『印刷白書2021』発刊のご挨拶

掲載日:2021年10月22日

2021年10月22日発刊の『印刷白書2021』について、会長塚田司郎よりご挨拶させていただきます。

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当期における世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大により大きく落ち込んだ後、持ち直しの動きが続いていますが、変異株の蔓延が回復の足かせとなっています。

日本経済は感染拡大により経済活動が制約され、大幅に落ち込んだ後、持ち直しの動きが見られ、2021年2月には日経平均株価が3万円台に回復しましたが、アメリカの長期金利上昇への警戒感から一時的なものとなりました。政府・日銀の政策対応により、失業率の上昇や企業倒産件数は抑制されているものの、サービス関連消費が景気回復への重石となっています。

いろいろと議論のあった、夏の東京2020オリンピック大会も終わり、9月になると、ワクチン接種がいっそう進み、新型コロナウイルスの感染者数が週を追うごとに減少し、月末には長かった緊急事態宣言もようやく終了しました。コロナ禍での昨年と今年を比較してみると、緊急事態宣言の出されていた期間は今年のほうが長く、材料の出荷を見てもその影響は大きく、良くなかった昨年と比べてもさらに悪化した月もありました。10月からは徐々に経済の回復が感じられるようにもなりましたが、その一方で、それを待っていたかのように資材や原材料の値上げが発表されました。原料コストや物流コストの上昇、パンデミックによる需要減などが理由とされています。一般の印刷企業は、需要減と原材料コスト上昇で板挟みの状況です。

さらに現代の企業は日本のというより地球上に住む一員として地球温暖化に直面することが求められます。日本政府は温室効果ガスの削減目標を2030年度までに2013年度比で46%減(以前は26%減)としました。各企業ではこれにどのように取り組むのでしょうか。今年の省エネルギー補助金の支給例には、使用するエネルギーの大きいオフ輪を廃棄して枚葉8色機に入れ替える事例も少なからずありました。

東日本大震災以来、火力発電に頼ることが多い日本は世界から非難を浴びていますが、同様の問題を抱える中国は最近、強硬に火力発電による電力供給を制限し、各地で大停電や工場の操業短縮の事態となっています。従来の資本主義の枠組みでは、パリ協定で掲げた気温上昇を2℃以内に抑えるという目標は達成できないという議論が現在では主流になりつつあり、岸田新首相も新しい資本主義を掲げています。

現代の印刷企業の課題は上記のように多くありますが、アフターコロナの世界では、今年の「page2021オンライン」で申し上げたように、市場がシュリンクするこの2年間に、業務プロセスをDXでどれだけ自動化できたかで企業間格差が顕著になると思われます。今年もこの白書が参考になることを願っています。

2021年10月
公益社団法人日本印刷技術協会
会長 塚田司郎

書籍発刊のお知らせ

『印刷白書2021』2021年10月22日発刊