用紙発注の電子化により業務効率を改善した大光印刷の取り組み。
新型コロナウイルスの感染拡大は社会生活や経済活動に大きな影響を与えている。終息の時期が見えず不安やストレスを抱えたなかで、とても先の事など考えられないというのが、私を含め多くの方の率直な気持ちであろう。しかしながら、在宅勤務(テレワーク)の拡大などによりコロナ前とコロナ後では世の中の当たり前が大きく変わっていくように思われる。日々の日常業務のなかでの当たり前を改めて見直してみる機会とも言えるのではないか。
用紙発注の電子化の取組み
京都と東京に拠点を構える大光印刷では、役員からの「業務用のFAXを止めることはできないか」という問いかけをきっかけに用紙の発注を電子化した。
それまでは用紙の購入や外注の手配などは、注文のFAXを送信して、相手から確認のFAXを受信すると両者をセットにして保管していた。これでは、業務履歴がアナログの形でしか残らないのでタイムリーな進捗状況は担当者にしかわからなかったし、業務の属人化、ブラックボックス化する要因の一つとなっていた。
当社では社員のスムーズな世代交代を図るため業務の標準化を進めており、用紙発注の電子化の取り組みはその流れにも合致していた。電子発注はカミネットが提供する紙パルプ業界向けの標準EDIのサービスを利用することとした。
FAX廃止という会社の方針はあるものの担当者にメリットがなければ無理強いしても意味がない。そこで、業務フローを見直し、電子化によって効率化ができるかどうか念入りに検証を行った。検証の結果、業務効率が改善できることが明らかになったことと、初期導入コストが安かったことが決め手となりパッケージ部門から用紙EDI導入に踏み切った。
IT環境は変化が激しく、業務のやり方も変化していくのでシステム開発の初期投資がかさむと導入はしづらい。導入したシステムが更新できず、システムそのものがリスクとなる可能性がある。
カミネットの標準EDIは毎月2万円ほどのランニングコスト(1拠点あたり固定費用5千円+発注件数による変動費)のみで、仮に自社のやり方にあわなくなったときにはすぐに止めることができる点も魅力であった。
導入にあたってはカミネットに相談をしてからEDIの本番運用開始まで4か月という短期間で立ち上げることができた。
1日2時間の業務を30分に
これまでは、Excelで作成した印刷予定表からコピー&ペーストして用紙の発注書を作成しFAXしていた。これをExcelから発注用のCSVデータを出力し、カミネットのWebEDIの画面でアップロードするというやり方に変えることで、これまで1日2時間かかっていた用紙発注業務が30分に短縮された。手作業で転記(コピー作業)はどうしても人為ミスが起こるリスクがあるが、それを限りなく少なくすることができている。
Jagat info 2020年4月号より抜粋(JAGAT 研究調査部 花房 賢)
補足:
EDI:電子データ交換(Electronic Data Interchange)の略語
取引データ(受発注・請求など)を通信回線を通じて企業間でやり取りする電子商取引の仕組み
用紙EDIの問い合わせ先
株式会社カミネット
https://www.kaminet.co.jp
TEL:03-3517-5888
印刷業界の事例紹介
https://www.kaminet.co.jp/edi/edi_dist.html