5月の売上高は△25.6%。残念ながら、観測史上最大の落ち込みを記録した4月(△18.7%)をさらに上回る落ち込み幅となった。
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入稿1時間後に発送 超短納期で業界紙を支える印刷会社
JAGAT info 6月号では大量のデジタル印刷機を保有し、日刊紙の印刷を得意としている株式会社東伸企画の事例を報告した。今回はその一部を抜粋して紹介する。
日刊紙に特化した印刷会社
株式会社東伸企画は東京都墨田区にあり、都営新宿線菊川駅から徒歩1 分という好立地にある。強みとしているのが、日本トップクラスのデジタル印刷機の保有台数を生かした日刊紙の印刷、および配送システムである。原稿を受け取った数分後には印刷を開始し、わずか1 時間で発送を始める。この超短納期対応はいかにして可能となっているのか。東伸企画取締役の宮木豊史氏にお話を伺った。
東伸企画が現在扱っている日刊紙は小ロットがメインであり、多いものでも3000 部、少ないものでは150部程度のものもある。一般に業界紙は、自前の印刷機で冊子を印刷して配送するという場合もあるが、全国への流通網を維持することは簡単ではない。発行部数の減少に伴って、宛名の管理から印刷、配達までを請け負う東伸企画に一括で依頼されるという例が増えている。 デジタル印刷機は早くから取り入れており、20 年前に最初の機械を導入した。6年前にデジタル印刷機への完全移行が終わり、カラー機が増えるなど、設備の質も向上している。
日本トップクラスのデジタル印刷機保有台数
工場の中をのぞいてみると、まず驚かされるのがデジタル印刷機の台数である(写真3)。モノクロ機としてキヤノンのVarioPrint の6330(写真4)と6320が2 台ずつ。コニカミノルタのbizhub PRESS 1250(写真5)が6 台、Accurio Press 6120 が2 台。カラー機としてRICOH Pro C7110 SHT(写真7)が4 台並んでいる。
工場内の様子で印象的だったのは、全体的に静かだということだ。分刻みのスケジュールということから、工務やオペレーターの指示が飛び交っている現場を想像していたのだが、各自が整然と作業をこなしている。
また、他の印刷工場と比べて、積まれている印刷済みの用紙がほとんどないのも特徴的だ。入稿から発送までがタイトなスケジュールのため、印刷したらすぐに製本し、続けて発送準備に入ってしまう。時間がないことにより、かえってスムーズに進んでいる部分もあるのだ。これが可能となっているのは、余裕をもってデジタル印刷機をそろえているからである。マシントラブルでどれかの機械が止まっても、空いている他の印刷機に振り替えることでロスを吸収している。
基本的には質よりも早さが重視される日刊紙であるが、近年では品質も大きく向上している。モノクロについては生産性・品質ともにVarioPrint が素晴らしく、特に表裏同時転写を採用しているため見当性が非常に高い。VarioPrint は、欧米の印刷会社で数多く使用されており、モデル6330 はA4 両面が1 分間に328 枚出力でき、それに対応する大容量の給紙部と排紙部も持っている。デジタル印刷機では、製本ラインと生産力との差がアンバランスになることも多いが、VarioPrint では抜群の生産力から製本ライン側の待ち時間を軽減することができ、大きな強みとなっている。 また、顧客からの要望で、表紙にカラー写真を入れられるようになったのも大きな変化である。日刊紙にカラー写真を入れるのは、かつては考えられないことであったが、デジタル印刷であれば可能である。現在はRICOH Pro C7110 SHT が4 台あり、カラーについても余裕を持って印刷を進行している。今後は日刊紙のカラー化を新しい価値として、顧客にもアピールしていくとのことだ。
都心型の印刷会社の利便性を活用
東伸企画が都心にある理由は、扱っているものが紙(印刷物)だからである。締切時刻を伸ばすために企業努力を重ねてきたが、最もネックになっているのが郵便局の配達受付終了時刻である。東伸企画は銀座郵便局から15 分圏内にあり、ぎりぎりまで入稿を伸ばせる理由になっている。また、2017年には大阪に支局を作り、大阪以西の配達先はそちらで印刷している。
インターネットで最新の情報が手に入る世の中だからこそ、配達が翌々日になってしまっては意味がない。たった一日で商品価値がなくなってしまうため、超短納期の需要はより増しているといえるだろう。東伸企画はデジタル印刷の強みを生かし、さまざまな業界を支える情報を今日も伝えている。
(「JAGAT info」2020年6月号より抜粋)
(JAGAT 研究調査部 松永寛和)
JAGAT主催の新イベントのお知らせ
JAGATが10月以降に実施する新しいオンラインイベントについてお知らせいたします。
- トピック技術セミナー2020
会期: 10月2日(金)~10月15日(木)の13日間 - JAGAT地域大会オンライン(Web JUMP)
会期: 10月30日(金)~11月8日(日) の10日間
あたらしい時代のイベントの形として
JAGATではコロナ禍でも印刷業界の皆様のビジネスにお役に立てる情報を積極的に発信していくべく、オンライン(オンデマンド配信)イベントを開催する。これまでJAGATのイベントは東京中心の開催であったため、移動の問題でこれまで情報が行き届きにくかった方々にもご参加しやすい環境をご提供する。
オンデマンド配信によって20社近くのセミナーコンテンツをお好きな時間とデバイスで
今回実施する「トピック技術セミナー2020」及び「JAGAT地域大会オンライン(Web JUMP)」は、いずれもオンデマンド配信の形式とした。印刷機器メーカーを中心とした企業のセミナーコンテンツを事前に収録し、特設サイトから期間限定で配信する。「トピック技術セミナー2020」に関しては、20社近い企業のセミナーコンテンツがラインナップされる予定となっており、受講希望者はこれらのコンテンツを、時間とデバイスを選ばず受講できる。
秋フェスはpage2021の中で
秋フェス2020(これまでは夏フェスとして、毎年8月に実施していたが秋に延期)については、新型コロナウイルス感染リスクを鑑み、JAGAT本社ではなく、来年2月に開催予定のpage2021の中で実施する。page2021はサンシャインシティでのリアル開催とともに、オンラインイベントも併用する予定となっており、その中で秋フェス2020のコンテンツを提供する。
New Normalに柔軟に対応
いずれにしても、これまでの常識が変わってしまった今、これまでのやり方を踏襲するだけでは生きていけない。進化論で有名なダーウィンの言葉に「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である。」があるが、今、大切なのはこの変化を恐れない姿勢ではないか。幸い、 展示会場でのセミナー開催の実績はすでにあるので、会場で開催したセミナーコンテンツをライブ配信し、そのアーカイブを後日オンデマンド配信することも可能となる。 そうすれば会場内、Web上のライブ配信、オンデマンド配信の3パターンの視聴環境が提供できる。変化を恐れず、様々な可能性を探っていきたいと思う。
(CS部 堀雄亮)
「災い転じて福となす」ための取り組みを
新型コロナウイルス感染の影響による経済的な打撃は大きく、JAGAT会員企業のアンケートを見ても、印刷会社の受注はかなり厳しい状況になっていることが分かる。
JAGAT会員を対象とした印刷経営力調査によると、2019年度の回答企業の経営状況は、営業利益率が調査開始以降初めて1%を割り、経常利益率も1.6%と調査史上最低水準に低下した。このような状況のなかでのコロナ禍であり、印刷会社の経営は非常に厳しい状況を迎えているといえる。
もともと販促関連の印刷物などについては、インターネット、SNS時代になって消費行動が変化しているなかで、どのように活用するかが問われていた。そこにコロナ禍があって、本当に印刷物は効果があるのかと、印刷物活用の必然性が問われることになる。そこに対応していくには、しっかりとトレンドを把握して、クライアントに最適なソリューションを提案してく必要があり、それができないと受注に結び付くことは厳しくなっている。
従ってコロナ禍を契機として、自分たちがこれまで実践してきた営業の方法やあり方が、これからも通用するのか、その方向性は正しいのかを、印刷ビジネスモデルのあり方を含めて考えてみる必要があるだろう。例えば、販促ソリューションならば、印刷物はどのような場面で、どのような印刷物なら効果を発揮するのかを、クライアントに明確に提示できなければならないだろう。
となれば、販促ソリューションは印刷物だけを作れば完結するということはほぼ考えられないので、デジタルメディアをはじめとしたさまざまなメディアを組わせていくことが必要である。マーケティングやデータ活用は必須になり、afterコロナ/withコロナ時代には、印刷メディアと他メディアはバーサス(.vs)ではなく、withで活用するのが当たり前になる。そこで生きるのが、JAGATの提唱してきた「デジタル×紙×マーケティング」なのである。
「デジタル×紙×マーケティング」を体現するには、それを実践するための人材が不可欠であり、人材育成がこれからの印刷ビジネスをしていく上で大きなカギになるといえる。こういった人材は印刷物を受注、制作することを主とする場合と比較して、求められる知識は幅広く、その能力も高い水準が必要にある。それを体現する人材の一つの指針となるのが、JAGATクロスメディアエキスパート資格である。
会員誌『JAGAT info 』では、この資格試験を受験するときにも役立つものとして、JAGATエキスパート資格講座インストラクターの影山史枝氏による課題解決入門を連載している、8月号では、近年の購買行動プロセス「ULSSAS・PIXループ」について解説している。連載は最新のトレンドなどをしっかり押さえ、クロスメディアエキスパート試験だけではなく、実際のビジネスでも活用できる記事になっている。
コロナ禍の収束が見通せいない状況で厳しい経営環境が続くだろうが、収束した暁には、新しいビジネスモデルを開発できた、強い会社に生まれ変われたなど、災い転じて福となせるような取り組みを期待したい。(JAGAT info編集部)
JAGAT info8月号の目次はこちら
フリーペーパービジネスの最新動向2020
フリーペーパーを単なる広告媒体としてだけではなく、地域メディアなど様々な役割を持つ多機能性を再評価した利活用が進んでいる。最新調査の分析結果と、誌面を結節点にネットワークを構築する印刷会社フリーペーパーの事例から可能性を探る。
保護中: トピック技術セミナー・2020夏
【マスター郡司のキーワード解説2020】レンダリングインテント RGBフロー
今回は「レンダリングインテント RGBフロー」について考える。 続きを読む
オンラインセミナーの効果と手段を整理する
環境の変化で価値を提供する手段は変る
様々な企業で経営環境の変化対応が加速度的に求められている。例えば、外食産業、大手牛丼チェーンの吉野家ホールディングス(HD)は、7月28日発表にて2021年2月末までに牛丼チェーン「吉野家」など最大で国内外の計150店を閉店することを明らかにした。不採算店を閉め、閉店は全体の約5%に当たるという。一方、朝日新聞デジタル(2020年6月23日)によれば、調査会社の富士経済によると、飲食店から料理を取り寄せる「外食デリバリー」の市場規模は右肩上がりで、2020年は3068億円と予測する。サービス手段による明暗がハッキリと現れた。これは、飲食という製品のニーズが無くなったものではなく、単純に3密を避けたいという消費者心理によるものだ。提供するサービズ(価値)と届ける手段(利便性)を整理して考えれば価値を提供するヒントが生まれるかもしれない。
オンラインセミナーの使い分け
当JAGATの集合型セミナーも今後益々開催が難しくなることが予測される。オンライン化は有力な選択肢のひとつだ。オンライン講座を企画する上でも肝心なことは、教育効果を考え、ニーズに合わせたシステムの選択やツールを使いこなすことだ。視点の一つに、子供の教育現場で、しばしば耳にすることがある。「インプットよりアウトプットで子どもは伸びる」という話だ。子どものやる気がポイントとなっている。心理学者エドワード・L・デシのモチベーション理論での「内発的動機づけ」にあたるものだ。重要なことは、怒られないためでもない、その活動がしたいからするという動機を与えることだ。言い方を変えればやりたくなるきっかけをつくることとも言える。セミナーの役割も、動機づけのために心を掴むことが肝心な要素だ。知識だけなら書籍や通信教育等だけでも十分だからだ。講師には、受講者に問いかけ、引き出し、腹落ちさせる能力が求められ、それがセミナーの魅力となっている。感情にも訴えかけることがセミナーの落とせない要素だ。
オンラインセミナーでは2種類の方法がある。ライブ配信とオンデマンド配信だ。講座内容に合わせて選択してある。
- ライブ配信
ライブ配信は、文字通り生放送だ。限りなく集合セミナーに近づけること。コンテンツとしては、ライブ感が重要。機能としては、双方向コミュニケーションが特徴。
- オンデマンドストリーミング配信
事前に動画収録を行い、ストリーミングよって配信する。コンテンツとしては、知的情報の質が重要。機能としては、受講者が時間や場所を自由に選択できる。
集合ゼミナーのオンライン化は加速している。当JAGATでもライブ配信とオンデマンドストリーミング配信を組み合わせて効果的に開催している。
助成金制度を上手く活用しよう!
新型コロナウイルス感染症の影響により、休業や在宅勤務が続く中、こうした機会を有効に活用し、従業員の方々が自宅でスキルアップする機会を提供することは、将来を担う企業の人材を育成する上で国や自治体では、多くの助成金制度を設けている。
例えば、東京都の「中小企業人材オンラインスキルアップ支援事業」では、中小企業が従業員に対して行うeラーニングの経費を助成するものだ。民間の教育機関等が提供する多様なeラーニングに対して、助成率5分の4を行う。(※1社あたり最大32万円まで)助成対象期間は令和2年12月31日までとなっていて手厚い。
(CS部 古谷芸文)
オンライン印刷経営幹部ゼミナール ~2020年10月開講! https://www.jagat.or.jp/archives/77384
オンライン印刷ビジネス開発実践講座 https://www.jagat.or.jp/archives/37407
JAGATのセミナー<オンライン化推進中>https://www.jagat.or.jp/cat3
印刷業定点調査 各地の声(2020年4月度)
4月の売上高は△18.7%と観測史上最大の落ち込み。100年に一度の金融危機と言われたリーマンショックの時ですらも、落ち込みの最大幅は2009年5月の△10.5%だった。今回の印刷業界へのインパクトは当時をはるかに上回る。
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page2021はゆったり広々and Web
page2021は2021年2月3日(水)~5日(金)の3日間、東京・池袋サンシャインシティで開催する。キーワードは「ゆったり広々and Web」だ。
そもそもpageは開催出来るのか
pageイベントは、1987年の第1回開催から一貫して毎年2月に、東京・池袋のサンシャインシティで開催してきた。新型コロナウイルス感染収束の道筋が見えない中、冬の東京でのイベント開催についてはリスクは高い。しかし5月25日に東京都の緊急事態宣言が解除に伴い、イベント開催制限は段階的に緩和され、また、一般社団法人日本展示会協会からの感染拡大予防ガイドラインも示された。page2021についても、こちらを遵守し万全の感染対策を施して開催をしていく。
万全の感染対策で安心・安全の展示会開催へ
感染対策については、すでに今年2月に開催したpage2020において、出展企業のブース担当者へのマスク着用の依頼と、会場入り口や各階のトイレに消毒液の配置を行うなどの対策を講じてきた。page2021の開催に際しては、これらの対策に加え、会場内の換気やエスカレーターの手すり、エレベーターのボタンなど共用部分の高頻度接触部位の消毒、入場期の検温などを徹底する。pageイベントはいわゆるビジネスショーであり、大量の飛沫を伴う大声での会話や、激しい運動を伴うことはなく、密集を避ければ感染リスクは減る。油断は禁物であるが、最大限の感染対策で安心・安全な展示会を開催していく所存である。
コロナ禍の展示会の有り方とは
展示会のレイアウトは、 極力、通路を広くして、これまでと同様の来場者が会場に滞在しても密になりにくい、ゆったりとした小間配置を行う。ご出展を検討する企業においては、十分にリスクを鑑みつつも、まずは「安心・安全の展示会」であることを念頭に、出展をご検討いただきたい。それとともに検討の際には、出展の目的を認知拡大から案件獲得にシフトしていただきたいと思う。出展用に作成したチラシやパンフが何枚減るかでなはく、何件具体的な商談にどの位つながるか。JAGATとしても主催者として出来る限り、出展企業とその企業の製品・サービスに関心がある人とをつなぐサポートを強化したいと考えている。
来場者の減少はオンラインの活用で補う
とはいえ、不要不急の外出が自粛され、来場者減は避けられない中、オンラインとの併用は必須である。 JAGATにおいても、各種セミナーのオンライン配信を実施しているが、page2021のカンファレンス・セミナーや、スポンサーズセミナーもオンライン配信を予定している。オンライン配信によって、移動のリスク無く、webからの「参加」が出来る。特に首都圏以外の方々の参加へのハードルは下がることで、来場者減を補えると考える。万全の感染対策と密集を避けたレイアウト、そしてオンラインの活用で、page2021を開催していく。
8月3日(月)より出展募集を開始しました。出展案内および出展申込書はこちらからダウンロードいただけます。
(CS部 堀雄亮)