「印刷会社のフリーペーパー展」page2015特別企画報告

掲載日:2015年3月19日

page2015では、JAGAT会員企業が企画・編集・制作などに参加するフリーペーパー・フリーマガジンを募集、 会場内に特設ブースを設け、展示を行った。そこから見えた印刷会社のフリーペーパーについて報告する。

「地域情報の収集・発信」に注目、特別展を企画

JAGATでは2011年から地域活性を重点テーマに、研究会ミーティングやpageカンファレンスを開催、会員誌『JAGATinfo』では連載「印刷会社の地域活性化」の中で、業界内外の最新事例を取り上げてきた。2013年、2014年には『印刷会社と地域活性』を発行、あらゆる機会を通して印刷会社における地域活性ビジネスの可能性を発信し、2014年からは複数大学で関連講義も行っている。
今回のpage2015では、前出『印刷会社と地域活性Vol.2』に収録した「印刷会社の地域活性化」に関するアンケート結果分析で、現在の取り組み事例として回答の多かった「フリーペーパー」を始めとした「地域情報の収集・発信」に注目、フリーペーパー特別展を企画した。

JAGAT会員企業による「全国フリーペーパー展」

印刷会社の強みの1つは、地域情報に限らず、様々な情報を収集する仕組みを持っていること、それらをターゲットに伝わりやすい快適な形に加工できることだ。またアイデアに富んだコンテンツを「企画・編集」する能力を持つ会社も多い。

JAGATでは2014年11月に実施した早稲田大学・フリーペーパー講座の講義に先立ち、以上のような印刷会社の強みを発揮して企画・制作されたフリーペーパーをJAGAT会員から募集した。地域色豊かでバラエティに富んだフリーペーパーと印刷会社の業務の多彩さに、受講した学生からは大きな反響が寄せられた。

そこで、より多くの人に単に製造業に留まらぬ印刷会社の姿や印刷メディアのクオリティの高さや魅力、印刷会社がそれぞれの地域で果たしている役割を伝えるため、page2015にて特設展示を企画した。企画趣意に賛同してくれた会員企業から多くの媒体が寄せられ、最終的には24都道府県43紙誌(そのほか海外発行版1媒体)が集まった。

page2015特別展におけるフリーペーパーの平均像

ここで、JAGAT会員から寄せられたフリーペーパーの平均像を紹介する。まず、発行サイクルだが、最多解答は「季刊」で53.7%、次いで「月刊」(19.5%)、「隔月刊」(14.6%)、「不定期などその他」(12.2%)となった。春夏秋冬のそれぞれの時期に合わせた地域のトピックを取り上げ、読者に提供している印刷会社が多いようだが、回答社の1/5は毎月新しいコンテンツを企画、編集・制作し続けている点にも注目して欲しい。

各社における収入構成比率では「広告費」が67.5%と最も高く、次いで「自社負担」(22.9%)になった。一般的にフリーペーパーの制作・発行費は広告費で賄われる事例が多いが、印刷会社が発行主体の際は「地域貢献」の視点から自社負担で制作されることも多いようだ。

そのほか、発行部数平均は3.5万部、通巻平均は32号、平均ページ数36.9ページ、発行サイズはA4サイズ、フリーペーパーの主要コンテンツは「特集」と「数本の連載」、というのが今回の調査から見えた印刷会社が発行主体のフリーペーパー・フリーマガジンの平均像だった。

電通の「2014年日本の広告費」によると、フリーペーパー・フリーマガジンは広告費2316億円、前年比1.2%と微増した。紙×Webの連動企画における有効性や地域メディアとしての優位性、地域・観光活性化のフックとしての役割など、フリーペーパーの持つ強みが支持されたのだろう。今後は紙×Webマガジンだけでなく、地域情報のポータルサイトや動画などとも連動させ、地域や観光の活性化を後押しを担うことが期待されている。

(研究調査部 小林織恵)