マルチチャネル活用によるVMCの認知・販売促進と継続的コミュニケーション施策のご提案
<次世代へと続く顧客のファン化を目指して>
※【第29期クロスメディアエキスパート 論述試験 】解答サンプル
◆【第29期与件:鋳物ホーロー鍋の製造・販売】クロスメディアエキスパート 記述試験
————————————————————————————————-
(設問)下記は、あなたの所属するグループで使っている企画提案書作成の検討フォーマットである。与件文を読み、設問にしたがって各項目を記述しなさい。
[問1]【課題設定】
A社が顧客コミュニケーションにおいて取り組むべき課題を3件、優先度の高い順に記述しなさい。
(1)顧客との双方向型コミュニケーションの不足
強固なファン育成を目指す上で、生活者とコミュニケーションをとる機会が必須であり、現状ではそうした機会が不足している。
(2)他社との差別化
鋳物ホーロー鍋の主要ターゲットが他社と被っている。今後、工場見学や統合施設等の取り組みが控えていることから、そこにもマッチする新たなターゲティングが必要。
(3)ブランドの魅力の周知徹底
広まりつつはあるが、「メイドインジャパンの高品質」をより売り出すと共に今後控える施策の宣伝も必要不可欠である。
[問2]【ターゲット】
A社に提案する施策のメインターゲットとその理由を記述しなさい。
(ターゲット)
ファミリーをメインとする。料理好きで健康志向の高い家庭を想定。子供の年齢は一緒に料理を学ぶ小学生~独り立ちをする前の大学生まで。
(理由)
①主婦層をきっかけとし、次世代へ続く強固なファンを育成するため。
②他社との差別化を図りつつ、今後展開予定の施策にもマッチすると考えられるため。
③料理好きで健康志向な家庭には、貴社の強みが最大限発揮できると考えられるため。
[問3]【提案の骨格・方針】
下記の項目を記述しなさい。
(1)本提案における施策発信の中心となるメディアとその選定理由
[メディア]
Web広告、店頭POP(販売店舗・書店)、出版物、Webサイト(自社)、SNS、イベント
[選定理由]
[Web広告、店頭POP ]:興味・関心の醸成のため。また、購入を考えている層が接触しやすいため。
[出版物、Webサイト(自社)、SNS、イベント ]:ブランドの認知や継続的なコミュニケーションをはかるため。
(2)メディアを通じて発信・訴求する主要コンテンツとそのねらい・意図
[コンテンツ]
①ブランドの魅力を押し出した商品・出版物・今後の施策の宣伝広告
②親子イベントの開催
③LINEによる親子の料理日記の投稿・出版化
[ねらい・意図]
①VMCのブランド・スローガンの周知を図り、直接的に購買を刺激する。
②ターゲットに対しVMCの良さを感じてもらう。今後の施策展開に誘導する。
③次世代へと続く購買を促進する。
(3)本提案の施策において複数メディア間の連携を誘導するしくみ
[Web広告・店頭POP ]➡[商品の購入・利用、レシピ本の出版・購読 ] ➡[Webサイト(自社)、LINE、SNS、イベント ]➡[工場見学・統合施設]
(4)共有・拡散を促すしくみ
親子イベント開催にあたり、SNSでアカウント作成。親子で作れるレシピを配信する。また、親子イベントのPRをフォロー・共有した人に、抽選で「親子で作れるレシピ本」をプレゼントする。
親子イベント実施後、イベントの様子をライブレポートする(参加者の顔出しに関しては同意の上で)。
(5)A社の競合他社への差別化対策
・何度も受賞するような「メイドインジャパンの高品質」をアピールする。
・ターゲットを高級志向の主婦からシフトすることで、新たな購買層を創出する。
・LINE等を駆使した新たなコミュニケーションチャネルを活用することで、接触機会を増やす。
[問4]【提案する施策内容】
A社に提案する施策を3件にまとめ、記述しなさい。
【第1施策】
[施策タイトル]
「店頭POP・Web広告においてブランドの魅力を押し出す商品・出版物・今後の施策の宣伝広告」
[施策内容・目的・効果など]
< 目的 >
購入を検討している層や料理に興味を持っている見込み客層に対し、ブランドの魅力をアピールすることで購買を促進する。ブランドの認知を図る。
< 内容 >
販売店舗では「手料理と暮らそう」「メイドインジャパンの高品質」をテーマに、モダンで上質なイメージの商品広告を掲げる。
また、「親子で作れるレシピ本」を出版することで、VMC自体や今後の施策の宣伝を行う。書店には出版物の宣伝POPの他、発売時には実物も展示する。本の帯には今後の展開を紹介。Webではレシピサイトをメインに製品・出版物の広告を出す。
< 効果 >
商品やレシピ本からVMCの魅力を知ってもらう。次の施策の足掛かりにする。
【第2施策】
[施策タイトル]
「VMC親子料理イベントの開催」
[施策内容・目的・効果など]
<目的>
製品を実際に使うことで、魅力を体感してもらう。親子の思い出作りに貢献することで「VMCのある暮らし」をイメージしてもらう。
<内容>
隔週末の1日2回開催。親子でVMCを使って料理をしてもらう。イベントの様子はSNSでライブ配信(個人情報には配慮)。
事前に参加希望者を募るほか、レシピ本の購入者やSNSのイベントPRを共有した方を抽選で招待する。
また、イベントのPRを共有した方の中から抽選でレシピ本をプレゼント。新製品のお試しや工場見学等のプレビュー招待も検討する。
<効果>
ファン化の一歩としてブランドの魅力を実感してもらう。不特定多数に拡散してもらう。
【第3施策】
[施策タイトル]
「SNS(LINE)活用による親子料理日記の投稿・出版化」
[施策内容・目的・効果など]
<目的>
親から子へ、次世代へと続くファン育成のため
<内容>
LINEで公式アカウントを開設。
VMCを使ったレシピや感想、親子での写真等を利用者に投稿してもらう。
また、チャットボット等を採用。今日のオススメレシピの配信やQ&Aの応対を行うことで、利用家庭のレシピの困り事を解決し、VMCが生活に寄りそうことをアピール。
継続をしてもらう工夫のひとつとして投稿された写真やレシピをアルバムにしてパーソナルプリントし、抽選でプレゼントする。
<効果>
VMCが生活の一環であることを体感してもらい、次世代のファンを育成し続けていく。
[問5]【実行スケジュール】
施策の実行スケジュールを記入しなさい。
[問6]【概算見積】
施策の概算見積を記入しなさい。
項 目 | 金額(万円) |
要件定義・設計 | 350 |
店頭POP(デザイン・印刷含む) | 200 |
Web広告 (デザイン・印刷含む) | 350 |
レシピ本 | 450 |
SNS運用 | 300 |
親子イベント | 450 |
LINE | 400 |
合 計 | 2,500 |
[問7]【タイトル】
提案書のタイトル(およびサブタイトル)を記述しなさい。
マルチチャネル活用によるVMCの認知・販売促進と継続的コミュニケーション施策のご提案
~次世代へと続く顧客のファン化を目指して~
[問8]【序文(挨拶)】
提案書の序文を「ですます調」で記述しなさい。
この度は、貴社事業に関するご提案の機会をいただき、誠にありがとうございます。貴社は「世界最高の品質にこだわることが、日本のモノづくりとしての誇り、職人の誇り」を理念とし、業績を伸ばしてこられました。貴社が新たに参入した鋳物ホーロー鍋市場には既に競合他社が日本でのシェアを拡大しており、今後ますますの競争激化が予想されます。
しかしながら、貴社の製品であるVMCは、これまで数々の賞を受賞しており、その製品力の高さは他社を圧倒する大きな強みであると認識しております。
本提案では、そうした強みを活かしながら、ターゲットのシフト、それに合わせた出版物の制作・イベントの開催・コミュニケーション施策の実施を通して、VMCの認知・販売促進や顧客のファン化等、貴社事業の発展に寄与します。
[問9]【施策の総合的効果】
問4に記述した施策のまとめとして、下記項目を記述しなさい。
[自社(X社)の強み・X社を採用する意義]
・ A社と過去に取引をした実績があり、スムーズな対応が可能です。
・企画~運用までフルサポートでき、製作にも一貫性があります。
・週単位でレポートし、メディア展開の効果を細かく測定できます。
[施策内容の総合的な効果・まとめ]
・ターゲットを既存顧客+αとすることで、他者との差別化をはかりながら、新たな顧客層を開拓できます。
・出版物の制作やイベントの開催を通じて「VMCのある暮らし」の定着を図れます。
・LINEや他のSNSを活用することで共有・拡散を促すほか、継続的で双方向型のコミュニケーションを実現できます。
————————————————————————————————-
【作成者】 M.K (大日本印刷株式会社)
【コメント】
各メディアの特性を活かした総合的なプロモーションをいかに論理的に展開できるかが鍵だと思います。
勉強法としては、ボリュームのある答案を短い時間内に書ききれるように練習しておくことをぜひお勧めしたいです。
企画提案力や論理的構成力、タイムマネジメント等が身につく良い機会になったと感じています。