工程で品質を作り込むセキュリティインシデント対策

掲載日:2021年12月17日

情報管理は人の管理

ポストコロナで新しい生活様式「ニューノーマル」が社会に大きな変化をもたらしている中、デジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する一方でサイバー攻撃や情報漏洩などのセキュリティインシデントも重要視されている。日本郵便は12月15日、全国47都道府県の郵便局で延べ約29万人分の顧客の個人情報を記した書類を紛失したと発表した。紛失の内訳は、国債や投資信託の取引状況を記した書類が延べ約14万8千人分、公共料金などの払い込みを記載した書類が延べ約14万2千人分におよぶ。(2021年12月15日 日本経済新聞オンライン)原因は、職員が保存期間を間違って認識していたことや、保存用の箱の入れ間違いなどだという。工場管理でも課題となっているヒューマンエラーだ。

品質管理は人の“心” の管理

印刷ビジネスでも益々セキュリティインシデント対策は重要である。品質管理の上でも情報セキュリティは欠かせないものだ。管理の上で課題として上げられるのが人の意識だ。コンプライアンスを意識することが必要になる。そもそもコンプライアンスとは、法令遵守だけに止まらない。その概念や目的が重要で、倫理観、公序良俗などの社会的な規範に従い、公正・公平に業務をおこなうこととなっている。要するに人の“心”の問題を意味している。「良いこと」「悪いこと」の当たり前の判断力を持つことだ。その想像力を持った上で、法令を知り、順守すること、ルールを守ることが肝心だ。

工場マネジメントにおけるトヨタ生産方式では、「品質は工程でつくり込む」という考え方がある。勿論、セキュリティインシデントも含まれる。各工程での不良品を受け取らない、作らない、流さないという人の意識が土台となっている。ルール守ることは当たり前のことだが、それ以上に「顧客のために良いものを作る」「生命や安全を守る」といった目的や心が重要なのである。印刷ビジネスにおける品質管理は、時代の変化により管理する“もの”や“こと”は変わっても、人を育て、心を大切にすることは変わらないようだ。

CS部 古谷芸文

【オンライン】印刷工場の競争力を高めるための
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