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【マスター郡司のキーワード解説】レタッチ(その弐)

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ヒューマンエラー対策と「ポカヨケ」で回避するしくみ化

事故にみる原因を追究するヒューマンエラー対策

印刷工場でのヒューマンエラー対応策への取り組みは、益々重要視されている。この6月5日(水)に開講した第4期印刷工場長養成講座に受講前アンケートでも多くの管理職者が関心事項の一つとして課題としている。今年1月2日に起きた羽田空港での日本航空機と海上保安庁の航空機が衝突した事故で、日本経済新聞(2024年1月4日)によれば、日航機側と管制官は滑走路に誤進入したとされる海保機を認識していなかった。海保機が滑走路上で約40秒間停止していたとみられることも新たに判明。事故は人的ミスが影響したとの見方が強まっている。管制指示の誤解を防ぐ表示装置の導入といったデジタル化も進む中、ソフト面も組み合わせた対策が欠かせないとしている。肝心なことは、一刻を争う緊迫した中で起きた不慮の事故であるということだ。背景のひとつとして、海上保安庁の航空機が能登半島地震を受け、新潟の航空基地に救援物資を運ぼうとしている中の事故で故意に起きたエラーでないことが容易に想像できる。事故は、時折、責任追及に関心が集まりがちだが、原因を追究し二度と起こさないための対策を講じることが重要だ。周知の通り、ヒューマンエラーは、完全に無くすことはできないことが前提だ。責任追及型ではなく原因追求型の適切なヒューマンエラー対策が求められる。

ヒューマンエラーを未然に防ぐための対策とは

ヒューマンエラーが減らない企業の特徴に個人の問題にして終了というケースが多々ある。そうした中で出てくる対策は、朝礼等での通知、チェック手順の追加、 注意喚起の表示など、 その場しのぎの対応が多くなることがある。最もダメなパターンでは、ミスを犯した部下に対して、「最近の若者は」などのボヤキ、「ちゃんとチェックしろ!」、「しっかり注意しろ!」「気をつけろ!」など怒鳴りつけて対策を終了するなどの場面があるのではないだろうか。ヒューマンエラー対策講座(JAGAT主催)によれば企業が行うヒューマンエラー対策は、ミス・事故を起こした個人だけの問題ではなく、ミス・事故に至ったプロセスや作業環境にも問題がある。ヒューマンエラーは複数の要因が連鎖して起こるケースも多いため、しっかりと対策を講じることでエラーの連鎖を断ち切り、発生・再発防止に対処することが必要だ。

【ヒューマンエラーを未然に防ぐための対策】

●業務フローの見直し

●マニュアルの整備

●ヒヤリハットの共有

1件の重大な事故の背後には29件の軽微な事故、さらにその背後には300件のヒヤリハットが存在すると言われる。ヒヤリハットの時点で対策を講じ、重大な事故・災害が発生しないように努める。

●チェック体制の強化

●システム・ツールの活用

●ミスしにくい設計(フールプルーフ)

あらかじめミスが起こりにくい体制を構築する。誤った操作を行っても重大な事故につながらないような設計することをフールプルーフと言う。

●注意喚起の徹底

●作業者スキルの向上

●ヒューマンエラー研修・教育の実施

●職場環境の改善

「5S」に則った対策を取るのが有効。従業員が仕事がし易い環境を整え、ミスや事故の防止にもつながる。

改善活動とポカヨケ、AI活用

対策において重要なことは、しくみ化に取り組み形骸化しないことだ。例えば、トヨタ生産方式による改善活動(カイゼン)で生まれた「ポカヨケ」は、ヒューマンエラー対策におけるしくみ化のひとつだ。ポカヨケは、日本語の「ポカ」(うっかりミス)と「ヨケ」(避ける)を組み合わせた言葉で、製造業やサービス業において、ヒューマンエラーを防止するための仕組みや工夫を指す。作業者がミスをしにくいように、もしくはミスをしてもすぐに気づくようにするための設計や仕組みを取り入れることとされる。

主な目的は

  • エラーの防止:作業者が間違った操作をするのを未然に防ぐ。
  • エラーの早期発見:エラーが発生した場合、それをすぐに発見して修正できるようにする。

具体的なポカヨケの例としては、

  • 形状や大きさでの区別:部品の取り付け位置や向きが間違えないように、形状やサイズを異なるものにする。
  • センサーの活用:製品の組み立て工程でセンサーを使用して、正しく組み立てられているかをチェックする。
  • チェックリスト:作業手順を確認するためのチェックリストを用意し、手順ごとに確認を行う。

ポカヨケの考え方は、ミスをした人を責めるのではなく、システムやプロセスを改善してミスが発生しないようにすることを重視している。これらの考え方をベースに最近では、AI活用も急速に進んでいる。

<異常検知>

AIを用いた異常検知は、クレジットカードの不正検出から製造工程の不良品検知まで幅広く活用されている。

<ポカヨケ>

ポカヨケは、人の手による作業ミスを防止・回避するための対策。AIを活用した不良品検知の活用も広まっている。

これは、品質管理や生産性向上に効果的で結果的に顧客満足度の向上につながる。企業活動の中でもヒューマンエラー対策は、改善活動の一環であることを認識していなければならない。「急がば回れ」である。PDCA(管理サイクル)で好循環のスパイラルを回転させしくみ化することと人を育てる対応が望まれる。鍵を握るのは推進するリーダーや各々のリーダーシップである。印刷工場では、改善活動にしっかりと取り入れて根付かせなければならい。

(研究・教育部 古谷芸文)

【オンライン】第2期 印刷機長養成講座

【マスター郡司のキーワード解説】レタッチ(その壱)

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page2025テーマは「共奏」

page2025は、2025年2月19日(水)~21日(金)の3日間、東京・池袋のサンシャインシティで開催する。テーマは「共奏」だ。

「創注」「連携」そして「共奏」へ

page2025のテーマ「共奏」は、前々回page2023の「創注」、前回page2024の「連携」を包含している。受注産業からの脱却を目的とした創注を、自社だけでなく様々なステークホルダーと連携しながら共にビジネスを創っていく、という思いを込めて、「共奏」とした。
「創」ではなく、楽器を演奏するという意味の「奏」という文字を充てた理由としては、 前回の「連携」から一歩進んだことをより強調するためである。多彩な楽器を持つ多くの演奏者が、一糸乱れぬ演奏で音楽を創り出していくオーケストラのような一体感を、イベントの中で少しでも生み出していきたいと考える。
そのオーケストラが演奏する音楽に「協奏曲(concerto、コンチェルト)」というものがある。これは文字通り、協力して演奏、すなわち「協奏」する曲であるが、ピアノ協奏曲やバイオリン協奏曲などのように、 オーケストラが共に音楽を奏でるのは、 一つの楽器を演奏するソリストである(一方、オーケストラのみで演奏するのは交響曲)。そして協奏曲には、ソリストがオーケストラの伴奏を伴わず、自由に自らの技巧を即興的に演奏するパート(カデンツァ)が多くあることも特徴である。「共奏」には、共に協力し合いながらも、 協奏曲におけるソリストのように唯一無二の存在となるような企業がどんどん出てきてほしいというメッセージも含めている。余談だが、協奏曲の演奏の際、ソリストが自らの存在や技巧をひけらかすような演奏をすると、観客だけでなく指揮者やオーケストラからも引かれてしまう傾向がある。しかし競争の激しいビジネスの世界においては、競合企業から引かれるほど突き抜けるような企業が何社も生まれる環境を作っていきたいと考える。

競争に打ち勝ち他社に抜きんでるための「共奏」

日本語はその言葉を表記する際、漢字と平仮名、カタカナを併用するため、同じ音でもその文字をどう表記するかで意味が全く変わってくる。「キョウソウ」という音に充てる漢字は複数あるが、脳内で変換する際に真っ先に思い浮かぶ漢字は「競争」ではないだろうか。印刷業界に限ったことではないが、ビジネスにおいては日々競争にさらされている。価格競争や人材の獲得競争、ともすれば日々生きるか死ぬかの生存競争である。JAGATとして印刷業界における競争を引き起こそうというわけではないが、各社の良い部分を見習い切磋琢磨しながら業界全体を盛り上げたいという思いである。

ぶっ飛んだ「狂想」を生み出せるイベントに

pageはイベントでありお祭りである。よって「キョウソウ」は「狂騒」であっても良いと(個人的には)思っている。 展示会場で狂ったように騒ぐのは慎んでいただきたいが、JAGATとしてはpage2025で来場者の心が躍るような、来場して良かったと思える企画を検討している。
変化の激しい今の時代、もはや過去の延長に未来はなく、 日々の激しい競争に打ち勝って創注していくためには、もはやともに手を取り合っている(連携する)場合ではないのかもしれない。自社だけでも抜きんでていくために、常識を覆すような「狂想」も必要ではないだろうか。page2025において、そんなぶっ飛んだアイデアがいくつも生まれ、具現化されることを願いながら、これから準備を進めていく所存である。

(研究・教育部 堀雄亮)

【印刷業界】新入社員採用・教育調査一覧

JAGATは、印刷会社の新卒社員の採用・教育に関する調査を行っています。経営者、採用担当者、新入社員、それぞれの視点を交えながら、印刷会社の取り組み、新入社員の意識や価値観の変化をご覧ください。

 


計・レポート
 <企業の採用実態調査>
年度 調査内容
2022年  印刷会社の新卒・中途採用に関する実態調査2022<JAGATinfo2022年12月号>
2021年  印刷会社の新卒採用の取り組み実態調査レポート<JAGATinfo2021年11月号>
 印刷会社の新卒採用と新入社員教育実態調査2021統計資料<速報版>
2020年  印刷会社の新卒採用の取り組み実態調査レポート<JAGATinfo2020年10月号>
 印刷会社の新卒採用と新入社員教育実態調査2020統計資料<速報版>
 <新入社員意識調査>
年度 調査内容
2023年  新入社員への調査結果から新卒採用の方向性を考える<JAGATinfo2023年12月号>
2022年  印刷会社の新入社員意識調査~変化し続ける新卒採用環境と世代の特徴を踏まえた対策を~
 <JAGATinfo2022年10月号>
2021年  印刷会社新入社員の意識調査2021レポート<JAGATinfo2021年9月号>
 新入社員意識調査2021統計資料<速報版>

 

 


ラム

【2023.12.05】新入社員が求める働き方や制度

【2023.10.03】チームを成功へと導く「マネジメント力」

【2023.09.12】持続的な企業価値向上につながる社員教育

【2023.09.05】印刷業に仲間入りした246名の新入社員は就活でどの媒体を利用したのか

【2023.09.01】印刷会社の提案営業を習得する

【2023.07.25】社員に合った教育機会の活用~生産性向上支援訓練報告~

【2023.07.07】営業成果を高めるデータ活用と運用面の課題

【2023.06.06】DXと人材育成

【2023.05.30】DM作成に必要なスキル~企画提案力の向上~

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新入社員にフォローアップ教育の機会を

新入社員に対する印刷技術知識や社会人としてのコミュニケーション能力などの基礎教育は、ビジネス現場に踏み出すファーストステップとして大切であるが、早期戦力化のためにはフォローアップ教育が重要である。 続きを読む

page2025を価値のあるイベントに

今年2月14日~16日の3日間、サンシャインシティで開催した「page2024」は前回page2023に比べて出展企業、来場者とも大きく増加し、盛況理に終了した。

page2024 開催報告

page2024の概要は下記のとおりです。

【出展規模】  :148社447小間(前回122社423小間)
【来場者数】  :21,580名(来場者受付通過人数、前回比126.4%)
(内訳) 
2月14日:5,426名(前回4,298名、前回比126.2%)
2月15日:7,106名(前回5,470名、前回比129.9%)
2月16日:9,048名(前回7,302名、前回比123.9%)

【来場者属性】

page2024来場者属性(業種)
page2024来場者属性(職種)
page2024来場者属性(役職)
page2024来場者属性(都道府県)

JAGATでは毎年、pageイベント出展企業に上記の開催報告を兼ねて、ご挨拶に伺っている。イベントの担当者様だけでなく、多くの経営者・役員の方々とも様々なお話をする中で、出展企業の特徴が見えてきた。

目的を持った来場者に対して趣向を凝らした出展ブースを展開

まず(今回だけではないが)昨今の来場者は、イベントに対する意識が高く目的を持って来場している人が多い、という意見を複数いただいた。これに関してはデータにも表れている。

上記のグラフは、page2024最終日である2月16日(金)の時間帯別来場者数の推移である。総合受付のある展示ホールDの入口と、その2つ上のフロアの展示ホールBの入口を通過した人をカウントした結果であるが、展示ホールD入口を通過した人の数が最も多い時間帯が14時台となっていた。以前は総合受付が最も混雑するのが15時台、厳密にいえば15時30分前後、というのが定説になっていたが、来場ピークが早まっていることが分かる。さらに展示ホールBの入口を通過した人が最も多いのが15時台となっており、その数も展示ホールのピーク時よりも多くなっている。これは14時前後に展示ホールD入口を通過した来場者が、1~1.5時間かけてホールD、Cを回り、2つ上のフロアまで上がっていった結果といえる。出展企業からも、来場者のブース滞在時間が長かったという声が多く、週末金曜日の午後に、ふらっと展示会場に立ち寄ってそのまま直帰、というかつての姿はあまり見られなくなっているのかもしれない。

リード獲得の手段としてのノベルティに工夫

一方、出展企業側もこうした来場者の意識の高まりを受けて、工夫を凝らしている。プロダクトライフサイクルの変化に伴い、かつてのように展示会に合わせて新製品・サービスを発表する企業は減少しているが、その分、出展ブースを訪れた来場者に渡すノベルティにこだわった出展企業が成果を出している傾向が高かった。
出展企業の多くは、展示会におけるKPIをリード獲得(個人情報の取得)数としているが、出展企業のブースを訪れた来場者側の関心が高ければ、その場で名刺をもらえるが、必ずしもそういう来場者ばかりではない。出展企業側からすると、むしろ名刺を出すほど今すぐ話が聞きたいわけではない「そのうちお客様」を取り込むことが、昨今の展示会の出展目的となっている。名刺を出さない来場者の個人情報の取得には、入場者証の二次元コードの読み込みが必要になるが、それと引き換えに渡すノベルティが重要になるのだ。ガチャを引かせたり、数百種類ものノベルティのパターンを用意し、来場者に選ばせたりしてリード獲得につなげており、出展に際してのプロジェクトチームに社歴の浅い社員を加え、アイデアを募り、それが成果につながったという声もあった。

イベントの来場者を増やすべく主催者企画を実施

来場者の目的意識の高まりに伴い、出展企業も変化している。ならばJAGATも変化しなければならない。page2024では主催社企画として「連携ゾーン」を展示ホールBに設置した。展示会場内にセミナー会場を設置するのはpage2019以来、コロナ以後は初めてであり、開催された無料セミナーの集客が心配されたが、結果はまずまずで来場者増に貢献することが出来た。しかしゾーン内の出展企業や展示内容とテーマがリンクしきれない部分があり、テーマである「連携」を体現できたとは言い難かった。 とはいえ、実質初めての試みであり、今回の経験を活かし、次回以降につなげていきたいと思う。

page2025を「行く価値のある」イベントに

出展企業からは、今回の連携ゾーンに対しては一定の評価をいただくも、やはりさらに来場者を呼び込むような面白い企画を望む声は多かった。印刷業界全体に大きな技術革新といえるトピックは少なく、出展企業も新製品やサービスをそう簡単に市場に送り込めない中、それでもせっかく期待を込めてやってきた来場者が、出展企業に個人情報だけ取られてしまっては、次回以降の来場にはつながらない。JAGATとしては知恵を絞り、pageを「行く価値のあるイベント」にしなければならない。今回の出展企業への訪問で、その為のアイデアはいくつか得ることが出来たので、これらをブラッシュアップして、より良いものにしていきたいと思う。

(研究・教育部 堀雄亮)