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凸版印刷、和紙を使用した不燃壁紙ブランド「INSHU」を開発

国内初、不燃認定取得の和紙壁紙ブランド「INSHU」を開発
ホテルや商業施設、公共施設などの空間を新たな日本の伝統美で演出


凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:麿 秀晴、以下 凸版印刷)は、1956年より、壁紙をはじめ建具や床材の表面に使用される化粧シートを製造・販売する事業を展開し、意匠性や機能性、環境性能に優れた建装材を提供しています。
このたび、凸版印刷は、国内初となる不燃石膏ボードを下地として、全点不燃認定を取得した和紙壁紙ブランド「INSHU」を開発しました。「INSHU」は凸版印刷が国内外から評価されている、デザイン力とマーケティングノウハウから生み出された、高い意匠性をもつ全23柄42点(手加工品16点、機械加工品26点)をラインアップしています。また「INSHU」は日本古来の和紙の原料である「楮(こうぞ)」(※1)を使用した、植物由来の環境にやさしい製品です。凸版印刷の優れたデザイン力と日本伝統のものづくりにおける美意識の融合により展開される「INSHU」が、ホテルや商業施設、公共施設などの空間を新たな日本の伝統美で演出します。

「INSHU」は大因州製紙協業組合(本社:鳥取県鳥取市、代表理事:塩 奨、以下 大因州製紙)および旭興株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:藤井 英喜、以下 旭興)と共同で開発しました。
「INSHU」において、凸版印刷はブランド企画・デザイン・品質設計、大因州製紙は製造、旭興は販売を行います。


ホテルや商業施設に「INSHU」を施工したイメージ

背景

ホテルや商業施設、公共施設などに使用される壁紙は、国土交通省より準不燃認定もしくは、より安全性の高い不燃認定を受けた材料を使用するよう建築基準法に定められています。しかし、日本の伝統美を表現できる代表的な素材である「和紙」は燃えやすく、一般的な壁面下地である不燃石膏ボードと組み合わせて不燃認定を取得することは難しい材料でした。
このたび、凸版印刷のデザイン力と大因州製紙の製造ノウハウ、旭興による施工技術を合わせることで、デザイン性に優れた23柄42点が不燃石膏ボードを下地とした不燃認定の取得に成功、「INSHU」ブランドとして展開を開始しました。

「INSHU」の特長

・国内初となる、ラインアップ全点が不燃認定を取得
ラインアップ全点が不燃石膏ボードと組み合わせて不燃認定を取得した和紙壁紙で構成されるブランドは「INSHU」が国内初となります。

・高いデザイン性で日本の伝統美を空間演出
凸版印刷が持つデザイン力とマーケティングノウハウから生み出された意匠と、日本伝統のものづくりにおける美意識との融合により創り上げた23柄42点のラインアップが、ホテルや商業施設、公共施設などの非住宅施設において新たな伝統美となる空間を演出します。

・自然由来の原料を使用
「INSHU」は日本古来の和紙の原料である「楮(こうぞ)」を使用した、植物由来の環境にやさしい製品です。手加工品は1枚ずつ手作業を行っているため、色や質感に個体差があり、時間の経過とともに色や風合いの変化をお楽しみいただけます。また、楮の繊維が光をさまざまな方向に拡散し、やわらかで奥行きのある空間を生み出します。

今後の目標

凸版印刷は今後、高意匠・高機能な建装材開発を推進していきます。また空間の企画から設計・施工まで手掛ける空間演出ブランド「expace」に、「INSHU」をはじめとしたさまざまなオリジナル商品を展開し、利用者に快適な空間を提供していくことにより、2022年度に関連受注も含め200億円の売上を目指します。

「INSHU」ブランドのURL

http://www.seko.co.jp/product_inshu.html

大因州製紙協業組合について

https://www.daiinshu.co.jp/

旭興株式会社について

http://www.seko.co.jp/



※1 楮(こうぞ)
栽培が容易で毎年収穫できるクワ科の落葉低木です。楮の樹皮が和紙の原料となります。


* 本ニュースリリースに記載された商品・サービス名は各社の商標または登録商標です。
* 本ニュースリリースに記載された内容は発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。


以 上

雑誌のブランド力をWeb広告で武器にする

 長く続いた出版不況の中で、各社は電子書籍などのデジタル展開を成長分野として見定めてきた。2019年には電子市場の成長が紙の市場の減少を超え、出版市場は再び成長に向かっている。

 そんな中、出版の広告分野でもデジタル活用が話題になっている。今回は成長が続く出版社のデジタル広告の展開を取り上げる。

Web広告の特色と求められる戦略

 近年広告市場の成長をリードしてきたWeb広告であるが、Web広告は大きく分けて運用型広告と予約型広告の二種類に分類される。広告を獲得する上での戦略はそれぞれに異なるため、まずはこの二つの特徴について紹介したい。

 運用型広告はWeb広告の約8割を占める最もポピュラーな方法である。広告主が広告の内容や掲出場所の希望条件などを指定してアドサーバーと呼ばれる場所に出稿すると自動的に条件のあったサイトが割り振られ掲出されるという仕組みである。希望する条件が他社と競合した際にはサーバー上で自動的に入札(オークション)が行われるという特徴もある。出版社などの媒体側にとっても、個々の広告主とやり取りする必要がなく、場所を貸し出すだけでいいという利点がある。

 しかし、現状出版社のWebサイトの中で運用型広告を採用するのはニュース系の雑誌などに限られている。運用型広告では掲出される広告をコントロールすることが難しく、雑誌のイメージとそぐわない内容が表示されることがあるからだ。そのため、芸能人の不祥事や社会問題などあらゆる内容を取り上げるニュース系の雑誌で運用型は多く使われている。

 予約型広告は自社のサイトの広告枠を広告主に期間を決めて貸し出す形態の広告である。昔ながら広告と近い方法であるが、近年再評価が進んでいる。広告主にとっては自社の商品にあったサイトを選んで申し込むことになる。手間はかかるが、サイトにくるユーザーを想定できればより絞った対象に広告を届けることができるという強みがある。そのため、美容系やファッション誌を始めとした明確な支持層のある雑誌は予約型広告に力を入れている。広告主もそのサイト用に新たに広告を作ることもあり、タイアップ広告とも言われている。

雑誌のWeb広告の持つ高い成長性

 雑誌のデジタル広告の分野において最初に大きな成果を上げたのは、やはり手軽な運用型広告であった。しかし、近年各雑誌がWebコンテンツを充実させていった結果、予約型投稿の出稿が増えてきている。

 雑誌のデジタル広告の成長率は、Web広告全体の成長率を上回っている。雑誌の持つブランド力がWeb上でも大きな存在感を持っているからだと言えるだろう。今後電子出版のように、紙の広告の減少分を補うだけの成果を出せるかが注目される。一方で、金額ベースで言えば、現在も紙の雑誌広告の方がWeb広告よりもはるかに多い。デジタルシフト一辺倒になるだけではなく、電子の成長を紙に波及させるような導線をいかに作るかが今後の課題だと言えるだろう。

 紙の紙面とデジタルコンテンツが連動し、雑誌のブランド力を最大化させたとき、広告を原動力とした雑誌の再生が可能になるのではないだろうか。

関連セミナー
構造不況を乗り越える出版社のデジタル展開

 

(JAGAT 研究調査部 松永寛和)

page2021オンライン出展詳細

page2021は、従来のリアル展示会に加えてオンライン展示会を実施いたします。オンライン展示会では、時間や場所の制約がなくなりこれまで会場に来られなかった方々も、最新情報にアクセスできるようになります。従来の来場層に加え、より幅広いアプローチが可能となります。

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コロナ時代に加速するフルデジタルの小ロット出版

JAGAT info 7月号ではクラウドを編集に活用し、小ロット出版を行う真興社の事例を報告した。今回はその一部を抜粋して紹介する。

小ロット出版への参入

真興社は代官山駅から徒歩5分という好立地にある医学書をメインに扱っている印刷会社である。印刷業界において、2009 年にJDF の優れた活用事例を表彰するCIPPI アワードの世界大会で2冠を受賞したことで知られている。本稿では代表取締役の福田真太郎氏のお話から、IT の蓄積を生かし、デジタル印刷における小ロット出版を提案してきた真興社の新たな取り組みについて紹介する。

真興社のデジタル印刷は復刻本の出版から始まった。しかし、復刻本の再版需要はしばらくすると減退してしまい、年に数冊しか仕事が来ないようになってしまった。オフセットで刷った新刊をデジタル印刷で少部数重版するという形態は、一般にはスタンダードではあるが、医学書の場合、出版社が難色を示すことが多かった。人の命に関わる医学書では、版によって少しでも図版の色調が変わるのはNG である。それならば、最初からデジタル印刷で出版する方が受け入れられる。そのため、真興社ではデジタル印刷での小ロット出版に力を入れることになった。しかし、そこには大きな課題がある。部数が多く、例えば一件100 万円というような仕事であれば、営業が手厚く対応し、色校を5 回、10 回と持っていくことも許されるが、少部数になれば、同じ工程では採算がとれない。

かといって、医学書出版の世界では、簡単に校数を減らすこともできない。印刷会社だけの話ではなく、業界全体でコスト構造を見直さなければ、小ロット出版が軌道に乗らないことは明らかだった。

そこで生きたのが、真興社がそれまで培ってきたITの力であった。同社では「Web Factory」というオンラインシステムを提唱している。これはリモート校正を行うSCREEN のEQUIOS Online やDTP 制作の進捗状況を「見える化」するコニカミノルタのNeostream

Pro といったソフトウェアと連携する自社開発のシステムで、色校やゲラのやり取り、編集履歴の管理などをオンラインで完結させることができる。真興社は自社内の編集部でテストを行い、計3 度ものバージョンアップの末、満を持してリリースした。

しかし、リリース当初は出版社の反応は非常に冷たかったという。PC 画面では目が滑るという意見が当然のように出てくる。そういった場合には出版社側で印刷をしてもらい、従来通り赤字を入れてスキャニングしてもらうというフローを考えていたが、ではその印刷代は誰が出すのかという話が出た。どんなことでも、初めてのことは難しい。 なかなか理解を得られなかった「Web Factory」であるが、意外なことで導入が進んだ。今回のコロナショックである。今までは校正紙を持参していた出版社も、部外者が入れなくなってしまい、オンラインに移行するしかなくなったのである。一度使ってもらえれば、便利なことに間違いはなく、今回のコロナショックが一段落したとしても継続的に使ってもらえるのではと福田氏は見ている。

印刷+αの価値を提示する

現在の真興社のデジタル印刷機はコニカミノルタの機種に統一されている。カラー機としてAccurioPressC3080とC6100、bizhub PRESSC1070とC71hcを保有。モノクロ機はbizhub PRESS 1052と2250Pをそろえている。

都市部の場合、出版印刷では製本会社が指定され分業体制になることが多いが、小ロット出版では輸送費用を捻出することが難しい。そのため、真興社内で製本まで完結できるようにする必要があった。そこで、ホリゾンのものを中心に、小ロット対応の断裁機や帳合、製本、ラミネートといった一通りの工程が可能な機材をそろえている。

デジタル印刷機をコニカミノルタに決めた理由は、真興社が進めてきた自動化や工程管理との親和性を考えたからである。印刷ソリューション群AccurioProシリーズを導入することで、デジタル印刷機もこれまで時間をかけて構築してきた管理システムとつなげて運用することができている。

真興社では、JDF やNeostream Pro を活用し、間接コストを削減することで生産性の向上を図ってきた。内部コストの削減は真興社では一定の成功を収めたが、この効率化は新規顧客獲得の手段にもなってきている。その一つが先述の「Web Factory」である。他社との差別化要因となり、価格競争ではない手段で顧客を獲得する武器となっている。顧客もコスト以外に見るところがないから、買い叩くしかないのである。だからこそ、印刷物+αを説明できる会社は今後も生き残っていける。

真興社では印刷物だけではなく、新しい仕事の進め方も含めて提案している。それが段々と受け入れられるようになってきた。時代は変わってきている。小ロット出版はこれからだと福田氏は胸を張った。

(研究調査部 松永 寛和)

テレワーク時代の印刷営業スタイル

新型コロナウイルス感染拡大に伴った緊急事態宣言が発出されてことによって、テレワークという働き方が注目された。印刷会社でも、特に首都圏や大阪、名古屋という3大都市圏の会社では否応なくテレワークに取り組まざるを得なかったというところも少なくないだろう。

当然、印刷の製造現場ではテレワークを行うことは、ほぼ不可能なので、JAGATの調査では導入した印刷会社でも営業や事務部門が中心になったようだ(JAGAT発行『テレワーク時代の印刷ビジネスモデル読本』より)。

また、本来ならDTP制作部門などもテレワークにマッチする部門だが、会社と同様に仕事ができる制作環境を実際に自宅で整えることは時間的にもコスト的にも難しく、働き方改革等で従来取り組んでいた会社や準備していた会社以外は対応できなかったというのが現実なのだろう。

印刷営業がテレワークを取り組む上で、ノートパソコンやタブレット端末などの支給、データ等取り扱うルール(セキュリティー対策)から出退勤の管理等まで、さまざまなことを取り決めてルール化する必要が出てくる。

先日、実際にテレワークを行っていた営業担当者と話す機会があった。ここで、細かい仕事の仕方について触れないが、受注活動での課題というか、悩みを紹介する。

顧客もコロナ禍での仕事なので、訪問回数は減るし、訪問できたとしても必要最低限の接触になる。また、Zoom等のオンラインでのやり取りも行っているが、雑談などする雰囲気ではなく、これも要件のみを済まして終わりである。

コロナ禍ですでに受注、予定されている案件自体が仕様変更(ページ減や部数減等)や中止・延期になることもあったが、何より新規案件の情報が取れない、アプローチできないという状況だった。

理由として、これまでの営業スタイルは担当者との雑談を含めた会話から情報を得えて案件創出につなげる、あるいは他部署の案件等を紹介されるケースがあったが、訪問の制限やオンラインでのやりとりでは、それがほぼできなかった。

結果、従来の「案件の発注待ち」を中心にする営業では、受注するための情報が圧倒的に不足して新規受注が停滞してしまうということだ。

問題は印刷会社がテレワークから従来の働き方に戻ったときに、顧客も従来の仕事のやり方に戻るかどうかである。おそらく戻るところと戻らないところが出てくるだろう。いずれにしても、afterコロナ/withコロナ時代が従来とまったく同じやり方で問題ないとは考えないほうがよいだろう。

従って、自分たちがこれまで実践してきた営業の方法やあり方が、これからも通用するのか、その方向性は正しいのかを、新しい印刷営業モデルのあり方を考えてみる。さらに営業の一部でその考えを実践してみることが求められるだろう。

例えば、ある印刷会社はコロナ禍以前から、営業情報に関する情報をデータ化して顧客接触、案件創出、企画提案のデマンドセンター的な部署を作り、そこから営業の実戦部隊に渡していくということを始めている。従来の営業担当者個人のスキルや情報網、人脈に頼る属人的な営業スタイルから脱却しようということである。

このようなスタイルには、見込み顧客獲得、見込み顧客育成、見込み顧客選別といった活動が必要で、つまり、マーケティング知識が必須なる。マーケティングオートメーションの活用やデータ解析などIT知識とスキルも不可欠で、それに対応できる人材が必要になる。それらの人材を社内で育成するにしても、外部から採用するにしても、社員教育はますます重要になる。

会員誌『JAGAT info 』10月号では、JAGAT印刷産業動向調査より、設備動向を紹介するが、コロナ禍以前の調査になるが明らかにハードから人材を含めたソフト重視への投資傾向が見られる。そういう意味で、新しいビジネスモデル、営業スタイルへ転換する時機に差し掛かっているといえよう。(JAGAT info編集部)

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本試験東京会場昭和女子大学試験会場への案内図

2020年8月30日試験は予定通り開催いたします。

東京会場 昭和女子大学にて受験の方は、大学8号館5階が会場となります。
正門を入り直進すると右手にあります。

東京会場では、建物入り口で検温を行います。
時間には余裕をもってご来場ください。

昭和女子大構内図