ブランド価値を高める生産工程の見える化から魅せる化へ
印刷会社における工場は、重要な収益の源泉だ。工場のマネジメントにより営業戦略にも大きな影響を及ぼす。伝統的な工場管理では、改善活動をベースに如何に生産効率を高め利益を絞り出すかがテーマとなっている。一方、その改善活動は、工場内の課題解決にとどまらずマーケティングにも大きな影響を及ぼすことになる。印刷工場においても重要な視点だ。日本のものづくりにおける改善活動は、世界的に見ても「カイゼン」とカタカナ表記を用いるあるいは「Kaizen」と表記されるなど、国外でも通用する言葉になっている。メイド inジャパンが高いブランド価値を高めている要因にもなっている。
愛知県豊田市 集団接種会場の運営に「トヨタ生産方式」活用
新型コロナウイルスのワクチンの集団接種普及が心配される中、改善活動が注目を浴びている。去るテレ朝ニュース(2021年5月30日)トヨタ“産業医” 派遣「生産方式」を生かした集団接種記事によれば、愛知県豊田市では、75歳以上の高齢者を対象にした新型コロナウイルスのワクチン集団接種が30日から始まり、トヨタ自動車などと連携し、効率的な会場運営に取り組んでいる。同様に福岡県宮若市では、同市内に本社を置くトヨタ自動車九州と連携協定を結んで同社の体育館を集団接種会場として、短時間でスムーズに接種を進めるため、「トヨタ生産方式」を取りいれているという。
ムダの排除と動線の確保という改善活動がブランドになる。
そもそも、トヨタ生産方式とは、工場における生産活動の運用方式の一つで、ムダを徹底的に排除するために確立された生産方式だ。様々な多くの企業がトヨタ生産方式を取り入れ、「ジャストインタイム」や「見える化」或いは「なぜ」を5回繰り返すなどの方法や考え方は多くの印刷工場にも取り入れられている。ちなみに、良く耳にする「かんばん方式」は、トヨタ生産システムの「必要な物を、必要な時に、必要な量だけ供給する」ジャストインタイムを実現する上での情報の流れの仕組みの総称だ。生産現場の各工程において、後工程が前工程に対して必要な部品などをどのように生産するかを発注する発注書の役割を指すものが通称「かんばん」と称されている。これらの呼び名はその意味を超えて価値の高いものになっている。工場の改善活動のノウハウは、企業や製品、サービスのブランド価値形成に大切な役割を果たしているのだ。
オンライン・新工場マネージャー養成講座は10月開講する
印刷工場のマネジメントは、印刷会社のマーケティング戦略おいても益々重要な役割になっている。特にコロナ禍で変わった環境は大きい。営業パーソンに頼った「営業は仕事取ってこい!」の時代は、とっくに終わっている。印刷工場マネージャーも自社のマーケティング戦略を意識し、売れるしくみの中での印刷工場づくりに取り組む時代だ。10月開講予定の「オンライン・新工場マネージャー養成講座」は、改善活動をはじめとする基本的な知識は学びながら売れる、稼ぐマネジメントを学ぶ講座として開講する。
(CS部 古谷芸文)