技術的知識を裏付けとして、お客様の目的に対し最適な選択、提案ができることが信頼を得ること、そして印刷物の品質保証の第一歩です。
新入社員の皆さんは入社後さまざまな研修を通じて、これから本格的に業務に取り組むための基礎づくりをされていらっしゃると思います。ビジネスマナーや、担当業務に必要な知識などを座学を通じて学ぶとともに、実践的なノウハウなどは上司の方や先輩方からOJTで身につけていくことと思います。
印刷会社に入社した皆さんであれば、印刷技術の基本を勉強する機会もあります。今まで聞き慣れない専門用語や業界用語も飛び交うので、はじめは戸惑いもあるでしょう。印刷技術には化学的な要素も非常にたくさんあり、文系の方にはとっつきにくい面もあります。もしかしたら、営業系や企画・デザイン、総務関係など、製造現場以外の職種に進む方にとっては、不要の知識と思ってしまうかもしれません。
しかし、印刷会社に勤務する方であれば職種を問わず誰もが、きちんとした基本的技術知識を持つことこそ、お客様に信頼され、会社全体の信用にかかわる大切なことであることを認識していただきたいと思います。
印刷物は、営業担当の方が受注してから納品されるまでには様々な工程があり、多くの部門、職種の人達が関わって制作が行われています。製造工程では、厳しい品質管理のもと各工程におけるプロフェッショナル達による進捗、管理を経て納品に至りますが、実は受注プロセスや企画・編集段階における営業などの担当者と、お客様のコミュニケーションも品質管理には欠かせない重要な要素であることを肝に銘じてください。
なぜなら、印刷物は一点一点仕様の違う製品で、スーツでいえば量販店などに並ぶ既製品ではなく、お客様ごとの注文によるオーダーメイドだからです。印刷品質とは、単に印刷物の正確さや色の美しさなどのことだけではなく、お客様の要望にきちんと沿うことで初めて担保されるものです。
さらに、お客様の最終的な要望とは印刷物を作ることではなく、その先に目的があることを知るべきです。例えばパンフレットを印刷するのは、その製品を多くの人に知らしめて購買につなげたい。チラシをばらまいて大勢に人を集めたいといった目的があります。特に、インターネットをはじめとするデジタルメディアの進展により、消費者の行動が変わり、マーケティング手法もデジタルを中心としたものに変化してきた現代において、紙の印刷物の価値や役割を新たに考えて、お客様の真の目的に対し効果があるものとしなければなりません。
印刷技術や制作工程の基本を学ぶということは、こうした印刷品質を、きちんと技術的背景をもってお客様に保証できるという意味で大切なのです。それは、必ずしも印刷機の仕組みやカラー印刷の原理をお客様に説明できるということではありません。技術的知識を裏付けとしてお客様の目的に対し最適な選択、提案ができることにより、お客様の望む効果が得られたり、問題解決ができるという点において、本当の信頼が得られるからなのです。
・・・JAGAT通信教育「よくわかる印刷技術・基本コース」添削課題解説より・・・
是非がんばって技術の勉強に励んでいただきたいと思います。
(JAGAT CS部 橋本 和弥)
【関連情報】
◆「在宅学習」に最適な!JAGAT通信教育
・リニューアル「よくわかる印刷技術・基本コース」(5月新開講)
・「印刷業のための新入社員コース」
・「印刷営業の基本と実務」
◆各講座案内、お申し込み、資料請求、内容見本請求もこちらから