新規事業開発の成果は売上のみにあらず

掲載日:2022年1月27日

デジタルシフトの影響で既存事業の売上が減少するなか、新規事業の立ち上げにチャレンジする印刷会社が増えている。

新規事業の立ち上げにあたっては多くの会社が以下のような課題を経験することが多い。

  • 社員と危機意識が共有できず、社員の自分事にならない
  • どのように考えたらいいかやり方がわからない
  • 「強みを伸ばせ」と言われても設備は普通だし、特別な技術力があるわけでもないし、飛びぬけた人財がいるわけでもない。
  • やりかけては頓挫を繰り返し、いつまでも成果がでない
  • メンバーの人選、本業との両立などプロジェクトの進め方がわからない
  • プロジェクトメンバーが孤立してしまう。

page2022カンファレンス・セミナーでは、これらの課題に向き合い成果を出している3社にお話しを伺う。明祥は社内報、福博印刷はAI×DM、日相印刷は地域密着から派生した自社製品と3社の事業は全く異なるが、直面した課題や取り組みのプロセスは共通するところが多い。ひとつ取り上げると「前向きな見切り発車で情報発信を先行させる(福博印刷 生方氏)」というのがある。実績を十分に積み上げてから情報発信をしようと考えがちだが、ある程度、目途がついた段階で、あるいは宣言的に情報発信を行う。そして、発信を続けることで、周りからよくある印刷会社のひとつという存在から、何か特別な印刷会社として認知される。その認知が社員のモチベーションを高め、さらに活動が活発化し、ヒトや情報がより集まるようになる。かっこいい言葉にすると「自社ブランディング」となる。
新規事業の第一目的はもちろん売上をつくることであるが、3社の事例からは取り組む過程で売上以外に多くのものを得ていることに気づかされる。新事業への問い合わせをきっかけに本業(印刷)の仕事の依頼を受けた。従来の営業活動ではとてもアプローチできないような企業とつながりができた。優秀な人材が採用できた。あるいは、行動を起こしたことで生まれたつながり(縁)から新しいイノベーションが生まれている。
また、3社とも最初から大掛かりな投資をしたわけではない。特に明祥や日相印刷は他社との些細な違いを見つけ、育てて、磨き込むことで大きな差別化につなげている。日相印刷の荒井氏は自社の取組手法を「できることから始め、できることを増やす」というスモールブランディングメソッドと呼んでいる。中小の印刷会社でも再現性のある手法として紹介いただく。

(研究調査部 花房 賢)

●page2022 カンファレンス・セミナー
2022年2月7日(月) 16:00~17:30
S1:新事業開発でぶち当たる壁をいかに乗り越えたか

2022年2月10日(木) 10:30~12:00
C5:ビジネスのタネの見つけ方、つくり方、育て方

2022年1月31日(月)~2月10日(木)
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基調講演・プレセミナー 2本
カンファレンス・セミナー 10本