同26日から在宅リモートワークを実施しています。現在のところ新たな感染者は出ていませんが、3月15日までリモートワークを継続することと、関西支社・中部支社ならびに国内電通グループ各社においても、同10日から順次リモートワークに移行していくことを同9日に発表していいます。

総広告費は2012年から8年連続で増加

「日本の広告費」は、日本国内で1年間に使われた広告費(広告媒体料と広告制作費)を推計したもので、「マスコミ四媒体広告費」「インターネット広告費」「プロモーションメディア広告費」の3つに分類されています。
2019年(1~12月)の総広告費は前年比6.2%増の6兆9381億円で、2012年から8年連続で増加しています。「不透明な世界経済や相次ぐ自然災害、消費税率変更に伴う個人消費の減退や弱含みのインバウンド消費など厳しい風向きの中、成長を続けるインターネット広告領域やイベント関連が総広告費全体を押し上げる結果となった」としています。
今回から「物販系ECプラットフォーム広告費」と「イベント」が推定対象に追加されましたが、これらを含まない前年同様の推定方法では、総広告費は同1.9%増の6兆6514億円となります。

6年連続2桁成長の「インターネット広告費」は2兆円超え

「マスコミ四媒体広告費」は2兆6094億円(前年比3.4%減)で5年連続の減少に対して、6年連続で2桁成長の「インターネット広告費」は2兆1048億円(同19.7%増)、「プロモーションメディア広告費」は2兆2239億円(同7.5%増)となりました。総広告費における構成比は、マスコミ四媒体37.6%(テレビメディア26.8%)、インターネット30.3%、プロモーションメディア32.1%となり、インターネット広告がテレビメディアを初めて上回りました。
「インターネット広告費は、テレビメディア広告費を超え、初めて2兆円超えとなった。デジタルトランスフォーメーションがさらに進み、デジタルを起点にした既存メディアとの統合ソリューションも進化、広告業界の転換点となった」と分析しています。

矢野経済研究所「2019インターネット広告市場の実態と展望」(調査期間2019年3~7月)では、「インターネット広告市場を2023年度には約2.8兆円まで拡大」と予測しています。

『印刷白書2019』では印刷メディア産業に関連するデータを網羅し、わかりやすい図表にして分析しています。また、限られた誌面で伝え切れないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信しています。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)