ある印刷会社の営業担当者によると、6月に入ってから、少しずつ顧客への訪問も可能になったが、主たるコミュニケーション手段はウェブツールを活用したテレワークスタイルだという。
新型コロナウイルス感染による緊急事態宣言下では、通常の経済活動ができなくなり印刷需要が減少した上に、印刷営業はお客様への訪問ができなくなって、受注活動が苦境に陥った。緊急事態宣言が解除された以降も、これまでのような訪問営業は難しくなっているようだ。
既存顧客からのリピート受注なら、電話等の打ち合わせで仕事を進めることができるだろうが、新規案件の受注や新規開拓となると顧客訪問ができなくなることは大きなダメージだ。
となると、否応なくafterコロナ/withコロナ時代をにらんだ新たな営業戦略、営業スタイルが必要になる。コロナ禍でテレワークやリモートでの作業スタイルが進み、働き方が変わりつつあるなかで、印刷営業のあり方も従来とは違ったやり方が求められるだろう。
このような状況で、もうすでに、新たな取り組みを始めている印刷会社がある。例えば営業ツールとしてのウェビナーの活用である。7月下旬に発行する『(仮)JAGAT テレワークガイドブック』では、実際にウェビナーを開催している印刷会社の経営者、担当者にZoom等を使って取材した。
目的や想定ゴールはそれぞれだが、概ね見込み顧客の開拓、既存顧客とのエンゲージメント強化、ケースによっては受注案件の創出などである。取材したいずれの会社も、まだ手探り状態の部分もあるようだが、ウェビナー活用を積極的に評価しており、恒常的な営業ツールとして強化していくとのことである。
この数年はデジタルトランスフォーメーション(DX)が言われるが、印刷業界ではほとんど注目されてこなかった。印刷業界のデジタル化はどうしても製造・生産面に注目されるため、DXはあまりピンこないというのが現実だったと思う。
しかし、コロナ禍で仕事の入り口である案件創出から受注への流れで、訪問営業を主とした旧来の印刷営業が困難になり、またコロナ禍で社会と市場環境が変わるなかで印刷営業の存在とあり方そのものが問われている。今こそ、営業戦略そのものを再構築する印刷営業のDXの実現が迫れられているといえよう。
まさに「デジタル×紙×マーケティングfor Business」が重要であり、マーケティングオートメーション、ウェビナー、Zoom等のデジタルツールを駆使して印刷営業のDXを実現していくことが、印刷ビジネスの未来を拓くのではないだろうか。
【JAGAT info編集部】
7月30日開催の『JAGAT テレワークガイドブック(仮)』発刊記念セミナー
コロナとテレワークは社会と印刷をどう変える【オンライン開催】