page2021カンファレンスセミナー「商品価値を高めるパッケージとデザイン」では、クライアントの商品価値を高めるためのパッケージの役割をテーマに、実際にブランディングを構築した中小企業の事例を併せて紹介する。
「売れる仕組みづくりがポイント」
モノが溢れている時代、どうすれば消費者の方に商品を手にとってもらえるか。クライアントが苦労を重ねて開発した商品を包むパッケージとして「いいデザインをするには」ブランディングを構築することが重要である。ブランディングは、顧客の信頼を得られるように消費者やステークホルダーの共感や支持を獲得する一連の活動のことだ。印刷会社の仕事は単にパッケージをつくるだけでなく、クアリアント企業のブランド戦略の構築から、商品企画、販売支援など提案していくことが大切だ。
たとえば、クライアントの「〇〇のこだわり」を商品価値として一般消費者に伝わるにはどうしたらいいか。ここでは、クライアントが商品に込めた想いやこだわりなどの情報を聞き出し、クライアントの商品が売れ続ける仕組みをいかに構築するかがポイントになる。
通常、商品を包むパッケージ制作にはそれなりの費用が必要だが、費用を低廉に抑えてブランディングを構築した江戸川区にある(有)笠原製菓の「センベイブラザース」が注目を集めている。
「ブランドづくりには“こだわり”が大事」
「せんべいを、おいしく、かっこよく」をスローガンに東京都江戸川区の笠原製菓は、倒産の危機を打破しようと従来の「見せ方」「売り方」を変えて製造販売を開始した。そこで、はじめに社長が手がけたのは会社のロゴからだった。初代の祖父が作った稲穂のマークを敬意を込めて継承し、そこに「SENBEI BROTHERS」を入れて先代と今を結びつけてた。パッケージは、「機能性」と「小ロットでできること」ことを重視し、コストをできるだけかけなかった。しかし、「カッコいいと思えるお煎餅を作りたい!」という“こだわり”だけはもって制作した。パッケージの制作にあたって既成品の袋に社内でスタンプを手で押すことにより工賃を節約した。見当が多少ズレルこともあるが、それが味になるという前向きな姿勢で取組んだ。
一方、工場長が焼く煎餅は今では30種類にもおよんでいる。自社で研究開発・製造を手掛ける真摯な商品づくりの姿勢、長年積み重ねた経験に基づいた品質が「笠原製菓のこだわり」を表現できており消費者から大きな支持をえている。ブランドは、大きな企業だけのものではなく、企業規模に関わらず競合他社と差異化し独自の価値を持つものだ。笠原製菓はブランディング構築に成功した中小企業といえよう。
このセミナーでは、泰清紙器製作所の大木啓稔氏、そしてマーケティング視点からバリューマシーンインターナショナルの河島弘司氏を迎え、ブランディング視点から企業の強みをどう捉えるか、また企業の再生と持続可能性をどう考えていったらいいかについて議論していく。 (CS部 伊藤禎昭)
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