印刷営業のプロセスを実践で学ぶ~印刷営業20日間集中ゼミ報告~

掲載日:2021年6月23日

去る5月10日~6月4日に実施した第49期「印刷営業20日間集中ゼミ」には、5社6名が参加し、具体的な課題案件に取り組み、ヒアリングから企画書の作成、販促物のプレゼンまでの流れを体験した。受講者にとって、実践を通じた学びで得るものは多く、今後の活躍が期待される。

 

「印刷営業20日間ゼミ」は、約1か月にわたり印刷営業に必要な印刷知識、実務知識を習得するとともに、実際の顧客に対し販促物の制作を行うことで実践力を高め、顧客の多様なニーズに柔軟に応えられる営業を育成するプログラムである。
カリキュラムは、①印刷知識の習得 ②印刷営業に必要な実務知識の習得 ③実案件での販促ツールの作成の3部で構成され、各工程に沿ってプロの講師を招き、それぞれの視点から集中的に学ぶことで、知識習得だけではなく、現場の理解を深め、印刷工程を含めた考え方や企画提案力を養うことを目的としている。

 

今回、実案件としてJAGATの地元である中野富士見町にある「ふらっとカフェ」(社会福祉法人 愛成会)にご協力いただき、店の販促物を制作するにあたり、ヒアリングから企画書の作成、販促物のプレゼンテーションまで営業の流れを体験した。

 

まず、顧客が何を求めているのかを、マーケティング視点で把握し、その目的に沿った販促ツールを作成するために、顧客情報や現状分析について学び、どんな販促物を提案するかの考え方を構築していった。実際のヒアリングで得た情報をもとに一人ひとりが考え、何度もグループで意見を交わしながら、販促ツールの構成を行った。その後、販促ツールの内容(キャッチコピーやコンセプト)をラフ案に反映させ作成し、JAGATのデザイナーに依頼、フォントや色、デザインも細かく指定した。できあがったツールは、富士フイルムビジネスイノベーション(株)GCSショウルームにて見学実習の際にデジタル印刷機(Iridesse)で出力し、最終的に、クライアント同席でプレゼンテーションを実施した。

 

販促ツールと並行し、印刷物を製作する上で必要な印刷技術の基礎知識(プリプレス、プレス、ポストプレス)や業務対応の基礎も学び、印刷物の用途、目的、狙いを基に「仕様書設計」や「見積書」の作成を行った。印刷知識の習得では、座学だけではなく、実際にDTPアプリケーションに触れたり、印刷機の構造など映像を交えながら学ぶことで、制作やオペレーション側の視点で物事が考えられるようになり、印刷物を製作していくうえでの各工程と連携の重要性を学んだ。
印刷技術の講座で、A4の用紙を使用し、面付けの演習を行った際に目の向きや製本方法によって変わる面付けの仕方が難しく、何度も手を動かしながら理解するまで取り組む姿がみられたことが印象に残っている。
そして、受講者が苦慮していた講義は、仕様書設計と見積書作成である。仕様設計を行ううえでのポイントや面付け、製版の細かな計算方法など演習を通して行ったが、理解するまでにもう少し演習時間と説明が必要だったようだ。また、見積作成では、仕様書と作成したラフ案を演習に取り入れ、それぞれの項目内容を理解し、顧客のコストを下げるためにどうしたらよいのか考え、悩みながら取り組んでいた。

 

 ~研修を終えて受講者の声~ 

■ 一番気になっていた見積り、積算講座で細かな計算方法を知れてよかった。しっかりと復習を行い、正確な見積り、積算をできるようにしていきたい。
■ プレゼン、提案までのプロセスを細かく指導していただけ、マーケティングの考え方を知ることができ、よかった。すべての講座内容をしっかり見直し、お客様に役立つ提案をしていきたい。
■ 個人でお客様を受け持っている立場ではあるが、マーケティングや企画提案の活動経験がなく、大変勉強になった。印刷現場についても普段は見聞きする機会がないので参考になった。
■ 仕様書の書き方や面付け、台割の見方が難しかったが、すべて営業が関わることなので、復習したい。また、ワークや発表を通して、他者の考え方を聞くことができ、勉強になった。
■ 実践的なヒアリングとプレゼンを通し、考え方や企画書まで制作することができ、まだまだ理解不足な部分はあるが、考え方についてよくわかった。
■ 提案までのプロセスを学べたことが今後の活動の力になったと感じた。20日間という密度の濃い時間を過ごせ、会社とお客様とで一緒に前進できるような営業になり、頑張っていこうと思う。

 

20日間という短期間で、印刷営業のプロセス学び、すべてを理解することは容易ではない。
しかし、フィールドワークを通し「企画提案」を自分たちで一から考え、印刷物を作り、顧客に提案した経験が大きな糧となるだろう。この講座で学んだ営業としての考え方や知識を活かし、これからの営業活動でぜひ実践へとつなげていっていただきたい。

 

JAGAT CS部 加治 寛子