4月の売上高は△18.7%と観測史上最大の落ち込み。100年に一度の金融危機と言われたリーマンショックの時ですらも、落ち込みの最大幅は2009年5月の△10.5%だった。今回の印刷業界へのインパクトは当時をはるかに上回る。
地域別には、首都圏、名古屋圏、大阪圏の3大都市圏が軒並み△20%以上の記録的な落ち込みとなった。
業種・業態別では、景気感応度の強い商業印刷(△28.1%)が3割近い減少。地方に多い総合印刷は(△17.8)も2割近い減少。出版印刷(△13.8%)は商業印刷と総合印刷の落ち込み幅ほどではない。紙器・包装印刷と事務印刷(+1.4%)は前の三者ほどの落ち込みではなく、一部には特需もあったようだ。
規模別では、従業員数が少なくなるほど影響度が大きかったようだ。30人未満(△28.1%)、30~49人(△23.5%)、50~99人(△15.6%)、100~299人(△18.1%)。受注件数(△23.4%)は売上高以上の落ち込み幅を記録、5月以降が懸念される。特に首都圏、商業印刷、49人未満といった属性において受注減が目立っている。
【印刷会社経営者の声】
■茨城:商業
4月下旬から一人週一回の自宅待機を手探り状態で実施。お客様と会社を守るために必要であるということと、一人一人の責任感と行動によって成り立つということを説明した。
■ 東京:事務
課題を先延ばしにして、解決を図って来なかったこと。タコツボ的に社内で同じ作業しかしていなかった人たちを、変化の激しい社会環境下で育成することの難しさを痛感しています。変化が少なかった後加工の思考の変化、新しいチャレンジをすることなどに取り組みたい。
■ 長野:商業
コロナの影響による売り上げの減少は4月からさらに大きくなりました。折込チラシの自粛に始まり、続いてイベント中止でパンフレット等がなくなっていった。5月はさらにイベント資料などの冊子がなくなるなど、減少局面が続きます。
■ 岐阜:その他
社会と密接に関わり、お客様の機密を守り、緻密な作業で成り立つ「三密」の印刷業界。今は苦しいがこの業界にいて良かったと思う。辛抱がいずれ力になることを信じて。
■ 和歌山:商業
大きな転換をもたらす出来事をゲームチェンジャーというらしい。コロナ危機はその最たるものだと思う。今までの社内ルールや慣習を見直そう。会社への影響が避けられないのなら、良い方向へ導きたいと思う。
(『JAGAT info』 2020年6月号,印刷経営ウォッチング,p60-61より抜粋して要約)