印刷物は、営業、制作、製造とさまざまな部署が連携して仕上げていく。部門間での情報伝達をスムーズに行うことが重要だ。
部門間コミュニケーションの難しさ
印刷工程が計画通りに進み、業務の負荷を軽減し働きやすい環境を作ることができるが、そこにはセクショナリズムという壁が立ちはだかることもあり、それを取り払うことでさらに組織力も高まり、業績アップへとつながっていく。印刷物は、納期に合わせ顧客が求めているイメージを忠実に作り上げていく。営業は、顧客のニーズをくみ取り、顧客視点で物事を考え対応しながら進め、制作や製造は、品質を担保しつつコストダウンを図り、納期に向けて計画的に生産活動を進めていくことが原則とされる。部署ごとにその立場によってプライオリティーや主張が異なることはよくあることであるが、それがこじれるとセクショナリズムが生じ、部門間の溝が深まり、業務が非効率になり、ミスやトラブルも起こりやすくなってしまう。各部門が円滑に業務をすすめていくことを長年の課題とし、試行錯誤しながら取り組んでいる印刷会社も多い。
工場見学を通じてセクショナリズムを取り払う
顧客との接点を持つための一つの手法として工場見学を開催している印刷会社もある。印刷工程を知ってもらい、普段、顧客が関わる機会が少ない制作や製造担当者と会話をすることで、安心感が得られると共に信頼関係が築ける。顧客の印刷物を刷っている様子が見られることができれば、顧客側も大変満足し、今後の受注にもつながっていく。こうしたイベント(工場見学など)を通じて、社員同士がお客様に満足してもらうという同じ目標に向かうことにより、コミュニケーションをとる機会も増え、部門間の理解が深まる。他部門の業務内容や考え方を知ることにより、お互いを補い合おうとするチームワークが生まれ、業務効率や生産性向上へとつながっていく。部署や部門を超えた新しい発想が生まれることもあり、個人のモチベーションや働きがいも向上し、イベントは、社内全体が一体感を持つきっかけの一つとなる。
最近では、コロナ禍ということもあり、工場見学会ができないことから、遠方の顧客であっても会社、自宅から参加できるオンライン工場見学などで顧客に伝える手段をとっているところもあり、さまざまな工夫を凝らし開催している。
page2021カンファレンス「営業と生産の溝をどう埋める?~ものづくりコミュニケーションの改善手法を探る~」セッションでは、2社の印刷会社の事例を元に営業と製造のそれぞれが抱いている不満と期待を浮き彫りにし、理想の状態にするための課題と解決策を議論していく。部門間同士の理解を深め、組織力を高めるためのヒントにしていただきたい。
(JAGAT CS部 加治寛子)
■page2021オンライン展示会(2月8日(月)~スタート、事前登録受付中!)
https://page.jagat.or.jp/online.html
■page2021オンラインカンファレンス
https://page.jagat.or.jp/sessionList/onlineConference
■営業と生産の溝をどう埋める?~ものづくりコミュニケーションの改善手法を探る~