コロナ禍での顧客とのつながりは、購買につながる行動の変化を踏まえたサービス動線の再構築がポイントとなりそうだ。
新型コロナの感染状況が暮らし、社会活動の見通しの大きな要素として懸念される日々が続いている。
第一波到来の際、少々痛い目をみながらも半強制的にデジタル化、オンライン化が進んだ社会・経済活動は、続く第二波、第三波の状況とともに、一時的退避策から、定着、最適化に向けた検討が重ねられている。
日常生活では一人の消費者、ユーザーとして、ビジネスの場面では商品・サービスの提供側として、生活者の購買行動が大きく変化していることはみなさん実感されているところだろう。
12月2日より開催中のJAGAT大会2020オンライン特別講演の奥谷孝司氏は、著書である「世界最先端のマーケティング」の中で、「顧客とのつながりは、顧客データの把握と企業からの提案という双方の対話によって強くなる」と述べている。
よりつながりを強くするために、顧客の生活様式や購買行動を知り、顧客の潜在欲求を顕在化する提案、オンラインとオフラインをシームレスに行き来しながら体験価値を高めることの重要性を説く。
つながりを実現する人材はどうする?
JAGAT人材育成事業であるクロスメディアエキスパート認証制度では、顧客事業の課題解決に向けたコミュニケーション戦略について、仮想案件(与件)に対し企画立案をするという論述試験を行っている。
直近試験では、地方都市にて複数店舗を展開するカフェレストランが「パワーサラダランチ」の持ち帰り事業を始める、という与件を出題した。
今後持ち帰り専門店に重点を置き全国展開を狙うにあたり、多くのファンとのつながりを重視したコミュニケーション手法を確立したいという顧客の要望に対し、印刷会社の立場で各種メディアを活用した企画提案を行う、という趣旨である。
まさにオフラインであった店内飲食用の店舗で培ったファンを、持ち帰り専門店にオンライン・オフラインを活用してどのように導くか、またすでに培われた固定客の評判等から新たなファンづくりをしていく施策が検討される与件である。
こうした企画立案をするにあたっては、ヒアリングによって顧客のビジネス背景や、商品・サービスの企画意図、利用者のライフスタイルや嗜好などを知るところから始まる。試験ではそうした情報を与件文として提示し、プランニングの要点を記述してもらう、という形式をとっている。
JAGATでは、印刷会社が紙とデジタルを掛け合わせてマーケティングソリューションを提供していく手法について、人材育成の面からも提唱し続けている。
タッチポイントの変化と全体サービス設計
顧客とのタッチポイントがオフラインの場からオンラインの場に変化すれば、商品・サービス提供のシナリオも変わる。
顧客行動の動線とともに、それに応じた商品・サービス提供側のフロントステージ(顧客から直接見える場面)、バックステージ(顧客に直接見えないサポートの場面)でのアクションやプロセスを再設計する必要も出てくるであろう。
提供している商品・サービスが顧客に与えるユーザー体験をサービス設計の全体像で捉え直すことで、マーケティング活動においてメディアは効果を発揮する。
商品・サービス提供側からの一方向の価値提供ではなく、顧客とのつながりを通した体験価値がマーケティング活動に求められる社会環境となっている以上、一連のサービス設計の重要性に気づき、メディアの役割を探る視点を持つことは急務と言えるのではないだろうか。
JAGAT大会オンライン2020開催中
『with/afterコロナの経営を考える』
名 称:JAGAT大会オンライン2020
開催期間:2020年12月2日(水)〜2020年12月19日(土)
登壇者:5人 総講演時間:145分
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