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【資格採用企業インタビュー】経営陣自ら資格を取得し 社員の意欲を引き出す

新宿区西早稲田に本社を置くタクトシステム株式会社は、カタログ制作を中心に業務を展開するコンテンツ制作会社である。現在では、カタログ制作の業務改善提案や、エンドユーザーへの訴求効果を高める手段の提案など、マーケティング業務も視野に事業を展開している。
取締役の大熊 努氏は、2017年8月のクロスメディアエキスパート資格取得に続き、2018年8月にDTPエキスパート資格も取得した。経営陣自ら両資格に取り組まれた背景を含め、タクトシステムの人材育成方針等についてお話を伺った。

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大熊 努 氏
タクトシステム株式会社 取締役/経営管理本部長

貴社の事業と最近の傾向についてご紹介ください。

10 年ほど前、通信系の上場会社であるフォーバルテレコム株式会社が、当社を100%子会社化しました。私自身もフォーバルテレコムグループ出身のため、印刷業界は経験ゼロというところから始めています。もともとフォーバルグループは通信系の会社が中心であるため、グループ内での当社の位置付けは異質に感じられるかもしれませんが、顧客基盤の共通化による異業種シナジー効果を期待していました。

当社はカタログ制作が売り上げの7~8 割を占めています。ただし、カタログによる訴求効果が薄れてきている面もあり、お客様からは従来通りのカタログだけでなくさまざまな手段を提案してもらえないかという要望があります。こうした現況を踏まえ、マーケティング視点を持ったエンドユーザーとのコミュニケーションを念頭に置いた提案や、カタログ制作での業務効率改善の提案なども行っており、現在はそうした業務の比重が高まってきています。

従来事業に加え新規事業も増えていく中で、貴社では人材にどのようなことを求めていますか。

人材育成については、OJT だけでは欠落してしまうところがありますので、資格を取得して知識の欠損を埋めることを推進しています。フォーバルグループの会長(大久保 秀夫 会長)は自らも国家資格を取得するなど、グループ全体で前向きに資格取得に取り組むことを推奨してきました。

10年前の子会社化の際、フォーバルテレコムの上層部は当社でも資格取得に取り組もうと話したのですが、当時社員には資格取得に対して懐疑的な空気がありました。3年ほど前にフォーバルテレコムから現社長(梅林 保典 社長)が社長に就任後、あらためて資格取得を推進していこうという機運が本格化しました。梅林自身も資格取得については非常に積極的に取り組んでいます。

トップダウンで資格取得を推進するのは難しい側面があると思いますが、資格取得の機運が高まった要因は何ですか。

グループ内の会社で積極的に取り組んでいるため、当社でもやらざるを得ないという雰囲気になってきました。外圧の影響というのでしょうか。当初社員は嫌々取り組んでいる感もありましたが、そのうち積極的に取り組む人間が出てきました。会社の推奨資格は幾つかあるのですが、その中で比較的やさしい資格から取り掛かっていき、最終的には当社の核であるDTP 制作に最も近い資格であるDTP エキスパートを筆頭に取得してほしいという方針を掲げ、3年近くが経過したところです。現在では、資格取得を盛り上げていこうという声が社員の中から立ち上がってくるようになりま した。

貴社のウェブサイトには、取得資格の一覧など詳しく掲載されていますね。

ウェブサイトで掲載もしていますが、さらに資格取得を推進する中で、毎月一回資格取得者を掲載した社内通達を出し、全社員に対し閲覧を必須としています。会社推奨資格のうち、新たに資格に合格した社員の情報と、これまでの取得者、累計合格者の一覧をまとめたものです。当社の推奨資格には3 段階あり、推奨資格、昇格要件資格、一時金支給対象資格、というものがあります。エキスパート認証資格はその全ての対象となる資格に位置付けています。これを定期的に社員の目に触れるようにし、各自の取り組み意欲を刺激しようというのが目的です。

費用面の会社からのサポートとしては、全ての推奨資格について、合格の場合受験料を負担し、また一時金対象資格については、資格ごとに規定を決めて一時金を支給しています。

資格取得に対して社内を盛り上げる雰囲気づくりでご苦労された点、工夫された点はありますか。

今、中心的に取り組んでいるのは若い層なのですが、マネージャー層にはまだ資格取得に対するアレルギーがあるようです。これを解消するには、まずは経営陣である私自身が会社推奨資格をすべて取得したうえで、こういうメリットがあるということを話していこうと思い、今回もDTPエキスパートに取り組みました。

実際に取得してみると、この資格の必要性を実感しました。オペレーターや制作業務者向けに最適といわれている資格かもしれませんが、私が取り組んでみて感じたのは、営業部門や生産管理部門などが取得するとむしろ良いのではないかという点です。体系的な知識が身に付くため、トラブルがあったときなどの知識の拠りどころになります。今後そういう方向で勧めていこうと思っているところです。

資格を推進することで、社外からの反響はありますか。

弊社CMB(クロスメディアビジネス)事業部門に、クロスメディアエキスパートを取得した者がいるのですが、その者が中心となり営業とタッグを組んで、資格で得た知識をベースにして弊社のマーケティングを積極的に行っています。クロスメディアからスタートしまして、GAIQ(Google アナリティクス個人認定資格)で得たスキルなども含めて弊社のマーケティングを行ったところ、その成果が表れてきているのです。今まで新規開拓が思うように進まなかったのですが、ウェブやマーケティングオートメーションなども絡めて取り組んだところ、今まで弊社が相手にしていただけなかったお客様からお問い合わせが来るようになりました。資格取得推進が営業面、顧客開拓に結び付いたという実感があります。

会社として資格に取り組むメリットはどのような点ですか。

資格で得た知識が業務に直接生かせるという点が最も大きいと思います。

私は、学生の頃に公認会計士の勉強をしたことがありました。資格に向けた勉強の中で得た知識が30年たった今の業務に非常に有効に生きていると感じています。ですから、この業界での大型資格と言えるDTPエキスパートを勉強することで得た知識やツールの使い方などのスキルは、業務に大きく生かされてくると思います。そうした勉強とは確実に身になるものなのだ、ということを社内で伝えて啓蒙していき、社員をやる気にさせていきたいと思っています。

人材の成長を促すプロセスとして、資格以外に取り組まれていることはありますか。

基本的に外部のさまざまな研修を受けさせています。DTP に関するものはもちろん、またDTP の周辺領域として、最近ではRPA など、印刷だけではなく他の領域との接点に関わる研修にはよく参加させています。その他展示会なども含め、業務に役立つものであれば、部門長の判断もありますが、行けるときにはできるだけ参加し、成長してもらいたいと思っています。

今後、社員にはどのような人材に成長してもらいたいとお考えですか。

本来の業務に関する知識はエキスパート資格により補完するよう取得を促進していくとともに、簿記検定などにも取り組み、会社の数字も分かる社員、経営者の視点を持つ社員に育ってほしいと思っています。自分たちの業務がどれだけ会社としての成果につながっているのかという点を客観的に数字で捉えることは重要です。制作業務など目の前の作業のみを中心に行っていると数字意識を持たなくなりがちですが、会社組織ですから、会社の目線でも考えられる視点は持ちつつ成長してもらいたいと思います。

取材・まとめ JAGAT CS部 丹羽 朋子
-JAGAT info 2019年2月号より転載-

技術革新で変わるチラシ周辺BtoCマーケティング

~キャッシュレスと技術革新は生活者の消費行動と企業活動をどう変える~

折込チラシは、目に見えて効果がある媒体として今も根強い需要があり、新しい活用事例が日々生まれている。チラシ以外のエリアマーケティング手法の開発も進むが、乱立してどれも決定打に欠けるまま、しかしチラシのシェアは確実に減り続ける展開だ。このような状況下、凸版印刷はShufoo!(Webチラシ)とMapion(地図)からなる新会社を設立、BookLive(電子書籍)を含めBtoC事業の集約と強化を打ち出した。

そして進展するキャッシュレスはチラシを含む買い物行動に新たな変革をもたらす可能性がある。本研究会では、チラシ事例、そこから派生的に広がるBtoC事業の可能性、キャッシュレスによる生活者の買い物行動と企業マーケティングの変化について、折込チラシの現状・事例とFinTechの最新動向から考える。

日時

2019年5月29日(水) 14:00-17:30 

構成

【1】 新聞折込広告の最新動向2019-その特性と活用事例-

(1)新聞折込広告出稿統計データを基に2018年、2019年1-3月の市場動向を解説 

(2) 新聞折込広告効果指標データから見る折込広告の特性について解説

(3)近年見られる新聞折込広告の活用事例の紹介

講師: 株式会社読売IS メディア開発本部マーケティング部長 小林聡史 氏

略歴:1997年株式会社読売インフォメーションサービス(現:株式会社読売IS)入社。営業として10年間活動後、2008年以降、エリアマーケティング研究及び関連用品の開発、新聞折込広告統計関連業務に携わる。2019年より現職。

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【2】WEBチラシShufoo!の位置情報活用による新展開とこれから
 

(1) 平成30年、チラシに関わる流通業の変化

(2) インターネット拡大と電子チラシ

(3)広告販促市場の変化

(4)期待される役割

(5)今後の課題

講師: 凸版印刷株式会社 メディア事業推進本部 本部長 山岸祥晃 氏

略歴:1984年に凸版印刷入社。商業印刷関連の営業、制作、セールスプロモーションを経験、いち早く画像関連データベースの業界横断標準モデルを構築。2001年に電子チラシ・カタログ分野の日本最大のWebサイト「Shufoo!」を立ち上げる。 2019年、Mapion社を母体としShufoo!サービスを統合した新会社 ONE COMPATH社を設立、電子書籍 BookLive社を含め凸版のパーソナルサービス領域を集結した本部を新設。

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【3】 Fintechとキャッシュレスの動向

(1) Fintechが台頭した背景

(2) Fintechの主なサービス事例

(3)キャッシュレス化推進の目的・意義

(4)キャッシュレス決済の課題・主なサービス

(5)キャッシュレス化の目指すべき姿

講師:みずほ総合研究所株式会社 金融調査部長            
   金融庁「仮想通貨交換業等に関する研究会」メンバー 三宅恒治 氏

略歴:昭和46年神奈川県出身。平成6年東京大学工学部卒業、同年第一勧業銀行(現:みずほ銀行)入行。主に大企業営業を担当した後、みずほフィナンシャルグループにて、国際金融規制等の各種制度調査に従事。2016年より現職。

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【4】 LINE Payの活用法

(1) LINEについて

(2) LINE Payについて

講師:LINE Pay株式会社 事業開発室 戦略チーム 増田勝治 氏

略歴:2005年livedoor社入社後、NHN Japanを経て、LINE社からLINE Pay社に出向。現在に至る。

※構成・講演者は一部変更になることがあります。

会場

日本印刷技術協会 3Fセミナールーム(〒166-8539 東京都杉並区和田1-29-11)

参加費

一般:15,120円(税込)、JAGAT会員:10,800円(税込)
印刷総合研究会メンバー: 無料 [一般]2名まで [上級]3名まで [特別]5名まで
→自社が研究会メンバーか確認したい場合は、こちらのフォームからお問合せください 。

申込み

WEBから

Web申込フォーム に必要事項をご記入のうえ、ご登録ください。
登録後は完了メールが入力したメールアドレス宛に届きます。

FAXから

申込書をプリントして必要事項をご記入の上、 FAX(03-3384-3216)でお申し込みください。
(印刷総合研究会メンバーの方は、別途送付の専用申込み用紙をご利用ください)

問い合わせ

内容に関して
研究調査部 印刷総合研究会担当   電話:03-3384-3113(直通)

お申込み及びお支払に関して
管理部 電話:03-5385-7185(直通)

【資格採用企業インタビュー】人材の力と組織力で 総合的に顧客をサポート

『ものづくりとマーケティングプロモーション』をテーマとして掲げる株式会社光陽メディアは、企業としてエキスパート試験に10年以上の取り組み実績がある。人材育成の方針や課題について、取締役管理本部長 大塚 美世子氏にお話を伺った。

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大塚 美世子氏
株式会社光陽メディア
取締役管理本部長/コンテンツ制作部部長

貴社の事業傾向について変化はありますか。

当社の業務構成としては、出版・学参関連印刷物が多く、全体の約3~4 割を占めています。その他、商業印刷として販促チラシやポスターの製作、ウェブ制作などもコンスタントに行っています。

印刷を含めた売り上げは減少下降傾向にあります。その点は当社も例外ではないため、かなりの部分を占める印刷だけに頼らない事業展開を図っています。そうした中、お客様側からの要望としては、お客様の抱える困りごとへの対応が求められる傾向があります。

そのような事業傾向やお客様の変化を踏まえ、人材には何が求められていると思われますか。

広範囲の知識や対応力とともに、例えば営業職でいえば、お客様のどのような課題に対しても相談に乗れるような人間力というものが必要になっていることを感じます。そういう人材を育てようとしているのですが、すぐに育つわけではありません。ですので、各人材に知識を身に付けてもらうとともに、会社としての総合力・組織力を生かして対応しようという方向性をとっています。人材教育を経営の方針にしっかりと位置付け、営業、制作、製造現場を含めて課題を明確にして取り組むことを念頭においています。

また、DTP、ウェブ、印刷というそれぞれの部門が、おのおのの知識や技術力をもって、お客様の要望に沿うよう協力し合いチームとして応えられるような組織づくりに取り組んでいます。

企業として長年エキスパート資格に取り組まれていますが、どのように取り組みを開始されたのですか。

10年以上前になりますが、初めは会社としてというより、取得したい意欲のある人には勧めるというかたちで取り組み始めました。数回経過するうちに、会社全体として取得推進する方針となり、試験期ごとに対象者を決め、それらの社員に対して共同で研修会をやったり、社内で模擬試験を数回行ったりするようになりました。個人に任せるのではなく、会社として全職場共同で取り組むという方針で行い、累積合計で80 人以上の社員がエキスパート資格を取得しました。現在も取得したい人には支援をしたり、制作実務経験のない営業がDTP エキスパートを取得する際には実技試験のフォローをしたりしています。

また、お客様の要望の変化への対応力が求められる中、その基盤となる知識習得の必要性もあり、クロスメディアエキスパート取得も継続的に推奨しています。

教育手段の中で資格取得をどのように位置付けていますか?

DTP エキスパートにしてもクロスメディアエキスパートにしても、一過性のイベントではなく、さまざまな対応力の前提となる基礎知識、必須知識として社員全員に取得を推奨しています。資格取得のために専門用語を学ぶだけでも十分に意味があり、そうした基礎知識を身に付けていると実務での対応力も変わってきますので、推奨資格として位置付けています。

資格取得が実務に生かされていると感じる点、社員の変化を感じる点はどのような場面ですか。

取り組みを開始した頃は、社員側から負荷が大きいという声もありました。特にDTP については、実技の技術的なところでは苦労していたと思います。とはいえ実際に取得した社員は、自身の日常の業務の中で、習得した知識が血肉となって生かされていると感じているようです。会社としてカラーマネジメントへの取り組みを開始したときには、DTP エキスパートで勉強してきたことが実際に生きているという実感がありましたね。用語を覚えるだけではなく、その展開において社員自身の役に立っているという感触です。

DTP については、歴史をたどれば文字組から製版工程など膨大な技術の蓄積があるので、一度資格試験に合格したからといって全てが身に付くものではないし、日常的に触れるわけではない部分もあります。しかし、例えば高精細印刷がトレンドになってきた時には、DTPエキスパートで学んだスクリーン線数の知識などが必要になります。習得した知識の必要性を感じない時期もあるかもしれませんが、新たなトレンドが持ち上がり、かえって過去習得した知識が生きてくるということもあるのです。その意味で、印刷に関わり続ける以上、いつどこで必要となるか分からない知識をまずは網羅しておくことは重要だと思います。

またクロスメディアエキスパートについては、営業職など直接お客様の課題に触れる人には、取得を推奨してきました。組織として各部門協力してお客様の課題に対応するため、制作職の社員でも知識とともに対応力を広げる必要性があります。世の中の傾向はどんどん変化し、それに伴い新しい領域も増えています。

そういう面では、数年前に勉強したことと同じ勉強をしているだけでは追い付かない、対応できないことも出てきていて、大変だなと思います。お客様の困りごとを解決するにあたり、紙メディアに限らずさまざまなメディアを活用して解決していくという方向の中、クロスメディア資格や各種研修を併せて行い、複合的に人材育成をしています。それら全体の効果として、従来よりも対応力が上がってきているという変化を感じます。

ビジネス動向の変化の中で、印刷業界に求められていることはどのようなことと捉えていますか。

お客様側の変化として、お客様自身の事業の発展、売り上げや会員等の増加といった悩み、課題に対し、当社は何をしてくれるのか?という投げ掛けをされるようになってきました。以前であれば、そうした課題解決のためにチラシを作るという答えがあらかじめ出ていたうえで、ではどんなチラシを何部刷りましょうか?というのがお客様との打ち合わせ内容だったのですが、今では、そういった答えはお客様側から示されるのではなく、私どもでサポートできること、何をするのかをこちらから考えなければならない場面が増えてきました。印刷のことだけを考えていたのでは全く対応できないという点で、人材に求められる能力が変化していると思います。この点は、どのようなお客様についても共通している点です。

お客様からは、悩みや課題に対する総合的な提案を求められています。その際、私たちが解決方法を考えて、こういう方法はどうですか?という提案をするやり取りができなければなりません。例えば印刷なら、価格面では印刷通販が競合するわけですが、プロモーション業務への展開においては別の業界が競合として現れるわけです。新たな競合と対抗していかなければならないわけですから、のんびりしてはいられません。新領域を吸収しつつ、当社が培ってきたノウハウや技術面を生かしてどのようにお客様を総合的にサポートしていくかということが重要です。当社の場合長くお付き合いさせていただいているお客様が多いので、従来のやり方で馴れ合いになってしまう場面もあるかもしれません。そうではなくて、当社も変化しているということをアピールしていかなければならないと思っています。

出版物を作るにしても、早く安く作ってほしいという要望がお客様からあった場合、制作側に負荷のかかる方法で対応するという単純な捉え方ではなく、早く安くやるためにはお互いにどのように改善していくかをお客様側と一緒に考えましょうという話ができないと、要望に対する限界があります。例えばオンライン校正、オンライン入稿を使って効率化したり、校正回数を減らすための提案をしたりして、その結果安くできたね、というかたちで改善していかなければ、どちらにとってもメリットはありません。お客様にとってもメリットのあるような仕組みを作っていくことが大切だと思います。

取材・まとめ JAGAT CS部 丹羽 朋子
-JAGAT info 2019年2月号より転載-

利益を生み出す印刷工場の改善活動と経営幹部との連携

~第5期工場マネージャー養成講座開催~

■利益を生み出す工場改善と経営幹部との連携

工場を持った印刷会社では、工場の改善活動は利益創出に直結する。印刷工場が利益を出すということは、印刷機の稼働率を上げることだ。稼働率を上げるということは、ムダを無くすことである。これが5S活動だ。5S活動は、作業のムリ・ムラ・ムダを無くし、戦略的に工場改善を行うものだ。お掃除活動ではない。その先には戦略的な経営がある。5S活動をベースに品質管理体制を整え、顧客のニーズに対応していくことが重要になる。
5月11日(土)から開講されるJAGAT主催、第5期工場マネージャー養成講座では、利益を生み出す工場改善に取り組む管理者(リーダー)を養成するための講座だ。座学だけでなく、改善計画を策定し、実行し、報告検証し合う実践型のカリキュラムが特徴だ。
品質管理の全体像として4つの視点で整理することができる。
1、品質管理の考え方を理解する
まずは、品質管理とは何かを理解する、共有すること。重要であるが意外と抜けがちになる。目的やマーケティング視点で求める品質の考え方などを理解する。
2、品質管理を維持する方法やしくみをつくる
安定した品質を維持する方法には、標準化、ISOなどへの取り組み。
3、品質を改善する方法やしくみをつくる
品質改善のノウハウや手法は型として学ぶことができる。
・パレード図、特性要因図等を含むQC7つ道具
・5S活動の推進
・改善提案活動  他
4、組織を改善する方法
組織としての活動推進のしくみつくる。推進リーダーを育成し、経営幹部との連携し、全体として取り組む。
・QCサークル活動の推進
・プロジェクトチームの設置  他
経営者の改善活動における悩みの一番は、推進するリーダー不在によることが多い。改善活動では推進するリーダーの果たすべき役割は大きい。いないのではなく、見つけ育てることが必要である。

■トライ&エラーで取り組む改善活動、前回受講者の事例より
改善活動のリーダーを育成することは各々の会社で大きな課題だ。前回の工場マネージャー養成講座では、工場長、管理者の講座への参加派遣において、経営幹部との連携で改善活動が推進された事例があった。工場の管理者だけに背負わせるのではなく、会社の方針として改善活動を位置づけし、全体でバックアップする体制をつくった事例だ。例えば、生産活動に追われる工場では、PCを使い、改善報告書をつくることが難しい場合がある。そこを経営幹部が自ら改善活動を共有しフォローを行った。ちょっとしたことが弊害になっていることがよくある。現場に寄り添った連携が信頼関係に繋がり効果を上げたようだ。

◆ 工場改善の推進に必要な経営者の姿勢と現場リーダーの育成
~さくら印刷の事例から学ぶ~

改善活動は、リーダーシップがカギを握っている。経営者と工場管理者が固い信頼関係で取り組むことが礎となる。 JAGATの第5期工場マネージャー養成講座も重要性を増し5月11日(土)に開講する。
(CS部 古谷芸文)

◆5/11(土)開講
第5期「工場マネージャー養成講座」

印刷業定点調査 各地の声(2018年12月度)

12月の売上高は△2.8%。9月以来4カ月連続のマイナス。西日本を中心とした豪雨・台風被害、北海道地震など天災が相次いで以降は持ち直すことができずにいる。株価も18年10月に27年ぶりの高値を記録したかと思えば、年末にかけて最大20%超も下落するなど、世界経済の不安定化も追い討ちをかけた。 続きを読む