7月の売上高は△17.1%。落ち込み幅は5月(△26.1%)と6月(△20.7%)より小さくなり、5月を底とした回復傾向が続いている。
地域別には、回復の遅れていた首都圏と大阪圏が下げ幅を大きく縮めた。6月に大きく改善した名古屋圏は若干の改善にとどまった。3大都市圏ともそろって△20%前後となっている。
業種・業態別では、商業印刷(△21.5%)と総合印刷は(△17.2%)は6月を下回ってしまった。早くも回復傾向に息切れ感が表れ、コロナ禍による先行き不透明感の長期化を改めて感じさせる。出版印刷(△8.0%)と紙器・包装・事務印刷(△10.2%)は、6月よりも落ち込み幅を大幅に縮めた。全体として情報系の苦戦、そして生活系の回復と明暗が別れる構図になっている。
規模別では、落ち込みの最も大きかった30人未満(△11.8%)が飛躍的な回復傾向を見せたほか、100〜299人(△8.5%)も順調な回復の足取りとなった。一方、30〜49人(△21.9%)と50〜99人(△21.8%)は6月よりも低下した。回復の度合いは企業によって大きな差が生まれている。
【印刷会社経営者の声】
■東京:事務
胆力がないから活力がないのか、計画力・設計力がないから構造力・デザイン力がないのか。コロナが浮き彫りにしたのは、経営者・現場のインテグリティや本質をとらえた、変身し続けられる行動力・学習能力だろうか。コロナ禍でも業績の良い会社を見習おう!
■ 神奈川:商業
新型コロナ感染拡大が続いているが、徐々に仕事が動き出してきている実感がある。今後コロナとの共存による「ものづくり」が加速し、その販促活動の活性化による受注回復に期待したい。
■ 長野:総合
新型コロナウイルスの感染は人と人との接触で発生します。有効な治療薬がないため、外出を控え3つの密を避けること、手洗いやマスクの着用を徹底することが唯一の予防策です。従って一人一人の行動が重要となります。心掛けましょう。
■ 和歌山:商業
コロナ禍において、何とか利益を出そうと思えば、用紙代、加工代、外注費など変動費の削減しかない。しかし、われわれが仕入を切り詰めようといっている以上に、お客様も先行き不安から販促費を削減しようと思っているから、さらに売り上げが減少する。これを打開するには、なりふり構わず新しいお客様を開拓することだと思う。
■ 熊本:商業
コロナ需要で若干ではあるが好転している。クライアントの補助金利用の仕事を取り込めている。今後このような仕事が増えるだろうが、補助金等が切れればまたストップすると思う。スポット受注が多いので、中長期的にはあまり期待はできない。
(『JAGAT info』 2020年9月号,印刷経営ウォッチング,p60-61より抜粋して要約)