部門間の対立を回避するための取組み

掲載日:2021年2月17日

営業と制作部門の溝はさまざまな要因で発生するが、その影響は組織内で問題を生じさせることがある。

生産部門がかかえる不満

印刷会社では部門間の対立はよくあることだ。しかし、これを放置しておくと社内のコミュニケーションがとれなくなり、生産性の低下をまねき企業の存続にかかわりかねない事態を引き起こす可能性もある。部門間の対立は個々の社員が他部署の仕事内容や状況への理解不足が原因であることが多い。こうした問題を解決するために経営者も含め社員も取り組んでいるある印刷会社で生産部門がかかえる営業部門への不満の事例を紹介する。

いちばん多いのが、原稿の入稿時に営業が顧客の情報を十分に理解しないで、丸投げの案件が多すぎる、ということだ。こうした場合、生産側では指示の内容が判断できず再度、営業に確認する必要があり余計な時間を使ってしまう。次に多いのが、営業が指定した納期と制作スケジュール間が合っていないことだ。早めに校正をあげても営業の判断で渡していなかったり、戻しの際に直しの指示が曖昧なことがある、といったことがある。このため、現場は通常予定していた生産計画がくずれてしまい、残業が増えるなどの無理が生じてしまう。また、営業は他社との価格競争により採算割れの受注をすることもあり、その結果として生産部門にしわ寄せされることがある。

問題を解決するための取り組み

まず、部門間で互いに連携しやすいように情報の共有化を図ることが大切だ。互いの意見をいう事により、それまで隠れていた情報も表にでてくることもある。こうしたことが部門間の溝を埋めることもある。ここで大切なのはオープンな議論ができる環境であることだ。単に責任追及することが議題になれば正確な情報は出てこない。職場横断的な委員会活動やプロジェクトチーム活動を開催するのも有効だ。しかし、この活動が単なる利害調整の場になってしまっては意味がない。目標を見失なわないように、常に行動をチェックしながら活動することが大切だ。

製造現場でよくみられるが、自分の担当する機械は整理整頓が徹底し仕事もうまくこなせるが、担当以外の機械については全く関心をもたない非協力的は人がいる。年齢が高齢な人が多い。新人を育成させ、現場の多能工化などを意識的に行う必要もあり、今までの保守的な考え方を改めることも必要だ。最後に、一番大切なことは全体最適を目指すので社長からしっかりした方針がだされていることだ。この方針に基づいて各部署が動けば、部門間のベクトル合わせはやりやすくなる。

page2021カンファレンス「営業と生産の溝をどう埋める?~ものづくりコミュニケーションの改善手法を探る~」セッションでは、東洋美術印刷(株)の丸山様、(株)文伸の有馬様、スコラコンサルト(株)の内田様にご登壇いただき営業と製造の立場から問題点を挙げ、解決のための取り組みについて議論していく。印刷会社はそれぞれの社風があるため共通の答えをもとめることは難しい。しかし、このセミナーの議論の中で各印刷会社の状況と照らし合わせて自社に合った問題解決のヒントをみつけてほしい。 

(CS部 伊藤禎昭)

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