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印刷物の価値を高める特殊印刷と表面加工

デジタルメディアが台頭するなかで、印刷物には「早い」「安い」だけでなく価値を高めることが求められている。マーケティングの活用もその要素のひとつであるが、五感に訴えるという紙(印刷物)の魅力を増幅するのが各種表面加工や特殊印刷である。
本研究会では、新技術を活用した光沢加工や箔押しの紹介、機能性インクや特殊印刷による新たな用途提案、またデジタル印刷機における特殊・特色トナーの活用を取り上げる。




構成と内容

【1】 多種多様な特殊加工による印刷物の高付加価値化

株式会社太陽堂成晃社 代表取締役 宮本 武紀 氏

光沢加工の専業者として創業。2008年にオフセット印刷機(UV)を導入し、印刷と加工を組み合わせた新たなビジネス分野に挑戦。
オフセット印刷+コールドフォイル、オフセット印刷+疑似エンボス、あるいはアルミ蒸着紙やホログラム紙、不織布紙などの特殊原反への印刷など多様な表現を実現。
さらに、KRUZ社のDM-LINER(金型を必要としないオンデマンド箔印刷)を導入し、液体トナーや紛体トナーを使った電子写真方式デジタル印刷との組み合わせも積極的に取り組んでいる。

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【2】機能性インクと特殊印刷によるTRICK PRINTの技術と事例

株式会社SO-KEN 代表取締役 浅尾 孝司 氏

TRICK PRINTは、同社が提供する特殊印刷サービスの総称である。
以下の5つの製品群からなる。
1.ブラックライトプリント
 ブラックライトで画像が光るプリント
2.ソーラープリント
 太陽の光(紫外線)に当たることで画像が浮き出るプリント
3.エディブルプリント
 可食性色素技術でフルカラーで鮮明な可食印刷が可能に
4.フラッシュプリント
 フラッシュ撮影をする事で初めて写るプリント
5.リライトプリント
 まったく異なる2つの広告を1つの電飾サインで表現
 バックライトのON-OFFが切り替わることで昼と夜で違う訴求が可能となる

それぞれの特殊印刷の特長、用途、事例を紹介する 

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【3】特殊トナー・特色トナーによる印刷物の価値向上

(1)1パス6色の印刷によりメタリックカラーなど多彩な特殊色を表現

富士ゼロックス株式会社

(2)不可視トナー(インビジブルレッド)による用途提案
   ~セキュリティ、トレーサビリティ、加飾(ブラックライト印刷)

リコージャパン株式会社

 

 

 

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※講演者・講演内容は一部変更になることがあります。

 

開催情報

【日時】
2019年7月2日(火) 14:00-17:00 (終了時間は延長する場合があります)

【会場】
日本印刷技術協会 3Fセミナールーム(〒166-8539 東京都杉並区和田1-29-11)

【参加費】
15,120円(税込)、JAGAT会員:10,800円(税込)
印刷総合研究会メンバー: 無料 [一般]2名まで [上級]3名まで [特別]5名まで
→自社が研究会メンバーか確認したい場合は、お手数ですがこちらのフォームからお問合せください。 

申込み

WEBから
Web申込フォーム に必要事項をご記入のうえ、ご登録ください。
登録後は完了メールが入力したメールアドレス宛に届きます。

FAXから
申込書に必要事項をご記入の上、 FAX(03-3384-3216)にてお申し込みください。
(印刷総合研究会メンバーの方は、別途送付の専用申込み用紙をご利用ください)

問い合わせ先

内容に関して
研究調査部 印刷総合研究会担当   電話:03-3384-3113(直通)

お申し込み及びお支払に関して
管理部 電話:03-5385-7185(直通)

 



 

夏フェス2019 特別講演ご登壇者をご紹介(7月1日)

8月22日(木)、23日(金)の2日間、日本印刷技術協会本社(東京都杉並区)にて開催する「JAGAT Summer Fes 2019(夏フェス2019)」の特別講演の登壇者が決定しましたので、ここにご紹介いたします。

 

①濵宏行氏

文藝春秋株式会社 取締役

平成元年文藝春秋入社、営業局雑誌営業部、書籍営業部、営業推進センター営業推進部を経て、平成23年営業局長、平成26年資材製作局長、平成29年取締役に就任、現在に至る。

 


②阿部将士氏

横河電機株式会社 執行役員 マーケティング本部長

1985年インテルジャパン株式会社(現インテル株式会社)入社。エンジニアからキャリアをスタートさせ、広報室長、マーケティング本部長、取締役副社長兼技術開発・製造技術本部長などを歴任。2016年横河電機に入社、現在に至る。

 

 

尚、上記2名のセッションの詳細はこちらから。

そしてセッション参加のご登録は、こちらからお願いいたします。

(JAGAT Summer Fes事務局)

デジタルに「紙」を融合させたマーケティング施策でビジネスを創るイベント「夏フェス2019」

8月22日(木)、23日(金)に日本印刷技術協会・本社で開催する「JAGAT Summer Fes 2019(夏フェス2019)」は、「デジタル」と「紙」を融合させた「マーケティング」施策でビジネスを創る事を提案します。様々な業種で実績のあるマーケターによる特別講演をはじめ、出版、デジタルコンテンツサービスを展開する企業トップに登壇いただく講演企画も多数ご用意しました。

 

 夏フェス2019特設webサイトもOPENし、ご来場登録受付も開始しました!こちらをぜひご覧ください!

 

マーケターによる特別講演は豊富な経験と実績を持つ方々をラインアップ

今回の夏フェス2019では、様々な業種の企業のマーケターとして、あらゆる施策を構築、実行してきた経験を持つ方々に登壇いただく特別講演を実施します。講演プログラムと日時は下記の通り。

    • 8月22日(木)10:00~11:00
      「 市場を創造するということ ~レッドブルが日本にもたらした変化とは

      元 レッドブル・ジャパン マーケティング本部長 一般社団法人 渋谷未来デザイン 事務局次長 長田新子

 

    • 8月22日(木)11:20~12:20
      「『タンスの中まで知る』伝説のONE TO ONEマーケティング」
       
      元 三越日本橋本店お得意様営業部マネジャー お得意様育成事務所スズセイ 代表 鈴木一正

 

    • 8月23日(金)10:00~11:00
      「戦略思考で考えるジャイアントキリング」

      クー・マーケティング・カンパニー 代表 音部大輔

 

  • 8月23日(金)11:20~12:20
    「デジタル×スポーツ×マーケティング」

    江端浩人事務所 代表 スポーツニッポン新聞社 特任執行役員 CDO 江端 浩人

 

尚、この特別講演は、参加費有料となります。ご参加料金及びご登録はこちらをご確認ください。

 

「デジタル×紙×マーケティング」のテーマに近しい成功事例を持つ企業による講演

無料で参加できるJAGAT企画講演は、初日は出版、2日目はデジタルコンテンツと人材活用を中心に、様々な観点から取り上げます。テーマが近いセッションを続けて聴講できるよう設定しておりますので、効率よく学びを深めていただくことが出来ます。また今回、展示コーナーとミニセミナー会場がセットになった新企画「for Businessゾーン」を設置します。出展企業とミニセミナー開催企業を合わせて20社以上が参加予定で、これまでにない盛り上がりが期待されます。

(for Businessゾーン ミニセミナーイメージ)

マーケターに印刷の知見を伝える機会に

JAGATでは2015年4月30日に「未来を創る THIS POINT FORWARD」を刊行しました。これは、ジョー・ウェブ博士とリチャード・ロマノ氏の共著「THIS POINT FORWARD」の日本語版であり、印刷業界のマインドセットの変化を促し、マーケティング概念を啓蒙する内容でした。本書の中で、筆者がアメリカ・マーケティング協会の会合に参加するも、印刷業界人が誰も来ず、CMOと会話するせっかくのチャンスを逸していると嘆くくだりがあります。

そこでJAGATではこの「未来を創る」刊行を機会に、pageやJAGAT大会などの各種イベントを通じ、マーケティング関連のカンファレンスをはじめとする、印刷業界とマーケターが出会える様々なチャンスを提供してまいりました。

 

一方で、夏フェス2019の講演依頼をする中で感じたのは、現在の印刷業界に対してきちんとした知見を持つマーケターがいないことです。この夏フェス2019が、マーケターたちに新たな印刷の価値や可能性を伝える場となり、マーケティング施策に「紙」の力がさらに発揮されるきっかけとなれば、との思いで開催いたします。

8月22日(木)、23日(金)、JAGAT本社でお待ちしております。

(JAGAT Summer Fes 事務局)

 

夏フェス2019 特別講演ご登壇者をご紹介(6月26日)

8月22日(木)、23日(金)の2日間、日本印刷技術協会本社(東京都杉並区)にて開催する「JAGAT Summer Fes 2019(夏フェス2019)」の特別講演の登壇者が決定しましたので、ここにご紹介いたします。

 

 

 

①前田鎌利氏

株式会社固 代表取締役
一般社団法人継未 代表理事

 

 

17年にわたり移動体通信事業を中心にIT業界に従事。2010年に孫正義社長(現会長)の後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1期生に選考され初年度第1位を獲得。孫正義社長に直接プレゼンして幾多の事業提案を承認されたほか、孫社長のプレゼン資料づくりも担当。その後、ソフトバンク子会社の社外取締役や、ソフトバンク社内認定講師(プレゼンテーション)として活躍。2013年12月にソフトバンクを退社、独立。著書に「社内プレゼンの資料作成術」「社外プレゼン資料の作成術」ほか。

 

 

 

 

 

②加藤貞顕氏

株式会社ピースオブケイク 代表取締役CEO

 

 

アスキー、ダイヤモンド社に編集者として勤務。累計発行部数280万部を記録した『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(岩崎夏海)や、『評価経済社会』(岡田斗司夫)など、ベストセラーを多数手がける。2011年株式会社ピースオブケイクを設立。『ゼロ』(堀江貴文)、『ニコニコ哲学 川上量生の胸のうち』(川上量生)、『マチネの終わりに』(平野啓一郎)などの編集を手がける。2012年、コンテンツ配信サイト cakes(ケイクス)をリリース。2014年、メディアプラットフォーム note(ノート)をリリース。

 

尚、上記2名のセッションの詳細はこちらから。

そしてセッション参加のご登録は、こちらからお願いいたします。

(JAGAT Summer Fes事務局)

印刷会社におけるミドルマネージャーの育成と価値

~印刷経営幹部ゼミナール受講者の声より~

昨年開催の「印刷経営幹部ゼミナール35期」当協会主催では、受講者の多くは印刷会社の部長、課長、係長などの役職のミドルマネージャー(中間管理職)であった。
昨年の受講者の主な声を下記にまとめた。

【Q1】ゼミナールの受講の動機は?
 社長から勧め
 上司からの推薦
 業務命令
【Q2】ゼミナールで得られたことは?
 受講の仲間と共に演習を通じて自社の課題を認識できた。
 他社にない自社の強みを知り、整理することができた。
 自社の特徴を活かし、チャレンジし、やり続けることの価値を知った。
 経営者講座のビジネス事例では、経営の考え方に心に残るものがあった。
【Q3】講座内容を実務にどう活用するか?
 学んだ原価計算を自社で再点検し財務体質の把握と目標管理に活かしたい。
 加工高比率を営業目標としても活かしていく。
 勝者の営業・弱者の営業を意識して組織的な営業に繋げる。
 他社の受講者との交流は続けたい。

講座では、自社(受講者企業)の事業ドメイン策定演習を取り入れた。印刷会社の多くのマネージャーは自らがプレーヤーの場合が多い。日常業務に追われ、自社の状況を俯瞰する余裕がないことが多い。受講者の多くは当初、演習に惑いもあったようだ。
ミドルマネージャーに求められる役割は、「部下の育成やマネジメント」「現場を活性化しモチベーションを維持させる」「目標を設定し達成する」などが考えられる。経営方針をビジネスの現場に浸透させる重要な役割だ。印刷会社においても経営視点をもったミドルマネージャーの育成は企業が成長するための原動力となる。

【経営資源からマーケットインとプロダクトアウトを考える】

事業ドメインの設定は、企業が市場で競争優位性を獲得するための重要な経営戦略の一つだ。事業ドメインの設定は、市場性→競争環境→自社適合性の流れで考える。特に、自社適合性を考えるときに判断に迷うことがある。その一つが、「プロダクトアウト」と「マーケットイン」のバランスだ。印刷会社では、自社の適合性と市場ニーズの挾間で熟慮しなければならない。営業部門の目標設定で重要なのが加工高比率である。市場の成長期にみられたような売り上げ至上主義のようなどんぶり勘定ではいけない。例えば、工場を持った印刷会社は、その工場にあった仕事を受注することがセオリーだ。しかし、顧客のニーズを無視するわけにもいかない。そこで、カギとなるのが発想力だ。工場の魅力と顧客の求める価値を繋げビジネスや商品を発想し生み出す力である。発想力は、「がんばれ!」と掛け声では育成することができない。発想する機会や手法を与えるこが重要になる。事業ドメイン策定演習では、発想するための型や場を提供することができる。
ビジネスの現場で活動し、マネジメントを行うミドルマネージャーは、益々重要なカギを握りそうだ。

JAGAT 古谷芸文


<関連講座>
●第36期印刷経営幹部ゼミナール(2019年9月リニューアル開講)
https://www.jagat.or.jp/archives/61871

【資格者インタビュー】印刷を知ることで デザインの可能性を広げたい

レンゴーグループの朋和産業株式会社は、軟包装を軸にパッケージング・ソリューション・カンパニーとしてデザインの提案から製品の製造まで一貫生産体制でサービスを提供する。桑原 麻理子氏は入社7年目で、現在は軟包装パッケージの製作業務を中心に活躍中である。

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桑原 麻理子氏

朋和産業株式会社 営業部門 開発本部マーケティング部一課

現在はどのようなお仕事を担当しているのですか。

デザイン系の学校を卒業後、新卒で入社しました。軟包装パッケージを中心に印刷用版下データの制作、印刷会社へ のデータ入稿、文字校正、色校正など後工程のスケ ジュール管理といった業務を担当しています。

DTPエキスパート資格を取得したきっかけは何ですか。

入社時は、特に印刷の知識はありませんでした。もちろん、グラビア印刷の仕組みなどの研修はありましたが、デザイン職として実際の業務を始めると、印刷 しにくい色やデザインを避けてほしいと言われても、なぜそれがダメなのかが納得できませんでした。疑問に思って製版、製造部署の人に聞いても、「トーンジャンプが起こる」とか、「印刷のときつぶれる」などと専門用語が出てくると、どのような意味で言っているのか、なぜそうなるのかが分かりませんでした。そこで、まずは印刷の仕組みや用語を知らないと、なぜそのデザインがダメなのか製版部へ問い合わせることができないと思い、広く印刷の勉強をしようと考えました。そうした内容の勉強方法を探した際に、DTPエキスパート認証試験を見つけ、適切と思い取得することにしました。

お客様から見たら、印刷会社が提案してくるデザインは正しく印刷できるものと思っていただいているわけで、そうでなければ信頼を失います。そういった自分の立ち位置を認識し、しっかりと印刷を理解したうえでデザインを作りたいと思うようになりました。印刷の難しさを考慮することで表現の幅を狭くしてしまう可能性もありますが、印刷を理解していれば、逆にこういう表現は可能か、どういう対策をしたら可能になるかを製造現場の人と相談しながら、新しい表現にチャレンジできるのではないでしょうか。

DTPエキスパート認証試験はオフセット印刷関連の知識が中心となっているため、グラビア印刷と重ならない部分もあるのですが、広く印刷の知識を身に付け各印刷方式の違いを知ることにより、グラビア印刷の利点を理解して現在の業務にも生かしたいと思っています。

資格取得のために勉強してみて、仕事に生きている部分はありますか。

最も有効だと思うのは、色に関する点です。色の見え方の仕組みなどを理解できたことは大いに役立って います。よく「色が合わない」と言われますが、ちょっとした環境が変わるだけでも色は安定しないということ、だからカラーマネジメントが大切だということを実感しています。出向先での業務では、フィルム包装だけでなく、紙のパッケージやシリーズ商品の印刷など、印刷物ごとに別々の印刷会社にデータ入稿することがあります。そうなると、各社印刷方式や印刷環境が異なりますから、基準の色に統一していくことには非常に気を使いますし、難しい部分です。

また、情報デザインの内容も勉強になりました。デザインはなんとなく見た目良く作れてしまうところがあり、最初はそこに疑問を持っていませんでした。2年、3年と経験を積むうちに、自分の中で、何を根拠にこれを作っているのだろう、何を根拠にこのデザインをお客様に提案しているのだろうと思うことが出てきました。なぜそのようなデザインをしているのかを自分の中で消化したうえで表現しなければ、説得力のあるデザインはできないと考えています。理論や知識の裏付けがあることで自信を持ってデザインできるようになったという点は、現在の仕事に生きていると思います。

情報システムカテゴリーで学ぶコンピューターの仕組みなどは、普段何気なく扱っているデータのつくりなど知らないことが多かったので、興味深く勉強できました。

パッケージならではの難しさはありますか。

一般消費者向け製品のパッケージに携わっているので、いかにして店頭で商品を手に取ってもらえるかという点において、パッケージは重要な役割を果たしていると思います。パッケージは商品の顔であり、ひいてはブランドオーナーの顔でもありますから、デザイン面、品質面ともに、お客様の要望に応えていけるように心掛けています。それでも商品企画が二転三転したり、いざ市場に出してみると思ったような反響が得 られずパッケージ変更となってしまったり、ということもあり、難しさを感じています。

今後、こんな仕事をしてみたいということはありますか。

自分の手掛けた商品がス―パーなどの店頭に並ぶと、やはり達成感、やりがいを感じます。今はフィルム包装の仕事が主ですが、もっと広く紙を含めたページものや広告デザイン、セールスプロモーションなどさまざまなデザインに携わってみたいという希望もあります。それぞれの領域で求められる決まりごとや業務知識もあると思うので、勉強する意識は持ち続けていきたいと思っています。

そういう意味では、先日初めて受けたDTPエキスパートの更新試験は、新しい分野の問題もあり、答えるためにいろいろと調べなければならず、良い勉強の機会になりました。

取材・まとめ JAGAT CS部 丹羽 朋子
-JAGAT info 2019年2月号より転載(一部改訂)-