「2021年日本の広告費」によれば、インターネット広告費が前年比21.4%の大幅増の2.7兆円で、マスコミ四媒体広告費を初めて上回った。(数字で読み解く印刷産業2022その1)
コロナ禍で大幅に落ち込んだ2020年比で10.4%増まで回復
電通「2021年日本の広告費」が2月24日に発表されました。
「日本の広告費」は、日本国内で1年間に使われた広告費(広告媒体料と広告制作費)を推計したもので、「マスコミ四媒体広告費」「インターネット広告費」「プロモーションメディア広告費」の3つに分類されています。
2021年(1~12月)の総広告費は前年比10.4%増の6兆7998億円と、11.2%減となった2020年から大幅に回復しました。下半期にコロナ禍の影響が緩和し、テレビメディア広告費が回復したことと、インターネット広告費の大幅増によるものです。
「10月以降は、音楽・スポーツイベントやテーマパークなどで徐々に入場制限が解除され、人流や経済が戻ってきたことを受け、多くの広告媒体で回復が鮮明になった」としています。
「インターネット広告費」が「マスコミ四媒体広告費」を初めて上回る
「マスコミ四媒体広告費」は2兆4538億円(前年比8.9%増)で、7年ぶりのプラス成長となりました。新聞、雑誌、ラジオ、テレビメディアのすべてが増加し、特にテレビメディア広告費は、巣ごもり・在宅需要なども影響し2桁増です。
「インターネット広告費」は1996年の推定開始以来、一貫して高い成長を続け、2019年には6年連続の2桁成長でテレビメディア広告費を超え、初めて2兆円超えとなりました。2020年にはコロナ禍でも唯一プラス成長(前年比5.9%増)を達成しています。2021年には 2兆7052億円 (同21.4%増) で、2桁成長に戻り、「マスコミ四媒体広告費」を初めて超えました。
また、マスコミ四媒体の事業者が主体となって提供するインターネット広告媒体費を意味する「マスコミ四媒体由来のデジタル広告費」は、3年連続の2桁成長で、初めて1000億円を超えました。「媒体社が持つ高い編集力や制作力でリッチなコンテンツが提供されるようになり、オンラインイベントや動画・音声配信など各種サービスが拡大した」と分析しています。
「プロモーションメディア広告費」は1兆6408億円(前年比2.1%減)ですが、 巣ごもり・在宅需要を後押しする媒体として「DM」(同4.7%増)と「折込」(同4.2%増)が健闘し、繁華街における大型サイネージなどが目立った「屋外広告」もプラスとなりました。
なお、矢野経済研究所「2021インターネット広告市場の実態と展望」(調査期間2021年7~9月)では、「ソーシャルメディア広告や動画広告などの運用型広告の拡大などにより、2024年度の国内インターネット広告の市場規模は約3.3兆円にまで拡大」と予測しています。
JAGAT刊『印刷白書』 では印刷メディア産業に関連するデータを網羅し、わかりやすい図表にして分析しています。また、限られた誌面で伝え切れないことや、今後の大きな変更点は 「数字で読み解く印刷産業」 で順次発信しています。
(JAGAT CS部 吉村マチ子)