新型コロナウイルス(COVID-19)が猛威を振るっており、世界経済、日本経済に多大な影響を及ぼしている。4月7日、7都府県に新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が発令されたことで、小売り、サービス業の営業自粛に加え、全国的に有名なお祭り等を含め、各種イベントや行事の中止発表が相次いでいる。さらに4月16日には緊急事態宣言が全国に拡大され、状況は深刻化している。
このような事態で各種商品やイベントなどのプロモーションや関連グッズなどの発注が見直され、商業印刷の分野では受注減少に直結する。感染流行の早期の終息が望まれるが、現状では先行きが全く不透明であるということで、印刷市場への影響は計り知れない。
現状では営業を行うにしても、得意先の事情もあり、印刷会社独自でやれる努力は限られる。したがって、まずは経営維持のための運転資金確保と従業員の安全対策が優先されるだろう。とにかく、この厳しい状況をなんとか乗り切って感染流行が終息したあかつきには、いち早く通常の経済活動に戻れるような準備が望まれる。
一方で、BCPの観点から新たな事業のあり方、経営のあり方を考えることも必要になるであろう。働き方改革でテレワーク等が注目されていたが、現実にはほとんどの企業で真剣に取り組まれていなかったり、そもそも考慮されていなかったりしたことが明らかになった。
非常事態の時といえるが、この時期を利用して印刷会社は自社の業務状況を洗い出し、どの業務でテレワークが可能で、どの業務が対応できないのか、テレワークを導入した場合に予想される課題等を検証し、社内でテレワークのインフラ整備やルール作りをすることが求められる。また、顧客対応や営業のあり方も見直すことが必要になる。今後は新型コロナ流行以前のままの経営を踏襲することはビジネスリスクが高くなるのは明らかだろう。
JAGAT info4月号では、急遽、コロナショックが印刷経営に与える影響と対応について、研究調査部部長の藤井建人が考察している。
さらに売り上げへ影響、自社の対応策など、「印刷会社へのコロナショックの影響と対応に関するアンケート」を行った。このアンケート結果など、印刷業におけるコロナ対策関連の記事を5月号に掲載する予定である。