2月8日(月)から開幕するpage2021 オンラインカンファレンス・オープニングセッションでは、本間充氏に登壇いただき、新型コロナウイルスによって変化した世の中の新常識について問いかけ、with/afterコロナ時代の印刷物の役割、印刷ビジネスはどうあるべきかについて突き詰める。
JAGATは、2018年より印刷業界の未来を切り拓くキーワードとして“デジタル×紙×マーケティング”を掲げ、page、JAGAT大会、JUMP(JAGAT地域大会)、研究会、セミナーなどあらゆる機会を通じて議論、考察、啓蒙を行ってきた。
この間、マーケティングサイエンスラボの本間充氏には、デジタルマーケッターの立場から印刷ビジネスに関し、講演、アドバイス、提言など様々な協力を得てきたが、『印刷白書2020』においても、コロナ禍とどう向き合うかについてのディスカッションへの参加とともに、新たな時代に印刷会社創生のためのデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みについて寄稿いただいた。
白書のディスカッションにおいて、本間氏はまず価値観の変化と多様性について言及する。最初の緊急事態宣言解除後に訪れたレストランではメニューとペンを渡され、オーダーをメニューに記入して店員に渡すシステムになっていた。これまで豪華なメニューで客の目を引き、長く使うといった価値観とは対極にあり、メニューの目的が再定義されている。
またマスク不足が問題となったが、今まで値段か品質かといったファクターのみで片付けていたマーケティング的価値観が、「高くても品質重視」「原産国はどこか(国産にこだわる)」「何枚入りの箱(大量重視)なのか」など多様化している、と指摘する。
全国一律で扱うといったマーケティングは成立しなくなり、印刷業界においては「印刷とは?自体を問い直す」必要がある。価値観が多様化した中で、顧客をもう一度よく観察し、印刷を使った最適なコミュニケーションを考えなければならない。ということだ。
また、新しい時代の強靭化された印刷会社を創生するためのDX の取り組み方についての考察では、まずビジネスにおけるDXの定義を「デジタル技術を駆使して、ビジネスをより良く変革すること」とし、その最初のステップは「デジタル化」である。印刷は、印刷機、印刷プロセスなどはデジタル化が進んだが、印刷事業のデジタル化に課題が山積みであると指摘する。具体的には印刷営業活動のデジタル化などは、人がやるべき仕事とコンピューターにやらせる仕事との仕分けから始めなくてはならない。デジタルの力でビジネスの拡張の機会が増えるのは確かだが、デジタル化で失われてはならないものがあり、DXの設計には「会社の出自」との持続性、そして「会社の強み」のさらなる強化が必須条件だとしている。
本間氏には、2月8日のpage2021オンラインのカンファレンス・オープニングセッション「コロナで変化した世の中の新常識について語り、対策を考える」に登壇いただく。
本間氏は、もともと花王においてばりばりのデジタルマーケッターであったが、アナログメディアである印刷物について「データに紐付いてデジタル印刷機から出力される印刷物はすでにデジタルメディア」であり、そもそも「生活者はデジタルかアナログかなど区別していない」。そして問題は「デジタルマーケッターはまだまだ今のデジタル印刷で出来ることを知らず、また印刷業界もそれを彼らに訴求できていない」といった持論をお持ちであり、変化した世の中に対応して、印刷物や印刷ビジネスがどうなっていくのか、またどうあるべきかについて必ず興味深い話が聞けるものと期待している。
(JAGAT CS部 橋本和弥)
【関連情報】
・page2021オンライン(2/8~2/28)
→入場登録(無料)はこちら
【C1】オープニングセッション(2月8日(月) 14:00~15:30)
「コロナで変化した世の中の 新常識について語り、対策を考える」