印刷業定点調査 各地の声(2020年5月度)

掲載日:2020年8月27日

5月の売上高は△25.6%。残念ながら、観測史上最大の落ち込みを記録した4月(△18.7%)をさらに上回る落ち込み幅となった。

地域別には、首都圏、名古屋圏、大阪圏といった3大都市圏が軒並み△20%超となった。とりわけ大阪圏は4割超の売り上げ減を記録。企業活動の鈍化に加えてインバウンド需要が剥落、これまでの恩恵が大きかった地域は反動も大きくなった模様だ。

業種・業態別では、景気感応度の強い商業印刷(△34.3%)は3割強の減少。地方に多い総合印刷は(△21.9%)は2割強の減少。出版印刷(△26.6%)は、4月(△13.8%)よりも落ち込み幅が大きく拡大した。紙器・包装印刷と事務印刷(△14.9%)は、4月までは微増だったが5月は大きく落ち込んだ。5月からは出版印刷と紙器・包装印刷、事務印刷にも甚大な影響が現れ始めている。

規模別では、あまり従業員数に関係なく影響が出た。30人未満(△26.8%)、30〜49人(△32.2%)、50〜99人(△27.7%)、100〜299人(△26.5%)。受注件数(△33.2%)は4月に続いて売上高以上の落ち込み幅を記録、6月以降についても引き続き懸念される。

【印刷会社経営者の声】

東京:総合

コロナの影響により定期の仕事がほとんど動かなくなり、売り上げが4割以上なくなった……。

神奈川:商業

新型コロナウイルスの影響で受注額・受注件数ともに大幅減。非常に厳しい状況が続き、次月以降も不透明感が強い。生活様式の変更により「人・金・物」の動きが鈍く、長期的な対策を必要と感じる。

岐阜:総合

5月はコロナの影響がモロに経営の数字に表れた。中小企業は特化戦略が必要といわれるが、印刷以外の取扱品の多様化、営業チャネルの多様化、協力会社・仕入チャネルの多様化など、さまざまな逃げ道を作っておかなければいけないことを痛感している。

和歌山:商業

これまでなかなか進捗しなかった課題の一つに多能工化がある。コロナ禍の受注減による休業要請に対応して、多能工化に向けてのチーム分けをして作業を行っている。目的を持った最少人数で作業することがソリューションにつながっている。

岡山:商業

厳しいです。この状況は年末まで続くのか……、不安あり。新しい事柄へのチャレンジが必要です。

(『JAGAT info』 2020年7月号,印刷経営ウォッチング,p60-61より抜粋して要約)