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page2019が開幕! 出展社数は史上最多を更新

2月5日10時、32回目となるpage2019が史上最多の出展社数で開幕した。2月8日金曜まで3日間にわたり、サンシャインシティでカンファレンス・セミナー、技術展示、オープンイベント、フリーペーパー展示など、多彩なイベントが繰り広げられる。

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出版にも広がるデジタル×紙の連携

出版の世界で、本作りの常識が変わろうとしている。

デジタルの世界でマーケティングを進め、紙の書籍の売上を伸ばす。そんな流れが大きな市場を形成している分野がある。

今回は小説投稿サイト大手の一つである「エブリスタ」を紹介し、出版業界の進化の方向性を探っていく。

Web小説がなぜ売れるのか

『恋空』などに代表されるケータイ小説のブームを覚えている方も多いのではないだろうか。2005年にWeb上で発表された小説が書籍化され200万部を超えるヒットとなった。こういった、ケータイ小説ブームは一時の流行で終わってしまったが、Web上で小説を発表し、書籍化に繋げる流れは現在も続いている。

今回紹介するエブリスタは2010年に始まった小説投稿サイトである。DeNAとNTTドコモとの共同出資によって生まれ、誰でも小説やコミックを投稿できる。「王様ゲーム」や「奴隷区」といった作品がベストセラーとなり、アニメ化や映画化なども行われている。

どちらも、小説版に関してはWeb上で無料閲覧することができる。だというのに、お金を出して書籍を買う人間がおり、次々とメディアミックス化されていったのだ。これは、一体どういうことだろうか?

ケータイ小説のブームの際には、コアなファンが自分の感動を形にする宝物として書籍を買い求めているのだろうと分析されていた。勿論、そういった需要があることも間違いないが、現在は無料のWeb小説で市場を調査し、そこで反応のあったものに予算を投下することでヒットに繋げているという考え方が主流になっている。

Web上で人気といっても、そこで読む人間はまだコアな層である。しかし、そういったコアな層の中で人気の出たものが書籍化され、書店に並べばそこで初めて目に触れる人間も出てくる。コア層の中で人気を勝ち得た作品は書店でも読者を掴みやすい。さらに言えば、編集者はその作品のどこに読者が付いているのか知っている。その反応に合わせて、パッケージングや宣伝戦略を考えることができる。言ってみれば、Web発の小説はある程度マーケティングが済んだ状態で書店に並んでくるのである。この差は大きい。

書籍の中で人気を得た作品はコミカライズされ、さらにはアニメ化、ドラマ化、映画化へと様々な展開へ繋がっていく。このWeb→書籍→コミカライズ→アニメ化、ドラマ化といった流れは、必要な予算や関わる人間が段階的に増えていっていることも重要である。半ば自動的に、人気の度合いに従って適切な予算投下が行われるようになっているのである。この仕組みは、個々の出版社やアニメ制作会社を超えたコンテンツ業界全体のビジネスモデルになりつつある。

無料のWebと有料の紙

コンテンツ業界では「0を1に、1を100に」という言葉がある。「0を1に」とは新作発掘のことであり、「1を100」にとはメディアミックスや宣伝、グッズ展開などで作品の利益を最大化する仕事のことである。これまで小説は初期投資の少なさから、コンテンツ業界では原作の提供側にいることが多かった。しかし、Web小説の登場で、より0に近い場所が生まれたのである。一方で、基本無料のWeb小説をマネタイズするために紙は有効という事実もある。これら市場の変化は印刷業界にいる人間も知っておきたい情報である。変化の傍には常にビジネスチャンスが眠っている。

では、その小説投稿サイトとはどのような場所なのだろうか? 小説投稿サイトに作品を掲載する作者の多くは、自分の作品を読んでくれる読者を求め、コミュニケーションを期待している。ポジティブな関係が築かれ、作品が生まれるコミュニティを如何に作り、運営していくのか。実際、そこではどのようなやり取りが行われているのか。

page2019のカンファレンスでは、エブリスタのエース級編集者である松田氏が登壇し、市場の変化や小説投稿サイトの実際の様子、未来像などを講演して頂く。他にも、今後の出版の行く末を占う新しい展開を議論するカンファレンスになっている。

(JAGAT 研究調査部 松永寛和)

■関連イベント

2月6日~8日に開催するイベント「page2019」では、2019年の印刷マーケティングを知るためのカンファレンスを開催します。同人誌、自費出版、デジタル印刷、地域活性などの情報をビジネスに活かしたい方はぜひご参加ください。

【PM3】WEB と地方で広がるデジタル出版の可能性~プラットフォーマーと同人誌新規参入会社の視点から~
出版市場が縮小する外側で、投稿小説サイトや同人誌即売会ではコンテンツが増え続けている。投稿小説サイトは既存の出版では埋もれていた作品をヒット作へと繋げ、文学フリマは百都市構想を掲げて地方での開催を模索する。デジタル印刷で小ロットのマネタイズを支援して新たな市場を創出できないか。プラットフォーマーと印刷会社、新興市場に精通するシンクタンクを交えて出版の新しい成長可能性を議論する。

【PM1】地域活性ビジネス①地域の課題解決による新たな価値の創り方
【PM2】地域活性ビジネス②産業観光による地場産業活性の可能性
【PM4】印刷ビジネスとメディアの展望2019

印刷業定点調査 各地の声(2018年9月度)

9月の売上高は△3.9%。2016年10月以来22カ月ぶりの落ち込み幅となって4カ月ぶりのマイナスに転じた。9月は平日が昨年より2日少ない18日だったカレンダー要因と、西日本で相次いだ台風・豪雨災害と北海道地震が影響した。 続きを読む

平成の終わりに考える印刷の新しい価値

平成の印刷を振り返ると、昭和末期に登場したDTPという概念と技術、それを実現させたデジタル技術によって印刷がコモディティ化してしまった時代なのではないだろうか。パソコンとプリンターの普及は、印刷物の製造を印刷業だけのものから、(質はともかく)誰でも製造できるものにしたと言える。

印刷がコモディティ化してしまったとすると、単に印刷物を製造するだけでは印刷業としての優位性を保つのが難しい。加えて、インターネットを介したデジタルメディアの隆盛が、情報を伝えるという紙メディアそのものの相対的な価値低下につながっている。従って、例えば紙メディアvs.デジタルメディアと捉えてしまうと、従来の手ごろな価格で大量に同じものを複製できるという印刷物の強みだけでは、より安価に情報伝達が可能なインターネットを介したデジタルメディアとの競争では不利である。

また、デジタルメディアの普及によって顧客の顧客となるエンドユーザーや、いわゆる生活者の意識や行動も大きく変わってきた。となると、手ごろな価格で大量に同じものを複製できる価値だけでは、もはや顧客の抱える課題の解決を支援することは、相当困難な仕事になっている。今、印刷は新しい価値を生み出さないと、顧客から必要とされる存在が危うくなるのは目に見えているのではないだろうか。

では、どのようにして印刷の新しい価値を生み出すのか。それは印刷で培ってきたノウハウと、長く印刷を通して顧客を支えてきた信頼をもとに、ICT活用によって印刷がマーケティングを取り込み、One to One対応、オンデマンド対応、スピード対応、デジタル印刷活用、種々の加工などを組み合わせることであろう。まさに「デジタル×紙×マーケティング」の組み合わせによって発揮される相乗効果によって生み出される。デジタル(メディア、ツール)は競争相手となる敵ではなく、シナジーを生み出す味方である。

JAGAT info1月号では、特集で印刷会社の経営者でもある塚田司郎JAGAT会長と、網野勝彦JAGAT副会長、メーカー・ベンダーの社長としてさまざまな印刷会社を知る森澤彰彦副会長が、これからの印刷業がどのようにして、どのような価値を提供するべきかを議論している。

また、2月6~8日に開催されるpage2019では、「デジタル×紙×マーケティング」のテーマのもとに各社展示、基調講演、各種カンファンス、セミナーでは、新しい時代にふさわしい印刷ビジネスのあり方を探るので、ぜひ来場し、その目で確かめていただきたい。

JAGAT info2019年1月号の目次はこちら

出版業界において新たに成長する分野【印刷マーケティングの進化の先】

近年出版市場の縮小が進んでいる。そんな中、既存市場には含まれない分野の出版活動がかつてなく盛んになっている。デジタル印刷技術で、こうした市場を活性化させることで出版界へのインパクトを与えられるのではないだろうか。

小説投稿サイトからベストセラーが生まれる時代

近年の書籍の市場において、おそらく最も大きな変化と言えるのが小説投稿サイトの成長である。小説投稿サイトでは、自分の書いた小説を誰でも自由に投稿することができ、投稿された小説を無料で読むこともできる。「小説家になろう」というサイトに投稿され、現在アニメ化されている『転生したらスライムだった件』という作品は、書籍化されて累計1000万部を突破した。この作品に限らず、小説投稿サイトからは数百万部というベストセラーが立て続けに生み出されている。

小説投稿サイトに注目するべき理由は、これが単発にヒット作という話題に留まらず、新人作家発掘の魅力的なルートであり、出版というシステムの構造自体を変化させつつあるからだ。これまで出版社では各社が新人賞を開催し、入賞者を作家としてデビューさせてきた。今後も新人賞がなくなる訳ではないが、現在、特にライトノベルなどの分野においては既存の新人賞に加え、各編集部の人間が投稿小説サイトの動向に目を向け、有望な人間には即座に声をかける態勢が整っている。

投稿者にとっては受賞を逃せば、ほとんど誰の目にも止まらず消えていく新人賞よりも、多くの読者の目にとまる可能性のある小説投稿サイトの方が魅力的に映るだろう。一方出版社にとっても、既に読者に受け入れられることが分かっている作品を拾って出版した方が効率的である。事実、小説投稿サイト発の作品はヒット率が高く、市場において存在感を強めている。

現状では、特に現状の小説投稿サイトと相性の良い分野に偏っているが、これがより広い分野に派生していくのかどうか、ヒット作をどこまで継続的に生み出せるかなどが注目される。

同人誌市場の一般化

もう一つ注目は同人誌市場である。毎年夏と冬に行われ、毎回約60万人を動員するコミックマーケットはニュースなどでご存知の方も多いだろう。しかし、同人誌即売会はコミックマーケットだけではない。同人誌のイベント情報などで検索すれば、毎週日本中で数十のイベントが開催されるまでの市場が形成されていることが分かる。こういった同人誌即売会でやり取りされる書籍はISBNコードなどは基本的に付されず、出版統計などには反映されない。しかし、そういった統計外の部分で無数の書籍、印刷物が生まれているのである。同人誌は少部数のものが大半であり、ノウハウや工夫が必要な部分もあるが、比較的の新規参入がしやすいという面も、地域に根ざした中小の印刷会社にとっては見逃せない市場である。

出展者の大半は数十部~数百部の小ロットの本を自腹で作り、同人誌即売会に参加する。作者と読者の直接的な交流が大きな魅力であり、創作者が直接印刷会社とやり取りするため、印刷会社が感謝を伝えられることも多く、やりがいも大きいという。

同人誌即売会では、アニメやゲームの人気コンテンツのキャラクターを使用した二次創作が目立つが、オリジナル作品で出展する人間も多く、ここでも各社の編集者が新人の作家を探している。読者との交流がモチベーションを生み、そこで成長した書き手がヒット作を生み出していく構図も生まれている。

求められる出版活動多様化への対応

かつての出版業界では、編集者や大作家など、所謂目利き的な人間が才能ある若手を見出し、世の中に発信していくという構図になっていた。これは偏に、不特定多数の読者に作品を届ける出版という行為が限られた人間にしか不可能だったからである。しかし、現在では作品を不特定多数に向けて発信することは個人でも可能なほど簡単になっている。その結果、編集者や作家といった目利きよりも読者が直接才能を見出すということが多くなっている。

現状ではこのような変化に対し、明らかに目立っている作品を既存の出版のルートに乗せ直し、ヒット作にしていくという形になっているが、デジタル印刷による小部数の印刷が一般化すればより大きな構造の変化が生まれる可能性がある。構造の変化はビジネスチャンスに繋がる。作品が生み出される源流を誰が押さえるのか、2月8日の下記セッションでは関係プレイヤーが一堂に会して議論する。

(JAGAT 研究調査部 松永寛和)

■関連イベント

2月6日~8日に開催するイベント「page2019」では、2019年の印刷マーケティングを知るためのカンファレンスを開催します。同人誌、自費出版、デジタル印刷、地域活性などの情報をビジネスに活かしたい方はぜひご参加ください。

【PM3】WEB と地方で広がるデジタル出版の可能性~プラットフォーマーと同人誌新規参入会社の視点から~
出版市場が縮小する外側で、投稿小説サイトや同人誌即売会ではコンテンツが増え続けている。投稿小説サイトは既存の出版では埋もれていた作品をヒット作へと繋げ、文学フリマは百都市構想を掲げて地方での開催を模索する。デジタル印刷で小ロットのマネタイズを支援して新たな市場を創出できないか。プラットフォーマーと印刷会社、新興市場に精通するシンクタンクを交えて出版の新しい成長可能性を議論する。

【PM1】地域活性ビジネス①地域の課題解決による新たな価値の創り方
【PM2】地域活性ビジネス②産業観光による地場産業活性の可能性
【PM4】印刷ビジネスとメディアの展望2019

page2019 展示会場の見どころ

page2019は「デジタル×紙×マーケティング」をテーマに、2月6日(水)、7日(木)、8日(金)と東京・池袋のサンシャインシティで開催する。展示会場の見どころを紹介する。

出展規模は6年連続で拡大

page2019の出展企業数・小間数は162社562小間となった。出展社数は過去最多、小間数は前回よりも増加しており、展示規模は6年連続の拡大となる。展示ホールにはびっしりと出展企業の小間が並んでいるのを感じていただけるはずだ。出展企業が増加すると、それに比例して来場者数も増加する傾向にあるので、例年並みの盛り上がりにご期待いただきたい。

page2019のテーマ「デジタル×紙×マーケティング」を冠した新企画ゾーン

pageイベントでは、これまでも出展者と来場者とのパートナーシップやコラボレーションを促すゾーンを設置してきた。自社で何もかも対応しようとするのではなく、既にその分野のノウハウをもっている所とタイアップして、リスク分散を促すことを強調し、そのための場を提供してきたことは、pageイベントが果たしてきた重要な役割と言える。こうした思いは、page2017から設置している「印刷パートナーゾーン」や、page2018のテーマ「アライアンスNEXT」に受け継がれている。そして今回新たな特別ゾーンとして「デジタル×紙×マーケティングゾーン」を文化会館4階 展示ホールBに設置する。

デジタル×紙×マーケティングゾーン セミナーコンテンツ一覧

86万人の自宅に届く「命を救うダイレクトメール」の秘密とは?

「デジタル×紙×マーケティングゾーン」(文化会館4階 展示ホールBに設置)は、デジタル、紙、マーケティングを掛け合わせて印刷の可能性を拡げていこうというJAGATの提案を広く紹介するべく、実践している企業によるセミナーと、テーブル展示コーナーで構成する。セミナーでは、 「86万人の自宅に届く!乳がんで死なないための切り札をあなたへ」という前代未聞のハガキプロジェクトの企画立案者である国立がん研究センターの溝田友里氏にご講演をいただく。その他には、MAと組み合わせたダイレクトメールの活用法、印刷会社による自社開発商品のヨーロッパでの展開、大手アパレルブランドとのコラボレーション、大判プリントのアメリカでの活用事例など多岐に渡る。印刷関連企業にとっては、自社ビジネスのヒントに繋がり、印刷以外のメーカー、ベンダー、広告代理店などにとっては、印刷会社でできることの幅広さを知るきっかけになるはずだ。「デジタル×紙×マーケティング」によって広がる印刷ビジネスの可能性を感じ取っていただきたい。(セミナーは詳細はこちらから。すべて参加無料、事前登録制だが当日参加も可)

各種ゾーン・コーナーも充実

◆[ クリエイティブゾーン ]
文化会館2F 展示ホールD
page2004において、アドビシステムズがサポートした「新世代DTPソリューションZONE」は現在、「クリエイティブゾーン」となっている。page創生期の息吹が感じられるゾーンであり、印刷業に深くかかわってきたAdobeが印刷関連展示会に唯一残っているコーナーでもある。
ここではDTPに関するソフト・ソリューション、クリエイティブプロフェッショナルのための製品展示や具体的な事例等を紹介している。また同時開催される「クリエイティブゾーンセミナー」は、連日立ち見が出るほどの盛況で、page会場の名物ともいえる。見て・聞いて・感じることによって、具体的なメリットを体感いただきたい。(クリエイティブゾーンセミナーの詳細はこちらから)

◆[JAGATコーナー]文化会館4F 展示ホールB
・エキスパート資格試験コーナー
「印刷メディアの強みを活かしてあらたな価値を生み出す」をメインテーマに、JAGAT のエキスパート資格に関する展示や資料配布、最新刊を中心とした書籍販売を行う。JAGATが認証するクロスメディアエキスパートは企画提案力などを身につけた価値を生み出すビジネスを創る人材を目指し、DTPエキスパートはその価値を実際にかたちにするための印刷工程全般にわたる知識などを備えた人材を目指すものである。JAGATコーナーでは、両資格に関する展示とともに、このたび改訂して最新13版となった『DTPエキスパートカリキュラム』、その他資料を配布する。新規・更新受験を目指す方だけでなく、メディア制作に関わるすべての方々に手に取っていただきたい。

・書籍販売 
待望の新刊!デジタル時代に相応しい印刷の入門書『みんなの印刷入門』さらに、DTPエキスパートカリキュラムの改訂に対応した改訂版『DTP 受験サポートガイド』をpage2019で発表、販売を開始する。

◆[ フリーペーパー展示 ] 文化会館2F 展示ホールD
印刷業界内外に、印刷会社の取り組みと可能性、地域社会における印刷会社の役割について、読者や地域の人たちにフリーペーパー展示を通じて訴求するコーナー。フリーペーパーは、地域における印刷会社の活動、その機能を理解してもらうのに適しており、page2019での展示をとおして、全国の印刷会社がそれぞれの地域においてどのような役割を果たしているか、そして印刷メディアにはどのような良さと可能性があるか、地域色豊かな各地のフリーペーパーを見ながら再考する機会を提供する。

(JAGAT page事務局)