協会情報」カテゴリーアーカイブ

今年もやります「夏フェス」

昨年、JAGAT創立50周年記念イベントとして開催した「JAGAT Summer Fes 2017(夏フェス2017)」ですが、今年も8月22日(水)、23日(木)の2日間、JAGAT本社にて行うことになりました。

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2018年度の抱負

2017年度はJAGATの歴史の中で、50周年という節目の年だった。2018年度に迎える節目としては8月26日(日)のDTPエキスパート試験が丁度50回目となる。 続きを読む

アライアンスが印刷会社のビジネスを進化させる可能性

page2018基調講演1では、ずばりpage2018のテーマとなる「アライアンスNEXT」を、実際にアライアンスに取り組む3人の経営者を迎えて講演とディスカッションを行った。

デジタル化の進展は印刷業界にも様々な功利をもたらす一方で、それによってなくなったり、縮小をされたりする部署や分野もあった。印刷会社はそうした分野などの人材を再教育しながらデジタル化に対応してビジネスを行ってきた。ところが、社会全般でデジタル化は一段と進展し、それに伴うようにビジネスのスピードがますます速くなっている。

このようビジネスに対応する人材は、従来なら社内の育成でも間に合ったかもしれない。しかし、今は自社内で1から育てようとするとビジネスチャンスどころか、ビジネス自体をなくしてしまうおそれが大きい。社会やビジネス環境変化のスピードが速い時代には、大企業ならともかく、中小企業では人材にして設備にしてもすべて自社で一からまかなうという戦略は全く適していないといえる。

そこで考えられるのが「アライアンスだ」で、自社にない得意分野や特長を持ったいろいろな会社と組むことで、新たなビジネス分野をスピーディーにものにできる可能性が高まったり、自社の得意分野と相乗効果を発揮して市場を広げたりできる。

page2018では株式会社廣済堂 代表取締役社長で、株式会社金羊社 代表取締役会長の浅野健氏とフュージョン株式会社 代表取締役会長花井秀勝氏、株式会社アドヴォネクスト 代表取締役社長井上雅博氏にそれぞれのアライアンスへの取り組みを紹介していただいた。

アライアンスを行う理由の一つとして、浅野氏は縮小していく既存の印刷市場で、企業継続と成長性を何かしらで担保していく必要があり、それには新市場の開拓が必要であるからだとする。人材や設備など限られた経営資源や情報不足を補って新市場で成功するためにも戦略性をもったアライアンスが必須だったということなのだ。また、アライアンスのあり方も役割分担型、機能強化型、補完型、BCP(Business continuity planning)型と様々なスタイルで展開している。

花井氏はデータ分析、マーケティング活用の観点から印刷ビジネスの領域を広げるようなアライアンスに取り組んでいるが、アライアンスを組む上で重要なのは自社が担当したい譲れない部分を明確にしておくことと、しっかりと契約書を作成していくことがポイントになるとしている。

井上氏は地方にある中小の印刷会社が取り組むアライアンスとして、地域の力を生かすかたちで取り組んでいる事例を紹介した。一方で地域だけでは難しい課題を全国組織のネットワークに参加し、さまざまな地域の仲間や大手企業の力を借りながら解決策を模索していく。このような取り組みは一歩を踏み出すことが重要で、特に人的余裕が少ない中小企業では経営者自らが動くことが「事」を進めるには重要だと語った。

※基調講演1の講演内容については、JAGATinfo2018年3月号で紹介しております。

未来志向で考えるデジタルワークフロー

スマートファクトリーが話題となっている。製造機器がネットワークにつながり、ERPなど基幹系のシステムと双方向でデータ交換することで高度な自動化や「見える化」による全体最適を目指すものだ。しかし、現状をベースとした効率化の視点だけでは方向性を見誤る恐れがある。

スマートファクトリーの実現を考えたときに一番のボトルネックとなるのは、じつは製造工程ではなく顧客接点のところではないだろうか。受注に至るまでの工程もさることながら、受注してからも入稿からDTP制作、校正、校了までのプロセスがアナログ中心であり、さらに下版の予定が日常的にずれるなどスケジュールのコントロールが難しいからだ。このため工程管理に大きな負担がかかり、日々臨機応変な対応に迫われている。

自動化とは、裏返せばルールが標準化され、融通が利かないということでもある。これらを解決するのがAIだという議論もあるかもしれないが、例外処理や突発的な変更対応はシステムの開発コストを上げるとともに生産性や稼働率などパフォーマンスを下げる要因となる。最大限の効果を得るためには未来のあるべき姿から逆算して考えるというアプローチが必要であろう。

まず考えるべきは、お客さまのICT活用、情報資産のデジタル化の進展度である。顧客情報を管理するCRM(Customer Relationship Management)、商品情報など資産管理をするDAM(Digital AssetManagement)、顧客とのコミュニケーション(営業・商談、販促)を管理するSFA(Sales ForceAutomation)やMA(Marketing Automation)など着実に情報資産のデジタル化やICT活用の高度は進んでいくであろう。これらにより、誰に(顧客)、何を(商品情報)、どのタイミングでどう伝えるか(営業・販促)、といった情報がすべてデジタルデータで管理されることになる。

このときに印刷業界に求められるのが、デジタルマーケティングに負けない紙、あるいはデジタルマーケティングと紙との相乗効果である。そこでは、お客さまに届けたい情報を適切なタイミングで届けるために圧倒的なスピード感が求められるであろう。いままでのように紙の校正紙を営業担当が運んで色の確認をするようなやり取りはあり得ない。アナログの色校正をせずとも品質保証ができるようなワークフローをどのように構築するかというのが未来志向型のアプローチといえる。

そして、お客さまのシステムと人手を介すことなくダイレクトに自社の印刷工場がつながることが究極の理想像といえるだろう。

3月22日の印刷総合研究会では、「顧客とつながる」をテーマに、APIやプラットフォームをキーワードとして、今後求められるデジタルワークフローを考える。

(JAGAT 研究調査部 花房 賢)

関連セミナー

顧客とつながるワークフロー
2018年3月22日(木) 14:00-16:15

今後求められるであろう顧客とダイレクトにつながるデジタルワークフローを考える。

スマートスピーカーがもたらす新たな可能性

2017年10月にgoogle home、11月にはAmazon Echoが日本でも発売されて、スマートスピーカーが注目を集めた。Amazon Echoの購入はまだ招待制のようだが、スマートスピーカーを手に入れて利用している人も多いことだろう。実際、使用してみた感想はいかがだろうか? ネット検索すると、たくさんのスマートスピーカーの比較記事や使ってみた感想を読むことができる。

JAGATでは2017年12月に開催したトピック技術セミナー2017の特別講演でパソコン、デジタルAV、ネット―ワーク関連を得意とするフリージャーナリストの西田宗千佳氏に「スマートスピーカー」について解説していただいた。

講演ではスマートスピーカーを実際に使用して、どういったものかも分かりすく解説いただいた。ちなみにAIスピーカーと呼ばれることもあるが、そのように呼ぶのはほぼ日本だけだそうである。

現在のスマートスピーカーの機能やできることについては、人それぞれに期待することや使用目的が違うので使い方だけではなく、そのビジネスの背景とスマートスピーカーが普及し、浸透することによって家庭やビジネスがどのように変わるについてお話いただいた。

スマートスピーカーの本質は音声アシスタント技術によるクラウドサービスといえる。それゆえ、このビジネスでは日々膨大なデータを取り扱うクラウドジャイアントと呼ばれるアマゾンやグーグルが圧倒するということになるようだ。

声を出して機械にしゃべりかけるという音声アシスタントを使うのは、日本人のなかには気恥ずかしく感じる人は少なくないだろうが、実はそれなりに使われ始めているようだ。例えば検索ではキー入力が苦手な高齢者層は、意外にも活用しているようだ。

スマートスピーカーが普及していくと、音声アシスタントを利用するのは当たり前になり、音声アシスタント技術がビジネス活用される分野はどんどん広がっていくと思われる。その際に、現在のようなスマートスピーカーという形である必要はなくて、あらゆる家電などに組み込まれる可能性もある。また、注目される自動運転技術でも、ユーザーインターフェイスはおそらく音声アシスタントが活用されるだろう。

さらに音声によるコミュニケーションが活発になれば、そこに活用、提供されるコンテンツも必要になる。音声応答を使う分野が広がることによって、新しい市場や、思いもよらない生活に密着した新しいコンピューターの利用方法が生まれるかもしれない。

※西田氏に講演内容については、JAGATinfo2018年2月号で紹介しております。