2019年の印刷産業売上高は7兆7821億円(「2020年経済構造実態調査」一次集計)

掲載日:2021年4月27日

2回目となる「経済構造実態調査」によれば、印刷産業の法人企業の売上高は7兆7821億円(前年比0.6%減)となった。 (数字で読み解く印刷産業2021その4)

「工業統計調査」と同時・一体的に実施される「経済構造実態調査」

総務省・経済産業省は、「2020年経済構造実態調査」一次集計結果を3月31日に公表しました。2019年に創設された同調査は、5年ごとの「経済センサス‐活動調査」の中間年の実態を把握するために、毎年6月1日に実施されます(活動調査実施年を除く)。国民経済計算(特にGDP統計)の精度向上や企業の経営判断に資することを目的とするものです。

調査対象は大きく「甲調査」「乙調査」に分かれ、「甲調査」は製造業~サービス業に属する大企業を中心とした売上高が一定規模以上のすべての企業・団体を対象としています。また、「乙調査」についてはソフトウェア業など特定の35業種のサービス産業に属する事業所および企業を対象とし、7月末の二次集計で公表されます。

これまで実施されていた3つの統計調査(サービス産業動向調査の拡大調査、商業統計調査、特定サービス産業実態調査)を統合・再編し、必要最低限の事項を把握するものです。2019年度から「工業統計調査」と同時実施し、製造業に属する企業の一部については工業統計調査からデータ移送を受けており、一次公表では工業統計調査の速報値を用いています。

印刷産業の出荷額4.8兆円に対して、売上高は7.8兆円

3月26日公表の「2020年工業統計調査」速報値では、2019年の「製造業」の製造品出荷額等は322兆1260億円(前年比2.9%減)、「印刷・同関連業」は4兆8271億円(同0.02%減)です。

これに対して、「2020年経済構造実態調査」一次集計結果では、「製造業」の売上高は400兆9098億円(前年比3.0%減)、「印刷・同関連業」は7兆7821億円(同0.6%減)となっています。

印刷産業の出荷額は4.8兆円なのに、売上高は7.8兆円、この差はどこからきているのでしょうか。

まず「工業統計調査」は4人以上の事業所に関する調査で、「経済構造実態調査」は製造業・サービス業の売上高一定規模以上の企業を調査対象とし、調査対象外企業の推計値を加えて集計しています。ただし、製造業の単独事業所企業については、工業統計調査からデータ移送を受けています。

つまり、「工業統計調査」の出荷額は事業所単位の集計なので、主要製品が「印刷・同関連品」なら印刷産業の出荷額になります。一方、「経済構造実態調査」の売上高は企業単位の集計なので、主業が「印刷・同関連業」なら印刷産業の売上高になるのです。また、出荷額は工場出荷金額(積み込み料、運賃、保険料、その他費用を除いた金額)なので、その分売上高より金額は小さくなります。

『印刷白書2020』では印刷メディア産業に関連するデータを網羅し、わかりやすい図表にして分析しています。また、限られた誌面で伝え切れないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信しています。ご意見、ご要望などもぜひお寄せください。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)