コントロールストリップ(カラーパッチなど別の呼び方もある)は印刷物が自社の品質基準通りに印刷されているかどうかを客観的に評価するために欠かせないものである。
印刷品質の安定を図る
コントロールストリップは用紙の余白部分に配置され5~10mm程度の帯状のパターンである。一般的に、これで管理される項目はインキ濃度、網点再現性、トラッピング、グレーバランス、ダブリなどがあり、この“色のものさし” を使用して品質を安定させている。これが無いとインキ量がどれくらい出ているか、現在の印刷状況がどうなのか把握しにくくなる。
現場だけでなく営業にも有効
以前は印機械に品質管理用としてハンディタイプの測定器が付けられていたが、あまり活用されておらず大切な仕事のときだけ測定する、という時期があった。この大きな理由はコントロールストリップには測定する箇所が多くあり、測定作業に時間を要したからだ。そこで印刷機械メーカーから印刷機と連動させた自走式の測定装置が発売され、測定の時間が短縮された。しかし、当時は装置が高価なこともあり印刷会社としては導入しにくかった。その後さらに改良が進められ、低価格の装置が開発されて導入が進んだことから、今では多くの会社で活用されている。
現場ではコントロールストリップを一定の印刷枚数ごとに測定器で左から右へと読み取る。そして読み取ったデータをあらかじめ設定している目標値に自動的に補正して印刷機にフィードバックさせ、品質基準値に対してどの色がどの程度ずれているかの情報が得られるので補正もしやすく効率的に作業できる。
一方で営業の立場からすれば、もはや印刷品質で他社とは差別化はできないのが現状だ。しかし、営業が顧客から品質管理の仕方を聞かれた際や、品質をチェックするため顧客が刷り出しに立ち合うときに、コントロールストリップを具体的に示して説明すると顧客も理解しやすい。
品質管理の標準ツールとして活用
測定器が有効に活用されていなかった時期は、色管理をオペレーターの勘に頼って作業をしていた。勘に頼った作業をするには経験が必要である。経験則で作業を進めるノウハウを持った人は貴重ではあるが、工場のノウハウとしては蓄積されない。
しかし、今では人材不足という社会的な背景からベテランが退職し、若手オペレーターは経験が浅くても高い品質の仕事をこなさないといけない。こうしたことに対応するためにも経験が少ない分を印刷機の性能に依存することになる。機械の性能を最大限に発揮させて一定レベルの品質で印刷するために、印刷の標準化を構築して数値管理しながら作業しなければならず、そのための指標の一つがコントロールストリップともいえる。
(CS部 伊藤禎昭)
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