3月の売上高は△5.7%と大震災のあった2011年以来の大きな落ち込み幅になった。
昨年3月は消費増税前の駆け込み需要で21世紀初の2桁増(+12.0%増)だったことを勘案すると、△5.7%は一概に悪いとは言えない。今年は地域によっては統一地方選による印刷需要の創出があった面もある。
地域別に見ると、回復しつつあった首都圏と甲信越静がマイナスに転じた。名古屋圏は増税前の駆け込み需要による反動減を吸収してプラスを維持する需要の底堅さを見せている。大阪圏は都構想などが印刷需要に結びつかず、依然として低調に推移している。
受注件数は△2.4%と6カ月連続のマイナスだが、昨年3月の高い伸び(+6.8%)を割引けば数字ほどの落ち込みとは言えない。用紙代値上げの広がりが伝えられ、増税の価格転嫁に続く原材料要因の価格転嫁で印刷発注と印刷経営への影響が懸念される。
【印刷会社経営者の声】
■ 茨城:商業
1件ごとのコスト見直しで課題が見つかり、改善ができるようになりました。
■ 東京:商業
消費増税直前で慌ただしかった2014年3月とは、比較にならないほど落ち着いた1カ月でした。
■ 東京:総合
出版印刷物には厳しい状況が続きますが、商業印刷物は動いていて、印刷の仕事を巡る状況はこれまでとは少し違ってきているように感じます。これが10年続くとも思えませんが。
■ 長野:総合
印刷業は受注生産が基本で、そのための向上ですから窓口としての営業が重要です。その一方で顧客に提案していくサービス機能が求められてきます。継続発展するための営業戦略を作るには、まず人材教育に力を入れることが求められます。
■ 岐阜:紙器
今年度も新入社員を迎えた。彼らからの素朴な質問の中に即答できないものがあったりする。聞かれて気付くことも少なくない。彼らは新しい風を吹き込んでくれる頼もしい存在だ。
■ 岐阜:総合
用紙の値上げが本格化しそうです。100%すべてをお客様に転嫁することは難しいので、自社での更なるコスト削減努力が必要になります。一つひとつのコストをいま一度見直していきます。
■ 大阪:総合
消費増税による落ち込みは落ち着いた。しかし低迷している状況であることには変わりはない。
■ 和歌山:商業
統一地方選挙による売り上げ増も、昨年の増税前の駆け込み需要を穴埋めすることはできませんでした。しかし今年より導入した「見える化」システムによって付加価値が固定費を超えたことで目標利益に到達、社員にインセンティブを支払えたことは大きな成果でした。